ニッチな鯖カレー缶の世界〜玉置浩二からカレーに合うお酒まで〜

ニッチな鯖カレー缶の世界〜玉置浩二からカレーに合うお酒まで〜

こんにちは、缶詰好き酒屋勤務の仲川ドイツです。
先日某媒体に取り上げていただいた影響で、私の勤める酒屋にも缶詰を買いに来るお客様が毎日いらっしゃいます。ありがたい、ありがたい。

改めて、缶詰好きな方って意外と沢山いるんだなあと実感している今日この頃ですが、その中でも1番盛り上がっているのはやはり「鯖缶」。昨今の健康ブームに影響されてなのか、水煮缶は特に人気です。しかしそんな鯖缶の中でも、いまいち盛り上がっていないジャンルがある。

それは「鯖カレー缶」!

今回はニッチだけど実は少し歴史がある、鯖カレー缶についてのお話です。

きっかけは高木商店

職業柄、仕事の帰り道に市場調査も兼ねてほかの食料品店に寄ることが多いのですが、その日はエキュート上野内にあるKINOKUNIYAに立ち寄りました。缶詰の棚を眺めていると、何やら見慣れない鯖カレー缶を発見。

パッケージには「KINOKUNIYA」の表記があり、プライベート商品であることがうかがえます。けどこのサイズ、この佇まい…! 製造元はもしや?


高木商店!

いや、私高木商店大好きなんですよ。高木商店の工場は茨城県神栖市、利根川を挟んで銚子港のすぐ向かいにあります。銚子港で揚がった魚をすぐ工場に持ち込んで、缶詰に詰めて調理ができる。
意外な話かもしれませんが、美味しい缶詰の第一条件は魚の鮮度だと私は思っています。その点で高木商店の缶詰は良い素材を使ってどれも臭みがなく、味付けも絶妙。特に酒飲みの気持ちに答えるおつまみ缶詰として、素晴らしく相応しいメーカーです。

今回はそんな高木商店の鯖カレー缶と、他メーカーから出ている鯖カレー缶の食べ比べレビューをしてみようと思います。

①KINOKUNIYA「さばカレー煮」

まずは今回本命のこちら。

早速開缶してみると、ゴロゴロっとした大きな鯖の身が2つ、ルーに浸って缶いっぱいに入ってます。他の具はなし。
味わいはトマトと玉ねぎの風味の溶け込んだまろやかなベースに、白胡椒などのスパイスが利いています。レトルトカレーで言うなら中辛程度の辛さかな。これは白米が欲しくなる!

とても美味しいのですが、高木商店にしては鯖の脂ノリがちょっと少ないかな…と思ってしまいました(高木商店が好きすぎるのでどうしてもハードルが上がってしまう…)。しかし臭みがなく、ふっくらとした仕上がりはやはり高木商店! さすがです。

…と書いていて、そういえば高木商店ブランドでも鯖カレー缶を出していたなと思い出しました。多分中身は一緒なのだと思います。

【コラム】缶詰に合う音楽:CAN『Ege Bamyasi』

缶詰食べながら一緒に聴きたい音楽も紹介しておきましょう。

ドイツのクラウトロックバンド・CANが1972年にリリースしたアルバム『Ege Bamyasi』。見ての通り、ジャケットがオクラの缶詰です。

この次のアルバム『Future Days』に繋がるしなやかさな演奏と、前作『Tago Mago』からのダウナーな雰囲気と実験性が結び付いた名盤。ヤキ・リーベツァイトの空気のように軽やかなドラムプレイは、食事を邪魔せず相性が良いのではないかと思います。
また、CANの代表曲とも言えるB面1曲目の「Vitamin C」では「アンタ、ビタミンCなくしちゃってるよ!」とダモ鈴木が歌っていますよ。とりあえずレモンサワーでも飲みながら、引き続きレビューを続けていくことにしましょう。

②信田缶詰「サバカレー」

鯖カレー缶といえば、1番有名なのがこの缶詰。

開缶してみると少し黄色味がかかった、ひたひたのルーがお目見え。そしてジャガイモと人参。鯖の身は1口大にカットしてあり、衣を付けてフライしてあります。ルーは家庭のカレーのような、甘口~中辛の辛さ。

鯖の身を食べてみると、少し硬めながら噛み締めることによってジュワジュワと溢れる脂が口中でルーと絡んでまろやかで美味しい。ふやけた衣の食感も良い。カレー味の鯖缶ではなく、これはサバカレーという食べ物。素晴らしい。

ところで、この信田缶詰のサバカレー。1番有名と書きましたが、本当に有名になった時期が過去にありました。
皆さんは1996年にフジテレビ系で放送されていた『コーチ(COACH)』というドラマはご存知ですか?

‘‘千葉県銚子市または旭市付近の九十九里浜の缶詰工場が舞台。東京の大企業・伍代物産から派遣された久保田渚が工場の従業員と共に工場の建て直しに奮闘する、群像劇を主体とした連続ドラマである。’’--Wikipediaより抜粋

このドラマは若手スター俳優/女優が出ているわけでもなく、非常に素朴なストーリーながら最終話21.5%を獲得し一躍大ヒット作品に!

そしてこの物語の中で、缶詰工場の立て直しのキーアイテムとなったのが、なんとサバカレー缶。「鯖+カレー」という一見ミスマッチに思える組み合わせ。この架空の缶詰を見事に商品化したのが、信田缶詰のサバカレーでした。発売当時は生産が追いつかない程の大ヒット商品だったそう。当時新潟の片田舎でこのドラマを見ていた少年の私も「サバカレー缶食いてえ!」と思ったものでした。

ということでここからはCANではなく、このドラマの主題歌である、玉置浩二の「田園」を聴きながら読んでいただければ幸いです。

③マルヌシ「八戸サバ缶バー グリーンカレー味」

「38CAN BAR」と書いてサバ缶バー。青森県内、もしくはアンテナショップなど、青森県関連のショップのみでの限定発売の商品だそうです。これはシリーズ全6商品ある中のグリーンカレー味。

開缶してみると、ルーに浸ってゴロゴロっといくつも鯖の身が所狭しと入っている。部位は腹身、尻尾の方と色々。他の具はなし。グリーンカレーのルーは本格的。ナンプラーも入っているけど、鯖からも良い出汁が出ていて深みがある。ご飯にかけてもいいけれど、単品でも楽しめるギリギリの塩加減と辛さに仕上がってます。肝心の鯖も皮下脂肪たっぷりで良いクオリティ。
おしゃれなカフェとかで出てきても全然OKなクオリティですね。これが500円弱で買えちゃうんだからすごい。

カレーに合うお酒は?

「カレーにはどんなお酒を合わせたらいいですか?」という質問を結構いただきます。

例えば1番最初の高木商店のようにトマトを使ったカレーなら、私は芋焼酎の濃いめの水割りをおすすめしています。日本酒ならば少し酸の効いた純米酒。雄町(という酒米)で造ったふくよかな味わいのものなどが良く合いますよ。

ほかに香味野菜の優しい旨みが活きたスパイスカレーには、スパイス繋がりでコリアンダーの利いたベルジャンホワイト(ベルギーの小麦ビール)。ナンプラーの効いたグリーンカレーにはロゼワインがびっくりするくらいよく合います。
いわゆる家庭のカレーであれば、ギネスなどのドライなスタウト(黒ビール)がグッド。

最後に

鯖カレー缶レビュー、どうでした? 食べたくなったでしょう?
今回レビューしたほかにも、大手のマルハニチロからも発売されています。日本全国はまだ見ぬ鯖カレー缶があるはずなので、是非探して食べてみてください。

なお、私の勤務する店には鯨カレー缶はありますが、鯖カレー缶は置いてないということにこの記事を書いていて気付きました…。精進します。

仲川ドイツ