19(ジューク)が忘れられない

19(ジューク)が忘れられない

僕がアコギを触り始めた時、よく弾いていたのが19(ジューク)の楽曲です。
しかし僕が19の楽曲を聴き始めた時には、既に19は解散してしまいました。

19は、1998年から2002年の4年間で数々の名曲を世に送り出してきたため、今でも再結成を望む声は少なくありません。

なぜ、19がこれほどまで伝説的なグループとなったのでしょうか?
そこで今回は、19が人を惹き付ける理由について考察してみたいと思います。

19とはどんな音楽グループ?

19は、岡平健治と岩瀬敬吾の2人からなるフォーク・デュオ。
1998年11月に「あの青をこえて でデビューしました。

  • 岡平健治:ヴォーカル/ギター/ブルースハープ
  • 岩瀬敬吾:ヴォーカル/ギター

また結成当初は、作詞及びヴィジュアルプロデュースとして326(みつる)が参加していました。しかし、3rdシングル「すべてへ」の発売後、突然脱退してしまいました。

1993年にメジャーデビューし、1999年に「あの紙ヒコーキ くもり空わって」を発表。
2ndシングルにしてオリコン最高位6位を記録、20週連続でチャートインし、その年の紅白歌合戦にも出場しました。

その後も、「水・陸・そら、無限大」(2001)や「たいせつなひと」(2001)など数々の名曲を発売し、精力的に活動します。

しかし、2002年2月に突然解散を発表。
解散ライブなどの告知もなく、同年3月末をもって4年間の活動にピリオドを打ちました。

解散後、岡平健治はロックバンド、3B LAB.☆S(スリービーラボ)やソロ・アーティストとしての活動を経て、不動産業やスタジオのオーナーとして多方面で活躍しています。
一方で岩瀬敬吾はソロ・アーティストとして2020年現在も活動を継続中です。

なぜ19は売れたのか?

19が解散までに発表したシングルは合計9枚、アルバムは合計3枚で、卒業後もベストアルバムがいくつか発売されています。

決して長いとは言えない活動期間、多いとは言えないシングルとアルバムの発表枚数。
なのになぜ、19はこれほどに多くの人の印象に残ったのでしょうか。

若者の心を捉える楽曲

19が支持された最大の理由は、若者の心を掴んで離さない楽曲たちでしょう。発表された楽曲の一つひとつに、若者がどこかしら共感できる要素が含まれています。
実際に、19の大ファンだった当時の僕の友人たちは、アルバムの曲まで全てを聴き、歌詞の内容と自分の状況を重ね合わせていました。

まず、19の楽曲の歌詞は、以下のように若者の多くが容易に想像できる情景が歌詞にされています。

‘‘夢を描いたテストの裏’’(「あの紙ヒコーキ くもり空わって」)
‘‘何か始めようと思うけど「チャンスがない」愚痴ってた’’(「すべてへ」)
‘‘「退屈だ。」と叫んでいた 「なんでもない毎日」が今では宝物です。’’(「卒業の歌、友達の歌」)
このように、若者なら誰もが共感できるような内容が歌詞に盛り込まれているため、19の楽曲を聴いた人は「まさに今の自分のことを歌っている」と感じたのではないかと思います(僕自身もその1人です)。

また、発表された楽曲のほとんどがアコギを中心としたバンド・サウンドで、所々ブルースハープが入り、リスナーのテンションを上げるような曲調です。
テストの点が悪かった、彼女に振られた、友達と喧嘩した、部活の試合に負けた…など、落ち込むようなシチュエーションの時でも元気付けられた若者も多かったことでしょう。

アコギ好きや音楽好きの心を鷲掴みにする楽曲

19が心を鷲掴みにしたのは、若者だけではありません。若者以外にも、19はアコギ好きや音楽好きの心を鷲掴みにしてきました。

特に「これからアコギを初めてみよう」「アコギを本格的に練習しよう!」という人の多くは、19の楽曲は特に魅力的だったはずでしょう。
19はフォーク・デュオであるため、楽曲のほぼ全てにアコースティック・ギターが使用されています。
19の楽曲は、楽譜やコード譜を見れば簡単なものが多いですが、楽曲内で所々転調されていたり、ノンダイアニック・コードが挿入されていたりします。

僕自身、19の楽曲のコードは、パッと聴いただけでは分かりませんでした。楽譜の通りに弾いてみて「こんな風に弾いていたのか!」と感動したのを今でも覚えています。

そして、少しの練習で19の楽曲が弾けたという達成感を得て、さらにアコギの練習を継続した経験があります。
きっと同じような経験をした人も多いのではないでしょうか。

また、19の歌のキーはさほど高くないため、19がきっかけで弾き語りにチャレンジする人も多かったはずです。

ヴォーカルのコントラスト

ヴォーカルを務める岡平と岩瀬は、それぞれ歌声や作成する楽曲のニュアンスが異なります。

岡平の歌声は明るく、多くの人の耳にすっと入ってくるような爽やかさを持っていますが、ビブラートの周期が短く、歌い方はどちらかというとロック寄り。
制作する楽曲も、ロック・テイストのものがが多い印象です。

対して岩瀬敬吾の歌声は、どこか耳に残るような存在感のある歌声です。
作成する楽曲は、フォーク・テイストがより強く、コード進行も少し捻りをきかせており、一筋縄ではいきません。

19の楽曲のうち、シングル発表されたものの多くが2人の共作によるものです。
また、歌唱パートも全楽曲において2人がバランスよく配置されています。

この2人のコントラストが、楽曲の中で絶妙なバランスで混ざり合い化学反応を起こすことによって、19が唯一無二の存在になったのでしょう。

19の名曲たち

ここでは、もう1度聴きたい、そして19を聴いたことがない人にも是非聴いて欲しい楽曲を3曲ご紹介していきます。
正直とても悩みましたが、数ある19の楽曲の中でも、珠玉の3曲を選んだつもりです。

「蒲公英-たんぽぽ-」

「蒲公英 -たんぽぽ-」は、2002年3月に発売された19最後のシングルです。

この曲は解散直前で発売されたため、1度もライブやテレビで歌われていません。
「蒲公英 -たんぽぽ-」のAメロ部分のキーはF#mで、どこか哀愁漂うようなテイストですが、BメロからCメジャーに転調し、そのままサビに突入します。この転調がタンポポの花が咲いている雰囲気を上手く表現しており、聴き手の心を震わせること間違いありません。

さらにこの曲は、所々使用されているエレキの歪んだサウンドと、裏で鳴り続けている心地良いピアノ、そして味付けのストリングスが最高に聞き応えのある、19屈指の名曲です。

「西暦前進2000年→」

「西暦前進2000年→」は、1stシングル「あの青をこえて」のカップリングでありながら、シングル曲に引けを取らない存在感のある楽曲。その人気の高さから、ベストアルバムにも収録されています。
雰囲気が明るく流れるようなメロディラインの裏では、軽やかなアコギのサウンドが心地良く鳴り、聴き手を爽やかな気持ちにしてくれます。

楽曲のキーはEメジャーなので、アコギの初心者には少しハードルが高く感じるかもしれません。しかしこの楽曲については、カポタストを使わずにしっかりとEメジャーで弾いてほしいところ。
なぜならこの楽曲は、Eコードの6弦が美しく鳴り響くところが最大の特徴だからです。

さらに、Eメジャーのキーが弾けるようになると、弾ける楽曲の幅が各段に広がる、というのも大きな理由の1つです。

「以心伝心」

以心伝心は、2000年7月に発売された2ndアルバム『無限大』に収録されている楽曲です。

テーマは遠距離恋愛で、離れた大切な人への想いがストレートに表現されています。
遠距離恋愛がテーマというだけあり、ただ「好き」とか「愛している」だけではなく、離れていることによる「辛い」という気持ちや「見守っててください」のような願いで、相手への想いが表現されている点が秀逸です。

曲はAメジャーですが、カポを2フレットにつけると、バレーコードがAメロ序盤のBmだけになります。あとは簡単なコードで構成されているため、アコギの初心者にもおすすめです。

まとめ

今回の記事を書くにあたり、19の楽曲を一通り聴き直しましたが、19を聴いていた当時の自分を思い出して非常に懐かしくなりました。
そして、当時よりも音楽の知識が身に付いていることで新しい発見があり、改めて19の魅力や、今もなお人々の心に残る理由が分かった気がします。

もちろんほかのアーティストにも言えることですが、記事だけでは十分に魅力を伝えきれません。
昔よく聴いていた人は、もう1度19の楽曲を聴いてみてください。
まだ聴いたことがない人は、ぜひこの機会に1度聴いてみてください。

いつか、19がまた2人揃って歌う日が訪れるのを楽しみにしています。

小林だいさく