私を構成する9枚【寄稿/葱編】

私を構成する9枚【寄稿/葱編】

#私を構成する9枚--その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。

アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。

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ASIAN KUNG-FU GENERATION『BEST HIT AKG』(2012)

中学1年生の夏、音楽との出会いは突然起こった。帰り道を共にしていたO君とI君が「アジカン」というワードについて話していた。私はそれが何なのかさえ分からなかったが、どうやら音楽についての話らしく、親切にも次の日に彼は「アジカン」のCDを貸してくれた。『BEST HIT AKG』という名前と共にジャケットの緻密なタッチの絵が印象的で、そこから辿る道は多くの音楽リスナーと同じだった。鳴っている音も、どんなものが使われているかも、誰が歌っているのかも知らない。だが何も分からないながら「かっこいい」という感情だけが明確だったし、その「かっこいい」は今でも音楽を聴くうえでの私の指針となっている。音楽の世界への扉になってくれた1枚だし、バンドに求めている全てが詰まっているなと改めて思う。

oasis『 (What’s the Story) Morning Glory?』(1995)

中学2年生の頃にこのアルバムと出会ったが、未だに私はこの作品を超えるものに出会っていない。高らかに幕開けを告げる「Hello」から大アンセムが連なり、軽快なミドルポップやインスト曲を挟み「Champagne Supernova」で幕を閉じる50分。完璧。完全に個人的な話であるが、中学高校と私は都心まで満員電車に揺られながら50分ほどかけて登下校していて、一時期、ひたすらこのアルバムと共にその時間を過ごしていた。今ではサブスクが生活の中心となり同じアルバムを10回、20回聴くことも少なくなった。あらゆる刺激に敏感だった中学時代に何十回と聴き続けたこのアルバムは今の私の血肉になっているし、ギャラガー兄弟の在り方含めて自分に多大な影響を与えた1枚だ。

乃木坂46『それぞれの椅子』(2016)

このような企画には相応しくないかもしれないが、自分を構成している要素の1つは乃木坂46だ。中学生の頃に乃木坂46に出会い、初めて買ったCDもこれだった。私は彼女たちを通して「楽曲を楽しむ」以外の音楽の楽しさに触れた。CDジャケットのフォントや衣装、盤面のデザイン、MVや広告といった要素に沢山の人のクリエイティビティが込められているという事実は、中学生の私からすれば目から鱗であった。そんな乃木坂46が国民的アイドルになる直前、クリエイティビティのひとつの極致として発表したのがこのアルバムだ。彼女たちの一瞬の輝きと、乃木坂46を追いかけたあの頃の思い出を勝手に混同してしまうのは、少し身勝手すぎるだろうか。

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◯執筆:葱
Twitter:@neginegi0924
note:https://note.com/richnoise/

musit編集部