稀代のスリーピースバンド『レミオロメン』を覚えているか

稀代のスリーピースバンド『レミオロメン』を覚えているか

あなたは“スリーピースバンド”と聞くと、どのバンドをイメージしますか?
back numberやSHISHAMO、あるいは最近では羊文学など、答えは様々でしょう。
僕なら『レミオロメン』と答えます。

彼らの楽曲は、一度聴いたら忘れられないものばかり。
今回は、レミオロメンの魅力や代表的な楽曲を紹介していきます。

レミオロメンのメンバーやバンド名の由来

レミオロメンは、藤巻 亮太、前田 啓介、神宮司 治の三人で構成されるロック・バンド。
メンバーそれぞれのパートは、以下の通りです。

  • 藤巻 亮太(ふじまき りょうた):ボーカル、ギター、作詞作曲
  • 前田 啓介(まえだ けいすけ):ベース、コーラス
  • 神宮司 治(じんぐうじ おさむ):ドラム、コーラス

バンド名は、メンバーでじゃんけんをして、勝った順に好きな文字を1文字、2文字、3文字と選び、それらを繋ぎ合わせた造語となっています。

  • レ:藤巻が好きなイギリス出身ロックバンド、Radiohead(レディオヘッド)の頭文字
  • ミオ:神宮司の名前と、当時付き合っていた彼女の名前それぞれの頭文字
  • ロメン:前田が好きな路面電車から

レミオロメンは、2000年の結成後、2003年にミニアルバム『フェスタ』でインディーズ・デビュー。
順調にキャリアを重ね、2005年11月に発売した8枚目のシングル『粉雪』は、ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌に起用されたこともあり、オリコン最高2位を記録し人気を不動のものとします。

その後も順調にヒットを重ねるものの、2012年2月に活動休止を発表。
2021年3月現在も、レミオロメンとしての活動は再開されていません。

レミオロメンの特徴

レミオロメンは、ギター、ベース、ドラムそれぞれの存在感が際立つ、スリーピースバンドならではのサウンドが特徴です。

2005年のシングル『南風』以降は、ストリングスなどの楽器が加わり、よりカラフルなサウンドとなりました。
彼らの楽曲を数多くプロデュースしたのは、Mr.Childrenや一青窈などを手がけたことでも知られるヒットメーカー、小林武史です。

何より、レミオロメンの楽曲を類まれなものに昇華させているのは、藤巻による存在感のある力強い歌声。
どれだけ歌唱力の高い人が彼らの楽曲を歌ったとしても、どこか物足りなさを感じます。

一方で、レミオロメンの楽曲は比較的簡単なコードで構成されています。
バンドを組んでいる方や、アコースティックギターで弾き語りをする方は、レミオロメンの楽曲を練習してみてはいかがでしょうか。

今だから聴きたいレミオロメンの楽曲7選

ではここで、令和の時代だからこそ聴きたいレミオロメンの楽曲を、7曲紹介します。

粉雪

『粉雪』は、オリコン最高2位、累計売上枚数85万枚を記録した、レミオロメンを代表する楽曲です。
また、収録された3枚目のアルバム『HORIZON』は、オリコン3週連続1位を記録しました。
冬を代表する一曲といっても過言ではありません。

藤巻の力強い歌声と“粉雪”という柔らかい言葉のギャップが、多くの人の心に残った要因でしょう。
また、エレキギターによる幻想的なサウンドと、壮大なオーケストラによる聴き応えのあるアレンジも特徴的です。

ちなみに、楽曲のタイトルが歌詞に登場する楽曲は一般的ですが、『粉雪』のようにAメロとサビ頭の両方にタイトルワードが用いられるケースは稀です。

3月9日

『3月9日』は、2004年3月にリリースされた3枚目のシングルです。
『粉雪』が冬を代表する楽曲であるなら、『3月9日』は春を代表する楽曲。
卒業式で流れていたという方や、歌ったことがある方も多いでしょう。

しかし、実は『3月9日』はレミオロメンのメンバー全員と共通する友人の結婚式を祝うために制作された楽曲です。
PVでは、最初に卒業のシーンが映るものの、大半が結婚式の描写となっています。

キーはFメジャーであり、爽やかなコード進行。
特にフレーズ終わりでは、B♭→C→Fのスリーコードが多用されている点が特徴的です。
“私”と“あなた”が共に歩む人生を、ひとつずつ丁寧に確認するかのような描かれ方がされています。

高音域の発声が求められるレミオロメンの楽曲の中でも、『3月9日』は比較的キーが低くコード進行も簡単であるため、弾き語りの練習に最適な一曲といえます。

南風

『南風』は、2005年2月にリリースされた6枚目のシングルです。
オリコンシングルチャートで週間9位を記録し、前作のシングル『モラトリアム』に引き続き、トップ10入りを果たしました。

また、『南風』が収録された同年3月リリースの2枚目となるアルバム『ether [エーテル]』は、オリコンアルバムチャートで週間2位を記録。
レミオロメンの人気を強固なものにした楽曲といえます。

『南風』の特徴は、なんといっても“君をもっと、愛をもっと”という印象的でキャッチーな歌詞とメロディ。
壮大なストリングスと、心臓の鼓動を表しているようなドラムも、『南風』を他の追随を許さない楽曲に仕上げています。

Wonderful & Beautiful

『Wonderful & Beautiful』は、2007年12月にリリースされた12枚目のシングルです。

テーマは、歌詞にも含まれている“冬の首都高”。
『粉雪』とも共通する幻想的なアレンジと、和音が心地良いピアノのリフ、そして歪んだエレキギターのサウンドが高次元で融合している楽曲です。

また、本来であればAメロやサビで用いられる『カノン進行』といわれるコード進行が、あえてBメロで用いられている点も特徴。
そうしてリスナーに違和感を与えることで、楽曲の存在感が増す効果を生んでいます。

個人的に、レミオロメンの楽曲で何が一番好きかと聞かれたら『Wonderful & Beautiful』と答えます。

太陽の下

『太陽の下』は、2006年3月にリリースされた8枚目のシングルです。
映画『子ぎつねヘレン』の主題歌に起用されたこともあり、オリコンの週間シングルチャートで初登場2位を記録しました。

この楽曲のアレンジは、ピアノとストリングスが多様された、王道J-POPといえるもの。
楽曲全体で暖かさを感じさせ、聴く人の心に落ち着きを与えます。
キーはF♯メジャーなので、アコギで弾く場合は、チューニングを半音下げてGメジャーのフォームで演奏すると良いでしょう。

ちなみにイントロのピアノソロをよく聴くと、「カチッ」というクリック音がします。
これは『太陽の下』をニューヨークでレコーディングした際に、誤って入ってしまった音。

帰国してから改めてイントロを録り直したものの、メンバーの意向によりクリック音が入ったテイクが採用されました。

プログラム

『プログラム』は、アルバム『HORIZON』に収録されている楽曲です。
『3月9日』や『太陽の下』ほどキャッチーではないにも関わらず、一度聴いたら忘れられない楽曲に仕上がっています。

まず歌詞は、“戦車とミサイルでオセロする”“蜂は蜜を集めて(蜜は蜂を集めて)”など、世界観や表現が独特。
あまり現実味のない歌詞が続いたあとに、サビで唐突に登場する“センター試験”というワードで、一気に現実に引き戻されます。

そして間奏では、変則的なリズムと疾走感のあるエレキギター、その裏で正確に刻み続けるベースにより、レミオロメンの演奏力の高さを堪能できます。

傘クラゲ

『傘クラゲ』は、アルバム『HORIZON』に収録されています。
作曲を担当したのは、ベースの前田啓介。

この楽曲の特徴は、ビニール傘をクラゲに見立てた歌詞と、幻想的なエレキギターのサウンド。
半音ずつ下がるベースが印象的なコード進行は、しとしと降り続ける雨を表しているようです。

また“鮮やか深海”“水圧で深く濃いブルー”など、情景を想像しやすい歌詞であるため、何度聴いてもこの楽曲の世界観に惹き込まれてしまいます。
レミオロメンの隠れた名曲といっても過言ではありません。

メンバーの現在

数々の名曲を発表してきたレミオロメンは、2021年3月現在も活動を休止したままです。
メンバーはその後、それぞれの道を歩んでいます。

  • 藤巻:ソロアーティストとして精力的に活動中
  • 前田:オリーブ農園を経営中
  • 神宮司:引き続きドラマーとして活動中

ですが、活動休止後も三人の関係が途絶えたわけではありません。
特に前田と神宮司は、藤巻のソロアルバム『北極星』で、サポートミュージシャンとしてそれぞれ参加しています。

また、藤巻はソロアーティストとなってからも、『3月9日』や『粉雪』といったレミオロメンの名曲を各所で披露しています。

レミオロメンの活動再開は、原稿の執筆時点で未定。
しかし、またいつか彼らの楽曲を聴ける日が来るかもしれません。

まとめ:令和になってもレミオロメンは色褪せない

レミオロメンは、平成を代表するスリーピースバンドです。
彼らが発表した楽曲を令和の時代に聴いても、決して古さを感じません。

青春時代に聴いていた方も、全く聴いたことがないという方も、ぜひこの機会にレミオロメンの楽曲に触れてみてはいかがでしょうか。

(イラスト提供:鮭いくら)

小林だいさく