ピックアップ選びがあなたのアコギライフを楽しくする
「アコギってライブの時、どうやって音を出すの?」
「ライブで自分のギターの音を良く聴かせたい!」
このような悩みを抱えている、アコギ好きの方! ライブでアコースティック・ギターの魅力を最大限に活かすためには、良いピックアップ選びが欠かせません。しかし、ピックアップにも多くの種類があり、どれを選んでいいか分からない方も多いでしょう。
そこで今回は、アコギのピックアップの違いについて詳しくお伝えします。
読んでいただくことで、あなたの持っているアコギを思いっ切りライブで掻き鳴らすことができますよ!
アコースティック・ギターにピックアップを搭載する理由
アコースティック・ギターは、弦の振動をボディの共鳴によって増幅することによって音を発している楽器で、全ては良い生音を出すために作られています。はじめからアンプを通して音を出力することを前提としたエレクトリック・ギター(エレキ)とは、構造が大きく異なるのです。
しかし、どれだけアコギの生音が良かったとしても、エレキギターやドラムなどに比べると音量がとても小さく、ライブで演奏してもそのままでは観客に届きません。
結論からお伝えすると、アコギの生音を最も忠実に伝える機器はマイクです。「じゃあ、アコギの前にマイクを立てれば解決ですね?」と思ったあなた。実は、ステージでアコギの前にマイクをセッティングすることは、とても難しいのです。
理由は以下の2点。
- マイクの位置によってギターの音がとても変わる
- 周りの音も拾ってしまう
ギターの1弦から6弦まで、全ての音をバランス良く拾うようにマイクをセッティングすることは、正直非常に難しいです。少し位置がズレるだけで、せっかくの演奏が台無しになってしまいます。また、バンド編成でアコギを掻き鳴らす場合、マイクを使用するとエレキギターやドラムの音なども拾ってしまい、アコギの音が上手く拾えなくなります。
そこで、アコギにピックアップを内蔵し、シールドを通してアンプやDIに出力することで、他の大音量の楽器に負けないアコギの音を観客に届けることができるのです。
2大アコギピックアップメーカー
アコギに搭載できるピックアップは、様々なメーカーから販売されています。
どれを選んで良いか分からないという方は、以下の2つのメーカーから選ぶと良いでしょう。
- Fishman(フィッシュマン)http://www.fishmanjp.com/
- L.R.Baggs(エルアールバックス)https://jes1988.com/lrbaggs/
これらのピックアップメーカーは、どちらも老舗でアコギのことを研究しつくして製作しているため、性能は申し分ありません。
アコギのピックアップの種類
アコギのピックアップは、次の4種類に分けることができます。
- マグネティック・ピックアップ
- ピエゾ・ピックアップ
- コンデンサーマイク
- 複合タイプ
上記のうち、どのピックアップをあなたのアコギに搭載するのかは、所有しているアコギの特徴やあなたの音の好みによって変わります。
ここでは、ピックアップごとの特徴や性能の違いについて解説していきますので、一緒に確認していきましょう!
マグネティック・ピックアップ
マグネティック・ピックアップとは、エレキギターと同じ仕組みで弦の振動を電気信号に変換しアンプから出力するピックアップです。
以下の画像のように、ギターのサウンドホール(真ん中の丸い穴)の部分に細長い装置が付属しているのを見たことはありませんか?

マグネティック・ピックアップの特徴は、取り付けやすくハウリングにも比較的強い点です。
一方で、取り付けにはギターのトップ板を固定する必要があるため、ギター本体の振動が抑えられて生音が少し悪くなる可能性がある点に注意しましょう。また、ギターの見た目が変化することが気になる人も少なからずいます。
代表的なマグネティックピックアップは、
- 「M80」、「M1」(エルアールバックス)
- 「Rare Earth」 (フィッシュマン)
- 「S2」(サンライズ)
など。
中でもS2は、日本が生んだ天才ギタリスト・押尾コータローが使用していることでも有名です。
ピエゾ・ピックアップ
ピエゾ・ピックアップとは、ピエゾ素子(圧電素子)をブリッジサドルの下に設置することで、サドルに伝わった弦の振動を電気信号に変換するピックアップのこと。ボディの裏に貼り付けるコンタクトピエゾという種類もあります。
ピエゾピックアップは、ハウリングにも比較的強いだけでなく、音のレスポンスも良くバンド編成の中でも力強い音を出すことができます。また、ギターの外観にも大きな変化を与えません。
しかし、ピエゾピックアップで出力される独特のペチペチとした音は、好みが別れます。
代表的なピエゾピックアップは、
- 「Element VTC」(エルアールバックス)
- 「Matrix Infinity」 (フィッシュマン)
など。
特に、Matrix Infinityの音にはピエゾ臭さがなく、アコギ本来の音を忠実に再現してくれるピックアップです。
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクとは、アコギの中にマイクを仕込んで音を拾うタイプのピックアップです。マイクをギターの前にセッティングする必要がないため、演奏中に体が動いて位置が変わっても、出力される音が変わることはありません。
何より、マグネティック・ピックアップやピエゾ・ピックアップよりもギター本来の音が忠実に再現されるため、 弾き語りや小編成のアコースティックバンドで威力を発揮します。
ただし、マイクなので周りの音も拾ってしまうため、ガンガン音を鳴らすようなバンド編成では少々利用しづらいでしょう。
代表的なコンデンサーマイクは…
- 「Lyric」(エルアールバックス)
など。
コンデンサーマイクタイプのピックアップはL.R.BaggsのLyricがおすすめ。コブクロのギタリストである小渕健太郎も、その音の良さに惚れ込み所有しているギターのほとんどのピックアップをL.R.Baggs Lyricに交換した時期があるほどです。
複合タイプ
複合タイプとは、以下のように様々なピックアップを組み合わせたタイプのピックアップです。
- ピエゾ+マイク
- マグネティック+マイク
複合タイプのピックアップは、それぞれのピックアップの良いとこ取りというだけでなく、配分もコントロールできるためとても人気です。ピエゾやマグネティックの音に、マイクによる空気感をプラスすることによって、リアルなアコギの音を再現します。
例えば、ピエゾとマイクの複合型であるエルアールバックスの「Anthem(アンセム)」は、Mr.Childrenの桜井和寿や秦基博など著名なミュージシャンが使用しています。
一番の難点は、価格が高額なところ。
しかし2種類のピックアップの良い部分を併せ持ち、簡単に配分を調整できるため、価格以上の性能を持つピックアップと言えるでしょう。
あなたに合わせたピックアップを選ぼう!
アコギの醍醐味は、自分に合ったセッティングを探すことにあります。
それぞれのピックアップの特徴を理解したうえで、所有しているギターに合うピックアップはどれなのかを考えて色々試す過程が楽しいのです!
自分の好きなアーティストが使用しているピックアップを利用するのも良し。色々試して、自分の好きな音を探求するのも良し。ピックアップ選びをすることで、よりアコギや音楽に対する熱意と愛情が深まることでしょう!
小林だいさく
