僕は大人になってから本格的にアコギを始め、「コード」についてより深く理解したことで、音楽がさらに楽しくなりました。
しかしコードや音楽理論はとても複雑。コードを学ぼうと意気込んで、ネット上の記事を読もうとしても何だか難しい用語ばかり。そのため、アコギを持ってはいるけれども、正直いまいちコードについて良く理解できていない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、コード進行についてできるだけ分かりやすく解説していきます。
ギターコードについて説明する前に、最低限理解しておきたい音楽用語を説明します。
ダイアトニックコードとは、ダイアトニックスケール(「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」)で構成されたコードのことを言います。
例えばキーが「C(ハ長調)」の場合、ダイアトニックコードは以下のようになります。
全てのコードが「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」で構成されていることがわかりますね。
基本的にダイアトニックコードをいくつか並べるだけで、ある程度形の整った曲ができます。
スリーコード(主要三和音)とは、ダイアトニックコードの中でも特に主要な3つのコード。
会社で例えるなら、幹部や役員。とても重要なポジションです。
スリーコードには、①トニック②サブドミナント③ドミナントの3種類があり、それぞれ以下のような性質を持っています。
例えばキーがCの場合、それぞれトニック=C、サブドミナント=F、ドミナント=Gとなり、F→G→Cとコードが進行すると自然な流れに感じます。
以上の用語を抑えたうえで、コード進行について確認していきましょう。
次に、ダイアトニックコードを使った王道のコード進行について解説していきます。
なお、ここでご紹介するコードは、すべてキーをCにして記載しています。
このコード進行は、別名「カノンコード」ともいわれ、最も代表的なコード進行と言っても過言ではありません。特にJ-POPにおいては、「負けないで」や「さくら(独唱)」など、様々な楽曲のAメロやサビなどに使われています。
このコード進行も、カノンコードと同じくAメロやサビなど幅広く使われています。
通常2つ目のドミナントコード「G」からの流れは、トニックコード「C」へと進むのが自然なのですが、あえて「Em」に移行しているため、どこかもどかしさを感じるコード進行です。
「ロビンソン」や「瞳を閉じて」などで用いられており、カノンコードと並んで王道のコード進行といえますね。
こちらもJ-POPでよく利用されるコード進行。
特に小室哲哉さんが作曲した楽曲で多用されているため、別名「小室進行」とも呼ばれています。現在ではボカロ曲やアニソンなどに多く見られます。
このコード進行が使用されている楽曲は、「Get Wild」や「言葉にできない」などが代表的です。
このコード進行は、Aメロとサビの雰囲気を変えるために用いられることが多い印象です。
例えば、スピッツの「チェリー」では、Aメロ部分はカノンコードで進行しますが、サビ部分はこのコード進行を利用し、雰囲気を暗めにすることでぐっと引き付けられます。
ここまでは、王道のコード進行について解説してきました。
しかし王道のコード進行だけでは、曲が味気なくどこかで聴いたようなものになる可能性が非常に高く、リスナーの記憶に残りにくくなってしまいがちです。
そこで王道のコード進行に少しスパイスを加えてあげるだけで、途端にオリジナリティが生まれ、曲が輝き出します。
ノンダイアトニック・コードとは、その名の通りダイアトニック・コードではないコードのこと。
例えばキーCにおいては、C・Dm・Em・F・G・Am・Bm7-5以外の、「E」や「Gm」などのコードは全てノンダイアトニックコードにあたります。
また、ノンダイアトニック・コードには、ダイアトニック・スケールでない構成音が含まれているため、良い意味で「違和感」が生じます。
例えば、簡単なスリーコードである「F→G→C」を「F→Fm→C」に変えるだけでも、哀愁漂うコード進行に変化。また、カノンコード「C→G→Am→Em」の場合、2つ目のGを「E」に変えて「C→E→Am→Em」とすると、どこか切ない響きに。
さらに最後のEmを「Gm→C7」に変えると、ガラッと雰囲気が変わりますね。
また、サビでカノンコードを利用する場合、以下のように「C→G→Am→Em」を2回繰り返すと、なんだかしつこくなってしまいます。
例:C→G→Am→Em→F→C→F→G
→C→G→Am→Em→F→G→C
そこで、2回目の部分を以下のように変えると、マンネリ感がなくなります。
例:C→G→Am→Em→F→C→F→G
→F#m7-5→FM7→Am→Em→F→G→C
「F→G→Em→Am」のコード進行では、EmをE7にすることでどこか切ない印象になりますね。
このように、ノンダイアトニック・コードを効果的に入れ込むと、曲がより魅力的なものに変化します。
普遍的で味気のないコード進行を脱するためには、ノンダイアトニック・コードの効果的な利用が不可欠といえるでしょう。
オンコード(分数コード)とは、コード名とベース音(ルート音)が違うコードのことです。「G/B」や「GonB」のように表記されます。
通常のGコードでは、ベース音もGつまり「ソ」です。
しかし「G/B」では、ベース音がB=「シ」となります。
カノンコードでは、「C→G→Am→Em→F→C→F→G」のようにベース音がバラバラで、統一性がありません。これはこれで良いのですが、全体的なまとまりに欠けてしまいますね。
そこでコンコードを活用し、「C→G/B→Am→Em/G→F→C/E→Dm→G」のように、ベース音を1つずつ下げていくことで、進行がよりなめらかになります。
「F→G→Em→Am」の進行では、2つ目のコードを「G/F」にし、「F→G/F→Em→Am」にすることで、もどかしさが増します。
また「F→G→Em→E/G#→Am」のように、EmからE/G#を挟んでAmに繋げられることも多いのです。
メジャー・セブンス・コードは、「CM7」「FM7」のように表記されます。
アコギにとってメジャー・セブンス・コードは、簡単に押弦できて雰囲気をよりメロウにできるため、頼れる存在です(僕もメジャー・セブンス・コードが大好き)。
「F→G→Em→Am」では、1つの目のコードを「FM7」にし、「FM7→G→Em→Am」にしている楽曲が多くあります。
また、FからFM7にすることでセーハがなくなるため、アコギ初心者にとっても弾きやすくなります。
さらに、曲の最後をトニックコードではなく、あえてメジャー・セブンスにしたサブドミナント・コードにする方法もあります。
例えば、キーCの曲において最後のコードを「C」ではなく「FM7」にすると、余韻を残して曲が終わるため、個人的にとても気に入っている使い方です。
ここまでご紹介したもの以外では、以下のようなコード進行が個人的にはおすすめです。
このように、一見バラバラに見えて実はベース音が繋がっているようなコード進行を聴くと、僕は思わず胸が打たれます。
知っているコード進行のバリエーションを増やすと、コード進行を覚えやすいだけでなく、作曲の時にも役立ちますね。
今回は魅力的なコード進行について、簡単に解説しました!
コードについては本当に奥が深く、今回解説したのは本当に基礎的かつ一部分に過ぎません。
しかし、ほんの少しの工夫でコード進行は簡単におしゃれになることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
アコギを弾いている方は、楽曲に利用されているコード進行に興味を持ってみることで、音楽ライフがきっとさらに楽しくなるはずです!