【インタビュー】マーシャルの公式ビール「アンプトアップ・ラガー」輸入元、株式会社都商会に会社訪問してきた

【インタビュー】マーシャルの公式ビール「アンプトアップ・ラガー」輸入元、株式会社都商会に会社訪問してきた

世界中のロック・ミュージシャンから絶大な支持を受けるマーシャル・アンプ。

そのマーシャル社(Marshall Amplification)から発売されたクラフトビール、「アンプトアップ・ラガー」が、SNSを中心話題を集めている。

日本での輸入元は、ロック・ミュージシャンが自身で監修/プロデュースした通称・ロック酒を数多く輸入/販売する、株式会社都商会。オフィシャルサイトの商品ラインナップを眺めてみると、ザ・ポーグスやスリップノットのウイスキー、ジューダス・プリーストのラム。また、国内アーティストにおいてはアナーキー(亜無亜危異)のビールやGASTUNKのワインなど、ロック・リスナーなら誰でもブチアガるラインナップになっている。

これは直接話を聞かない訳にいかない! ということで、東京は台東区にある株式会社都商会へ。代表取締役社長の石村德男氏(写真右)、そして社員の的射場瑞樹(写真左)氏にお話を伺ってきた。

インタビュー/文/写真=仲川ドイツ

* * *

きっかけはモーターヘッド!!

--株式会社都商会を設立した時期と、ロック酒を取り扱い始めたきっかけを教えてください。

石村:会社が設立されたのは昭和58年です。ロック酒は2、3年前から取り扱い始めました。僕は元々この会社の社員だったんですけど、会社を買ったんですね。

--えっ! 会社を買ったんですか?

石村:そうなんです。僕はそれまでお酒部門の担当だったんですけど、何か面白いことをやりたいなーと考えてました。ただ、その当時プレミアム・ウォッカが発売されて、僕たちが手を出せる新しいカテゴリーがなくなったとも感じていたんですよ。もう終わったなと。

でもちょうどその頃、海外でモーターヘッドのオフィシャル・ウイスキーがリリースされたんですね。ちょっとあとにザ・ポーグスのウイスキーなんかも発売されて。同時多発的にロック・バンドのラベルが目に付くようになってきて、「これならイケるぞ!」と思い輸入を始めました。

--石村さんは元々ロックリスナーだったんですか?

石村:そうですね! モーターヘッドもよく聴いてましたよ。それで輸入を始めたんですが、調べていくと海外のBRANDS FOR FANSというメーカーが、スコーピオンズなどほかにもたくさんのロック・ラベルをリリースしていることを知りました。それとお酒を置いてくれてるタワーレコードさんやディスクユニオンさんが色々と情報をくれるんですよね。それでスリップノットのウイスキーなど、取扱いがどんどん広がっていきました。

--そういうことなんですね! 最近は海外のバンドだけでなく、ザ・スターリンなど日本のバンドのお酒も増えてますよね。

石村:海外はメタルファンが多いんですよ。笑 なのでメタル・ラベルが多いんですけど、僕はパンクが好きなんで自分で造ろうと思いました。

ザ・スターリンのお酒は彼らの曲「ワルシャワの幻想」の名前を付けたスピリタスです。以前、スピリタスの原産国であるポーランドへ視察に行ったんですが、その時に感じた空気から「商品名は『ワルシャワの幻想』だ!」と思い付きました。そこからすぐ遠藤ミチロウオフィスに電話して許可をもらって、アルバム『trash』のジャケットを描いた宮西計三先生にも連絡して。

--あ、ここ(商談室壁)にある絵ですね。

石村:その絵は今後何かあっても継続的に販売できるように、宮西先生から直接買わせていただきました。

1年越しに再入荷! マーシャルの公式ビール「アンプトアップ・ラガー」

--では次に、話題になっているマーシャルの公式クラフトビール、「アンプトアップ・ラガー」について教えてください。

的射場:スコットランドのマイクロブルワリーで造っているビールです。以前はフランスの別のメーカーから瓶で発売されていて、ビアスタイルもベルジャン・トリペルというすごく苦いタイプでした。値段も今回より高く、売れ行きは正直あまり良くなかったんです。ですが今回はメーカーが変わって缶になり、ビアスタイルも馴染みのあるラガーになりました。

--正直タイアップのお酒って品質は二の次…みたいな商品もありますけど、実際飲んでみてこれはクオリティも申し分ないなと思いました。ホップの香りも良くて美味しかったです。

石村:クラフトビールらしいフルーティーな風味がちゃんとありますよね。

的射場:1年前の初回入荷には100ケース(2400本)仕入れたのですが、Twitterでバズって、なんと数日で売り切れてしまいました。そこで慌ててメーカーに追加発注したのですが、昨年7月に発注して注文が通ったのが今年3月。商品ができあがったのが5月、日本に着いたのが7月ということで、再入荷までに約1年かかりました。遅れた原因は世界的なコロナ禍の影響で缶が足りない、缶詰ラインの人員が足りない、コンテナが足りないなど。あと、できあがったビールを箱詰めする人員が足りなかったんです。通常はマーシャル・アンプを模した箱に入った状態で日本に届くのですが、「こちらで箱詰めするからビールと箱を別々で早く送ってくれ!」とお願いして。

石村:「間に合わねー!」って乗用車でお台場の倉庫と会社間をピストン輸送して、スタッフ皆で汗をいっぱいかいて箱詰めしましたね。笑 でも、その甲斐あって無事皆様にお届けすることができて良かったなという思いです。とにかくこの1年はコロナだけでなく、ドイツの洪水でウチが使っている蒸溜所が浸水したり、トラブル続きで何がどうなっているのやらという感じですね。

コロナ禍の影響

--話に挙がったコロナ禍ですが、酒類業界は特に影響を受けている業界の1つですよね。

石村:緊急事態宣言の影響でロックバーが休業しているので、賞味期限の短いビールなどの動きが止まってしまい、非常に苦労しました。ロックバーはウチのお酒を置いてくださってるお店が結構多いんですよ。

的射場:コロナ禍になる前はタワーレコード渋谷店のフロアを借りて、毎月試飲会をやってました。例えばモーターヘッドのダークラムがありますが、日本だとラムを飲まない人も多いので、彼らの知名度の割にそれほど反応は良くなかったんです。そこで試飲会に出すと「初めてラムを飲んだけど美味しかった! 買って帰ります!」という方がいて嬉しかったんですよね。現在はそういった機会も作れないのでとても残念です。

--直接良さを伝えられる機会が作れないというのは厳しいですよね。

的射場:そうですね。実は『KNOTFEST JAPAN 2020』でも物販をやる予定だったんですよ。「期間中にタワレコでスリップノットのサイン会もやる予定だからいっぱい注文してくれ」とスリップノット側から言われていたんですが、残念ながら直前で中止になってしまいました。「やったー! BABYMETAL観れる!!」ってめちゃくちゃテンション上がったんですけどねえ…。

石村:物販でフェスに行くと仕事でライブが観れるってのは嬉しいよね。でも『KNOTFEST JAPAN 2022』にも行きますよ。

--お2人とも本当に音楽が好きなんですね!

気になる人気のロック酒は?

--数あるラインナップの中でも、特に人気のある商品を教えてください。

石村:根強く売れているのはザ・ポーグスのウイスキーですよね。Tシャツ付きですしね。

--なるほど、確かに私の知人にもSNSに写真をアップしている人が多い印象です。

的射場:ブレンデッドとシングルモルトの2種類あるのですが、どちらも値段がお手頃で味のクオリティも高いんですよ。あとボトルデザインが可愛い。

--ザ・ポーグスのファンはアイルランド文化に興味ある方も多いでしょうから、元々ウイスキーが好きな方も多いというのもあるかもしれませんね。

石村:あと毎年12月には、レミーの命日ということでモーターヘッドの商品がよく売れますね。それと現在、力を入れて売り出しているのはマーシャルの公式ビール(「アンプトアップ・ラガー」)、ANTHEM、そしてニューロティカです。

ニューロティカは来年1月3日に日本武道館公演があるので全面的にサポートしてまして、最近「俺たちいつでもロックカバ」というカヴァ(スペイン産スパークリングワイン)を発売しました。

--ロックバカと掛けているわけですね。笑 それにしてもこれすごいですね! フルラッピングなんだ!

石村:フルラッピングは最近の当社のウリの1つなんですよ。

的射場:A4サイズでデザインして渡してもらえればすぐに作れるような仕組みになってます。こういったオリジナルラベルを作るサービスはお酒の製造元にもあるんですけど、当社は「こういった用途で使います」と用途を明かして仕入れているので、法的な部分ももちろんクリアしてます。

石村:僕らは「Tシャツを作るように」というコンセプトで、フットワーク軽めにアーティスト・ラベルのお酒を作ってます。

--あ、LASFACTORY(musitの運営会社)でもアイドルのプロデュース事業を手掛けてるんですよね。オリジナルワインとか作ってくれませんか?

志賀(LASFACTORY代表):弊社でロング・グッドバイという女性アイドルグループのマネージメントをしてるんですよ。

石村:ラベルの元となるフォーマットはこちらで用意しているので、必要箇所をデザインして送ってくれればすぐ作れますよ。小ロットから受注しています。

志賀:ホントですか! ではいつかお願いします!

* * *

ということで、思わぬ方向に話が進んだインタビュー。ロック酒ならぬアイドル酒の誕生はあるのか!? 乞うご期待。

「アンプトアップ・ラガー」レビュー

最後に「アンプトアップ・ラガー」の分析をしていこう。

まず、ビアスタイルや数値は以下の通り。

ビアスタイルはラガーとしているが、一般的なラガーのIBUが20〜25に対して33と高い点、そしてシトラやカスケードなど柑橘系のアロマホップを使用している点から、IPAのラガー版「IPL(インディア・ペール・ラガー)」と言っていいだろう。

それを踏まえてテイスティングしてみた。

シトラ、カスケード由来のグレープフルーツなど柑橘を想わせる香り。味わいはみかんのようなジューシーさ、そして柑橘の果皮のような苦み。これもホップ由来のもの。そこにエクアノットホップが甘みとふくよかさを演出している。最後にマグナムホップの痺れるような苦みが来るが、モルト(麦芽)のコクがボディ感を与えているためバランスが良く、ゴクゴクと飲めてしまう。

確かに、温かでふくよかな風味がマーシャル・アンプ特有のウォーミーで太い音を、舌にジリジリくる苦みが心地良い歪みサウンドを思い起こさせてくれる。

OH YEAH! 今夜は下手くそなギター弾きながらロック酒パーティーだ!!

* * *

株式会社都商会

所在地:〒110-0005 東京都台東区上野1丁目16−16
ロック酒オンラインショップ:http://miyako-shokai.com/new1.html
Twitter:@miyakoshokai

仲川ドイツ