あの頃のCDには、曲だけじゃない何かが詰まっていた。

あの頃のCDには、曲だけじゃない何かが詰まっていた。

はじめまして、コラムライターのせきねです。

突然ですが、皆さんはどんな風に音楽を楽しんでいますか?
もう現代には無数に音楽の楽しみ方が広がっていて、ただ音楽を聴くという行為だけでも、
「100人いれば100通りの聴き方がある」といっても過言ではないほど、無限の組み合わせがありますよね。

1877年、エジソンが蓄音機を発明しました。
1887年、レコードの原型「グラモフォン」が誕生しました。
1958年、カセットテープが音楽の楽しみ方を大きく変えました。
1992年にCDが普及し、90年代後半にMP3が、2000年代初期にIPodがオギャアと産声を上げました。

そして現在では定額制で様々なジャンルを網羅できるストリーミングサービス、
誰でも簡単に自分の作った音楽を発信できるYouTubeが主役となって、これからの音楽業界を盛り上げています。

さらに、それだけではありません。
イヤホンやヘッドホン・スピーカーなどの視聴器具も年々著しく進化を遂げ、
Air Podsを筆頭に、様々なワイヤレスイヤホンが、「スタイリッシュに音楽を聴く為のオシャレアイテム」になりつつあります。

しかし、そんな音楽コンテンツの進化とは裏腹に、現代の音楽市場は年々マイナスの方向へと進んでいっています。

主な理由がストリーミングサービスを中心とした、インターネットの利便化によるものです。

「どれだけ作品が良くても、CDは売れない。」
名声を得たいバンドマンが今売り出すべきものは、CDではなくグッズだとも言われていますよね。

令和のサブスク、平成のトキメキ、あの頃のバンプ

かくいう私も、すっかりITunesやSpotifyなどのストリーミングサービスにお熱。
「これメッチャおすすめ!お前なら好きだと思う!」とオススメされた音楽が、
わざわざTSUTAYAに寄ってお金を払わなくても、帰りの電車でそのままポンッと調べて聴けちゃうなんて。
本当、良い時代に生まれたな。

大人になった今だからこそ言えますが、ジャイアン気質だった小学生の私は、兄の部屋から数十枚単位でCDを盗んでいました。
当時、私は兄の影響でBUMP OF CHICKENが大好きだったので、
今は廃盤になっている「ランプ」などのシングルや、初回限定盤の「orbital period」など、
今ではプレミア級に価値のあるCDをコソドロしていました。(のちに没収され、そのまま洋楽に流れた兄に売られる訳ですが)。

でも、あのとき勝手にこっそり部屋に入って、大好きなバンドのCDに触れたときの高揚感といったら!

「どれだけサブスクが充実しても、本当に好きなバンドのCDだけは買おう」。
これは、サブスクが流行りだしたときの自分との約束でした。
でも時は過ぎ、2019年現在、限定発売以外のCDは1枚も買っていません。
つまり、私はあの頃感じていたドキドキやワクワクを、大人の自分に残しておくことができなかったのです。

今こそ問われるCDの定義

「CDは何の為に必要なのか?」と聞かれて、誰もが納得する純度100%の模範解答ができる人はきっと少ないでしょう。
音楽をやっている人は「生計を立てるため」と答えるかもしれません。
が、現状サブスクの占有率が圧倒的に高いことを踏まえると、
CDが主軸となって収入を得ることは、よほど人気のアーティストでない限り難しいですよね。

私を含め、視聴者の視点に立ってみると、
「CDそのものではなく、CDを買うことで得られる付加価値」が、
現代においてCDを買う最大の目的なのではないでしょうか?

初回購入特典の為に買う人、イベントの為に爆買いする人、サインが欲しくて買う人、
それから「あの時の感情を忘れられない人」。

CD本体には、もはや用はないのです。

タピオカは9周期、ファッションは20周期、そして音楽は

タピオカは今期のブームが3度目だと言われています。
ファッションやデザイン業界では「流行は20年周期」だと言われています。

CDもいつか、あと少し時が経つのを待てば、
また繰り返し、音楽を愛する人たちが、
CDラックにディスクを並べる日が来るのでしょうか。

家から出てタワレコに行き、
休日にはTSUTAYAで何時間と見繕って「期待の5枚」をセレクトし、
包装されているビニールを爪楊枝で外し、
はやる気持ちを抑えて丁寧にディスクを取り出して、
歌詞カードを開いては、生まれたての楽曲に嬉し涙を流す日が来るのでしょうか。

私はそんな日がまた来ると信じています。

在り方は変わったとて、そのときはまた、
時代の流れに沿った「音楽コンテンツ」として存在する意義がCDにはあるのでしょう。

せきね