私を構成する9枚【寄稿/JMX編】

私を構成する9枚【寄稿/JMX編】

#私を構成する9枚--その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。

アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。

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スピッツ『ハチミツ』(1995)

主体的に音楽を聴くという行為は、当時親が聴いていたこのスピッツの大ヒットアルバムが初めてで、それまではカーステレオから流れている音楽を受動的に摂取するだけだったが、本作に関しては自分からプレイボタンを押して何度もラジカセの前で耳を傾けていた。何に惹かれていたのかはよく分からない。ただ殺伐とした世間の雰囲気の中で、独特の温かみのある(それでいてそっと毒を忍ばせた)世界観に、子供ながらに何となく共鳴してしまったのかもしれない。いずれにせよ、主体的なリスニング体験の始まりという意味で自分の音楽探求の出発点であるし、今でもあの時このアルバムを聴いていた情景が、時たまフラッシュバックしてくるぐらいだから、私を構成する1枚と言って差し支えがないと思う。

The Velvet Underground『The Velvet Underground & Nico』(1967)

今みたいにサブスクもYouTubeもない時代、新しい音楽の情報源は主にラジオか雑誌だった。そんな訳で中学の時はラジオっ子だったのだが、本作収録の「Venus in Furs」が流れてきた時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。今まで聴いてきた音楽とはまるで文法が違う、そのドローン・ミュージックの妖しい魅力に衝撃を受け、すぐにこのファーストを聴き狂うようになった。ポピュラー音楽が単なる消費物ではなく、アート足りうるということを感じたのもこの1枚からで、ポストパンクや実験音楽、ノイズなどの「普通じゃない」音楽の扉もここから開かれていったのは間違いなく、個人史の中で最重要の1枚である。

BUDDHA BRAND『病める​無限のブッダの世界~BEST OF THE BEST(金字塔)〜』(2000)

今回のセレクションは基本的に小学生から中学生の間に出会ったものに限っているが、これとニュー・オーダーだけは例外で、高校、大学で出会ったものである。入学式で偶然出会ったT君と音楽の話になり、早速貸してもらったのが本作だった。それまでもヒップホップはぽつぽつ聴いていたが、のめり込むほどではなかった。しかし、本作をきっかけにヒップホップに傾倒していき、サンプリング元のファンクやソウルなどのリズムを重視した音楽や、今まで聴いてきたものでも、リズムを意識して聴くようになったという経緯があるため、自分の中ではかなり転換点となり、これをあの時教えてもらわなかったらと思うとゾッとしさえする1枚。

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◯執筆=JMX
Twitter:@JmxMbp
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musit編集部