「Ion Audio Tape Express」でカセットテープと再会する
死んだ僕の彼女、si,ireneのギタリストであるkinoshita氏がmusitでカセットテープについて取り上げてくれているのは、彼のファン及びmusitファンの皆さんならご存知であろう。
最近は彼とのプライベートなやり取りでも、カセットテープの話題がよく挙がるわけだが、話をしているうちにすっかり私も彼に影響され、カセットテープ熱が上がってきてしまった。

こうなってくると俄然ガジェットオタクとして、今買うならどんなポータブルカセットテーププレーヤーが良いのか興味が湧くというものだが…。
今回は結果からすると、割と無難な選択をしたのではないか、というのが我ながらの印象だ。
「Ion Audio Tape Express」開封!
今回、私が導入したのはIon Audio Tape Express。
数年前、アナログ・レコード入門機としても人気を博したArchive LPの生みの親・Ion Audioのカセットテーププレーヤーだ。
では早速フォトレビューをしていこう。

まずは箱から。TAPE-TO-MP3 CONVERTER / PLAYERという位置づけらしい。

内容物は
- 本体
- USBコード
- ソフトウェア用CD
の3点。
てっきりカセットテーププレイヤーにはイヤホンが付き物だと思っていたので、同封されていなかったのは少し意外である。



筆者は日頃iPhoneとAirPodsを使って音楽を聴いているため、3.5mmのフォーンプラグが何となく新鮮に感じる。
ダイヤル式のボリュームコントロールも懐かしさがあり心地好い。
カセットテーププレーヤーの時代にUSBはなかったので、ここにUSBコネクタがあるのはほんの少し違和感。面白い。
全体的にプラスチック特有のチープ感が否めないが、3000〜4000円台の製品としてはこんなものだろう。

いざ、カセットテープを視聴
現代の視聴方法というと、MP3などの音楽ファイル・Spotify等のサブストリーミング、はたまたYouTubeなんかが主流である。
当たり前だが、そのどれもが基本タッチディスプレイやマウス、その他コントローラーで聴きたい音楽を選択する、デジタル前提のUIだ。
私はTape Expressのカバーを開けた瞬間、上述したそれらが存在していなかった時代の音楽を聴くまでの手順が、まるで走馬灯のように頭に流れた。
カセットテープで音楽を聴いていた頃、CDで音楽を聞いていた頃、MDで音楽を聴いていた頃…。
あの頃は音楽を聴く前には毎回必ず、記録媒体を再生機にパカっと入れ込んでいた。(中にはスライド式もあったけれど)
カセットテーププレイヤーを眺めながら、「今はすっかりそんなことをしなくなったなあ…」と少し物寂しくなった。
(筆者は音楽ファイルやストリーミングで音楽を聴くようになってから、CDをほぼ買わなくっている。「CDが売れない時代」と叫ばれているなかで、筆者もすっかり時代の色に染まってしまった…)
しかし、そんな私が未だ無性にアナログ・レコードを懐かしんで聴きたくなるのは、もちろん”アナログ特有の音質を求めて”ということもあるが、この音楽を聴くまで面倒な手続きが今となっては「楽しい」と感じるからだ。
今回カセットテープとの再会を果たしたくなったのも、カセットテーププレイヤーならではの手続きを楽しみたくなった、という理由が大きい。

カセットテープで聴いていた頃は定期的にカセット型の再生ヘッドクリーナーでメンテナンスをしていたことを思い出した。

プレーヤーを眺めているだけで妙に懐古スイッチが入ってしまった。これが”エモい”という感情なのかもしれない。
せっかくなので、この日のために用意しておいたカセットテープを視聴してみた。
今回用意したカセットテープは、地元のレコードショップ(カセットテープも取り扱っている)で購入したもの。

曲目が最高。
特に、
- エアロスミスの闇夜のヘヴィ・ロック
- ボストンの宇宙の彼方へ
- これまたエアロスミスのウォーク・ディス・ウェイ
をカセットテープで聴きたい衝動に強く狩られ、このカセットテープをチョイスしてみた。

ここ数年、どうもファッション界隈やインテリア界隈でカセットテープが評価されているらしいと耳にしたことがあったけれど、久しぶりに目の前にしたカセットテープを見て納得。
これ、オシャレじゃん…。
おそらく20年以上ぶりに聴いたカセットテープでの音楽は、率直に良い音だなと感じた。
それは”高音質”という意味ではなく、”なんだか懐かしい音”という意味合いに近い。
輪郭がはっきりしないとまでは言わないが、デジタル再生では感じられない、毛糸のように太く、毛羽立っているような音質。
なんとなくガラスっぽい音、と言えば良いのだろうか?(肝心の表現力が乏しく、読者の皆さんには大変申し訳ない)
ああ、そうだったよね、カセットテープの音って。これだよこれ。
あの時はこれがスタンダードだったが、今ではとても味わい深く感じる。
カセットテープとの再会を終えて
カセットテープとの再会は、少年の頃から私の中にある探究心を強く揺さぶった。
しばらくはカセットテープ探訪が続きそうだ。
現在の音楽シーンで活躍しているアーティストも、最近はカセットテープでも作品を出しているというのだから、これも探しに行くほかないだろう。
アマノユウ


