【レコメンド】ミームトーキョー「アニモア」(2022)──変革と拡張を続ける彼女たちの更なる快進撃

【レコメンド】ミームトーキョー「アニモア」(2022)──変革と拡張を続ける彼女たちの更なる快進撃

ミームトーキョー『アニモア』

レーベル:TOY’S FACTORY
リリース:2022/04/13

2019年結成、メンバーの入れ替えを経て昨年8月に名称を変え、大手レーベル《TOY’S FACTORY》傘下の《MEME TOKYO》からメジャー・デビューしたアイドルグループ、ミームトーキョーのメジャー以降2枚目となるフィジカル・シングル。インディーズ時代はグループを取り囲む周辺クリエイターによる楽曲提供が中心となっていたが、今作を含みメジャー・デビュー以降の作品ではAdo「踊」を生み出したGiga&TeddyLoid、韓国インディー・ポップ・シーンの代表格であるSilica Gelなどアイドル・シーンの垣根を超えた多彩なアーティストとタッグを組んでいる姿が顕著だ。

今作「アニモア」はHyperpopシーンと共鳴するアーティスト・ウ山あまねが楽曲を提供、編曲はつい先日1st EP『泳ぐ真似』のLP盤をリリースしたKabanaguも制作に携わっている。ウ山らしい実験的でエッジの利いたエレクトロニック・サウンドを主体にしたメロディに、全面エフェクトが施された彼女たちのエネルギッシュなヴォーカルが合わさり、夜を駆けるような疾走感とエモーショナルに満ちている点がまさにグループの「夜明け」を知らせるような、燦然とした輝きを放つポップ・ソングに仕上がっている。

ウ山は今作以前に、メンバー全員が作詞を手掛けたメジャー・デビュー1stシングル「THE STRUGGLE IS REAL」でもリミックスを提供している。またウ山やKabanaguと同じシーンで活躍し、「音割れベース」を得意とするトラックメイカー・hirihiriも彼女たちの楽曲「アンチサジェスト」のリミックスに関与。アンダーグラウンドな音楽カテゴリとメジャー・シーンで活躍する彼女たちの融合は一見アンバランスのようにも思えるが、不思議とリスナーの心を惹き付ける理由はやはり、インターネットがメインフィールドとなった現代で変革と拡張を続ける両者のシンパシーが引き合わせていることのように思う。

また、各々がバットを引き摺りながら荒廃したビルの中を闊歩し、アナログテレビを木製バットやMEWの魔法(?)で破壊するシーンも見られたりとアグレッシヴどころでは収まり切らないMVも癖になる。韓国在住のSOLIは現地で収録に参加しているため合成での出演となっているが、その点もかえってサイバー・パンク的な匂いを漂わせており、ミームトーキョーでしか表現できない像を我々に見せてくれる。

‘‘もうちょっと近くに行くから 夢と思わないでくれ
はじめてあった時くらいにスピードを出すからね’’

「アニモア」とは「any more」、つまり「(今)以上」を意味する造語と捉えている。飽和したシーンの中で「あとは見つかるだけ」と願うグループの存在は数知れないが、本楽曲を耳にした時、彼女たちは周囲を巻き込みながら熱狂させるそのスピードを持って我々に訴求し、時代を象徴するムーヴメントとなり行くのだろう、と感じた。

翳目