Gosekiのアメリカ徒然探訪録:Day 10-11

Gosekiのアメリカ徒然探訪録:Day 10-11

Day 9ではレコ屋を巡り、同じくアメリカに来ていたSiMのライブを目撃した一行。晩ご飯の「YOSHINOYA」の牛丼が予想外に美味しく、思わず泣きそうになってしまうなど、とにかく話題には事欠かない。そんなアメリカでの滞在も10日目。迫るライブに向けて練習をしつつ、もうしばし羽を伸ばすのだった。

主な登場人物

ゴセキ
Awesome &roid ベース、musitライター

タツル
Awesome &roid ヴォーカル/ギター

ショータロー
カメラマン

ケイシー・デイツ
The Velvet Teenのドラマー/Awsome &roidのアメリカ・ツアーのサポート・ドラマー

ルームメイトT
ケイシーのルームメイト/台湾人

* * *

8月10日

アメリカに来て、もう10日も経つのかと驚く。毎日のように新鮮な衝撃に襲われるため、日々があっという間に過ぎていく。今日は3人とも何もない日だった。ケイシーも用があり練習もなかったため、私たちは朝から車で出かけることにした。

まずは近くのスターバックスでコーヒーを頼む。初日(Day 1)しか書けていなかったが、私はその後も何度もスタバでの注文にチャレンジしていた。その甲斐もありアイスカフェラテのトールサイズは難なく注文できる。が、しかし、名前だけは何度言っても「Yuda」や「Luya」「Yuua」などにされてしまう。

そして今日も「名前は?」と聞かれ、私は「YUTA!」と大きな声で発音する。そして渡されたカップには「Utah : ) 」と書かれていた。それはもうユタ州のスペルじゃん。。と呆れたが、発音的には一番良かったのではないだろうか。私の挑戦は続く。

次に私たちが向かったのは《In-N-Out University》だ。ただのハンバーガー屋だと思ったらそれは違う。ここは《In-N-Out》のTシャツや靴下などさまざまなグッズが買えるお土産屋さんなのだ(もちろん飲食も可能)。カリフォルニアを中心に限定展開しているIn-N-OutはTシャツなどのマーチャンダイズも人気で、周年記念Tシャツなどはネットで高額で出回っているほどだ。日本でも人気があるらしく、お土産に最適なのだそうだ。このIn-N-Out Universityでは今までのデザインやラスベガスなどの地域限定Tシャツはもちろん、キャップや子供服、エプロンまで様々なグッズが買える。私たちはここでお土産を買うことにした。

私は友人などに買ってあげようと選んでいたが、セール品の中にユタ州限定のTシャツを見つけた。さっきスタバで「Utah」と呼ばれた男としてはこれは是非欲しい。安かったのでなんとなく2枚買った。ショータローはIn-N-OutのTシャツコレクターで、ここにあるデザインはほとんど持っているらしい。すごい。そういえば今回のアメリカツアーで彼が着ている服はNFGかIn-N-OutのTシャツだけな気がする。買い物を終えた私たちは、あえてIn-N-Outではご飯を食べず、別の店に行くことにした。

ロサンゼルスの西側にある街、ウェスト・コビナにあるハンバーガー屋《Bun Street》へ向かう。ショータローのオススメのお店で、ここのマッケンチーズバーガーが絶品なのだそうだ。店内はハンバーガー屋というよりもバーに近く、カウンターではおっさんたちがビールを飲み、ウエイトレスの女の子と談笑しながら野球を観戦している。実にアメリカっぽい風景だなと笑ってしまう。

マッケンチーズバーガーは、これでもかというほどマカロニチーズを挟んだバーガーで、パンからマカロニが溢れている。誰がどう見ても食べにくそうなバーガーで、予想を裏切らず、ちゃんと食べにくかった。だがマカロニチーズの美味しさも本物で、まずは皿に溢れたマカロニをフォークで食べ、頃合いを見てバーガーに着手するという方法で食べた。マカロニチーズとハンバーグの相性が最高で、お酒にも合う。正直、アメリカで食べたバーガーの中で一番美味しかったかもしれない。

お腹いっぱいになったあとに行きたくなる場所といえばそう、コーヒー屋だ。我々は次に《RAD COFFEE》というコーヒー屋へ向かった。「RAD」とはスラングで「最高」という意味だ。「Awesome」の名を冠する私たちとしては行かねばならない場所だ。

RAD COFFEEは店の半分がピンボール場になっており、コーヒーを飲みながらピンボールで遊べる非常にRADな施設だった。また、様々なライブのフライヤーが壁一面に飾られており、地元のバンドはもちろん、GREEN DAYやBlink-182などのインディー時代と思われるフライヤーもあった。私はFUGAZIのフライヤーの横にAwesome &roidのステッカーを貼った。店内にはグッズもたくさんあり、ピンバッチとステッカーを購入した。

次の目的地はシタデルにある《Citadel Outlets》だ。VANSやニューバランス、コンヴァースなどのUS規格をより安く買うために、今回は暇さえあればアウトレットへ行く予定だった。だが思っていたよりもやることが多く、一日空いてる日がなかったため、今回が初めてのアウトレットディグだ。

私はそこまで靴や服に対しての熱意がなかったため、始終2人の買い物を眺めていた。知識がないためよく分からないが、好きな人からすればUS規格が当たり前にあるアウトレットというのは宝の山なのだ。特に何も買う予定はなかったのだが、タツルがVANSでレアな靴を見つけた。値段も安くなっており、日本じゃなかなか手に入らないが、彼の趣味じゃないというので横取りし、私が買った。ライブ用の靴が欲しかったのでちょうど良かった。

他にも様々な店を見て回り、最後になんとなしに入ったディズニーストアにて、あるものを見つけた。私がアナハイムで買ったフォーキーの人形*が、半額で売っていたのだ。「ディズニーでしか買えない」と銘打っていたので私は衝撃を受けた。そして目を逸らし、見なかったことにした。「お土産は値段じゃない、気持ちだ」と自分に言い聞かせて、私たちはアウトレットを後にした。

*Day 5を参照。姪へのプレゼントとして購入したが、対象年齢が高かったため渡すことができず、箱に入ったままとなってしまうとは、この時の彼は知る由もなかった。

次に向かったのはゲームセンターだ。遊びに来たわけではない。いや、遊びに来たのだがゲームをしに来たのではない。この《Golf N’ Stuff Family Fun Center》はアヴリル・ラヴィーンの名曲「Girlfriend」のMVの舞台になっており、近かったので見に来たというわけだ。MVの撮影時と看板が変わっており若干分かりにくかったが、面影は当時のまま残っており、面白かった。これが聖地巡礼というやつか。パターゴルフ場とゲームセンターとゴーカートが併設されているのだが、人はまばらで面白くなさそうだったので、見るだけ見て帰ることにした。

その後、ウォルマートに行き日用品やお菓子などを買い、その日は帰宅。Aタウンに戻ったのは23時頃になっていたが、ケイシーはまだ起きていた。明日は一緒に朝ごはんを食べに行こうと誘ってくれた。近くに美味しいパンケーキ屋さんがあるのだという。パンケーキは朝ごはんの分類なのかと若干の驚きを飲み込みつつ、私とタツルはモーテルへ戻った。

* * *

8月11日

昨日約束した通り、ケイシーとそのルームメイトのTと、5人でモーニングを食べに行く。モンロビアにあるお店で、休日には行列ができるほど人気のスペイン料理屋なのだそうだ。

みんなガレットなどのモーニングメニューを頼んでいたが、私はお腹が空いていなかったのでパンケーキを頼んだ。出てきたのは想像の3倍ほど大きい、イチゴと生クリームがふんだんに使われたパンケーキだったが、もはや驚かない。アメリカとはこういうものだ。味はとても美味しかった。だが、朝イチに摂取する糖分の量ではなく、食べてからしばらく目が回った。

食事をしながらTの話を聞く。台湾人のTは英語が全く話せない状態で単身でアメリカに渡り、とにかく苦労しながら英語を身につけたという。英語しか通じない状況に身を置くことで自然と話せるようになる、とアドバイスをくれた。確かに、タツルやショータローが英語を話せるのは勉強したのはもちろんだが、単身でアメリカに滞在していたことも大きいだろう。そのため2人は簡単な買い物や注文などでは助けてくれない。経験しないといつまでも何もできないからだ。

アメリカに来たばかりの時、ハンバーガーも注文できず、なんで誰も助けてくれないのかと思っていたが、それは彼らなりの優しさだったのだ。おかげで最近では、簡単な注文なら萎縮することもなくできるようになった。それに、もっとケイシーやTをはじめとするアメリカで知り合った人たちとコミュニケーションをとりたい、と思うようにもなっていた。少しずつだが、私も成長できているのかもしれない。次に来た時にはもう少し頑張って、2人に心配をかけないくらいになれたら良いなと思う。

朝ごはんを終えケイシー宅に戻り、2時間ほどライブのリハーサルを行った。ケイシーからも曲の改善点を指摘してもらったり、フィルの相談をしたりとバンドとしてのクオリティがどんどん上がっているのが分かる。3人で合わせているからこそコードのシンクロ感や歌のハマり具合などがより分かり、私やタツルにとっても内容の濃い練習となっているのは間違いなかった。

練習の後、タツルはアメリカの友人に会うため今日は別行動となった。タツルは気を遣って、友人に私を紹介するから一緒に来ても良いと言ってくれたが遠慮した。

この10日間、ほぼすべての時間を共有し、時にはベッドも共有していた私たちにとって、初めての別行動だ。特に今までストレスもなく仲良く過ごしてはいたが、たまには1人でいたい日もある。タツルにとっても、ずっと私のおもりをするのは気が滅入るだろうし、何よりアメリカにいる友人に会うなんて素敵じゃん!と思った。英語も話せない私が水を差すのは違うなと思ったのだ。

タツルをロサンゼルスのダウンタウンへ降ろし、私とショータローは暇だったのでドライブすることにした。

ロサンゼルスにあるLAリバーに行ってみる。ここは『ターミネーター2』の冒頭で、主人公のジョン・コナーがT-1000に遭遇し追われるシーンで使われていたり、私たちが敬愛するバンド、Good Charlotteの「The River」のMVの撮影地となっている。

ロサンゼルスのダウンタウンの真ん中に流れるLAリバーは治安も悪く、壁は落書きだらけ、ホームレスもうろつき、若者がたむろっている。1人じゃ絶対に来れない。それでも、私が最も好きな映画の1つである『ターミネーター2』の聖地を見てみたかったし、ショータローは柔道の達人なのでなんとかなるか、と達観した。治安は悪そうではあったが、YouTuberらしき人やヒップホップグループが撮影をしていたので、人気のスポットではあるのだろう。映画や有名曲のMVに実際に使われた場所などがあちこちにあり、不思議な気持ちになってしまう。これがアメリカなのかと何十回目かの想いに耽った。

その後も2人でピザ屋巡りをし、おそろいのキャップを買ったり、アイス屋さんでアイスを食べたりと、カップルみたいなことをしながら拠点であるAタウンに戻ってきた。

私は1つ、興味本位で食べてみたいものがあった。ラーメンだ。先日、意外と美味しい牛丼を食べたので、ラーメンはどんなもんかと興味が湧いたのだ。

調べると、近くに《かい》というラーメン屋があったので入ってみた。店内は真っ赤で赤提灯がぶら下がっており、「海外映画に登場する日本の店」っぽい内装だった。海外からみた日本のイメージカラーは赤なのだろうか。ハリウッド映画などで日本が舞台の作品を観ると、原色の赤や紫などのネオンが煌々とした様がよく映っている気がする。それを観る度に、知っている日本との違いにたじろいでしまう。

味は想像していたよりもずっと美味しかった。味噌ベースのラーメンで、よく国道通り沿いにあるチェーン店くらいのレベルだろうか。だが値段はそうはいかない。ラーメン1杯の値段が2,000円を超えており、さすがに驚いた。アメリカはそもそも物価が高い。しかも円安のせいでお会計の時は毎回目を白黒させてしまう。美味しかったが、私たちが残りの日数の中でラーメンを食べることはなかった。日本に帰ったらとびきり美味しいラーメンを食べよう。

ラーメンを食べ終わり帰路に着く。今日はタツルがいないしモーテルに戻ったら溜まりに溜まったアメリカ旅行記を書こうと思っていた時、タツルから電話があった。

「帰れなくなったので迎えに来てほしい」

LAから滞在しているAタウンは40分ほどかかる。今帰ってきたばかりでまたLAに行くのはさすがにしんどい。どうにか自力で帰って来れないのかと聞いたが、彼は相当酔っ払っているようで自力では帰れそうもなかった。

ここが日本だったら見捨てていたかもしれない。安全だし、どうにでもなるから。だがアメリカ、ロサンゼルス、しかも最も危険なダウンタウンに日本人ひとりで放置するわけにもいかず、私たちは今来た道をUターンし、タツルを迎えに行った。

タツルを無事に保護し、再びAタウンに戻る。彼は終始英語で何かを喋っていた。

結局、モーテルに着いたのは夜遅くになってしまい、疲れた私は旅行記を書かずに寝てしまった。旅行記が遅れてしまった理由は彼にあるのだ(もちろんその後もずっと書けなかったので全く関係ない)。タツルにはガソリン代と次の日の朝ご飯代を出してもらい。事なきを得た。

明日は日本から助っ人が来る日だ。彼を迎えに行くため、またロサンゼルスに行くのかと少し嫌な気持ちになったが、日本の友人に会えることが楽しみでもあった。

* * *

Goseki