【スクリーンで君が観たい Vol.11】映画界の大スターは永遠の初恋相手──レオナルド・ディカプリオ

【スクリーンで君が観たい Vol.11】映画界の大スターは永遠の初恋相手──レオナルド・ディカプリオ

一目見て恋に落ちる、というのは映画ファンとして得難い体験であり、その瞬間は忘れられないものになる。銀幕の中に生きる絶世の美青年…といえば、皆さんは誰を思い浮かべるだろうか。名作で言えば『ベニスに死す』(1971)のビョルン・アンドレセン、『太陽がいっぱい』(1960)のアラン・ドロン……人それぞれに夢中になった俳優はいるかと思うが、私にとってはそれが『タイタニック』(1997)でジャック・ドーソンを演じたレオナルド・ディカプリオだった。

初めて彼を見た時の衝撃が、今でも忘れられない。サスペンダーにくたびれたシャツ、そして輝くブロンドとブルー・アイズ。沈みゆく運命を背負った船上でローズが彼に恋をしたように私も恋をし、彼の愛に溢れた行いと最期に熱い涙をこぼしたのだった。

青年期のディカプリオは向かうところ敵なし、といった感じの無敵さを持っていたように思う。幼さと早熟さが垣間見える甘いフェイスはたちまちスクリーンを見つめる女性たちを虜にし、熱狂を巻き起こした。1997年版『ロミオ&ジュリエット』でロミオを演じた彼を観た時には、シェイクスピアの腰が砕けるような台詞を地で行く美青年っぷりに赤面が止まらなかったし、幻の作品と言われる1995年公開『太陽と月に背いて』では中年の男をたぶらかし、狂わせる蠱惑的な青年を演じていると聞き、プレミアのついた海外版の円盤を買おうとまで思ったほどだ──5万近くするうえに日本語字幕なしというハードルの高さに躊躇してしまっているが、映画ファンとしての生涯で必ず観たい1本に入っている。

──と、そんな感じで、『タイタニック』を観てからというもの青年ディカプリオの美しさにぞっこんになってしまったわけだが、昨今の彼の出演作品もマストルックであることを忘れてはいけない。なんせ彼の魅力は、美貌は元より確かな演技力にある。ジョニー・デップとの共演作である『ギルバート・グレイプ』(1993)では知的障害を抱えた少年アーニーを演じ、リアリティを追求した演技力で高い評価を得た。少年期から演技の才能を開花させていただけあって、歳を重ねるごとに深みが増していく彼の演技は映画好きにとっては垂涎ものだろう。

最近だと、クエンティン・タランティーノ監督作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)にブラッド・ピット、マーゴット・ロビーらと共演。映画ファンである友人が「このレオ様はやばい。沼にハマる」と鼻息を荒くして語っていたので、未見の私はダンディになったディカプリオが魅せる色気と熟した演技への期待値が上昇するばかりだ。

ほかにもクリストファー・ノーラン監督作品『インセプション』(2010)やスティーブン・スピルバーグ監督作品『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)など、名だたる監督の元で様々な役を演じてきたディカプリオ。名実共にれっきとした映画界の大スターであり、映画を語るうえでは欠かせない俳優と言えるだろう。そんな彼のまだ観ぬ姿があるということは、映画を愛する私の心を躍らせ、人生の愉しみを与えてくれる。

永遠の美青年であり、最高の映画スターであるディカプリオに恋したあの頃を思い出しながら、これからの輝かしい活躍を熱い瞳で見つめていきたい。

安藤エヌ