【インタビュー】ないなら自分でやっちまえ!sin-sückに聞く日本酒×ハードコアのイベント『Positive Drinking Attitude』の楽しみ方

【インタビュー】ないなら自分でやっちまえ!sin-sückに聞く日本酒×ハードコアのイベント『Positive Drinking Attitude』の楽しみ方

これまで、お酒と音楽の蜜月の様々な形を紹介してきた特集「ALCOHOL HARMONY」。今回フィーチャーするのはワタクシ仲川ドイツとしては満を持しての紹介、日本酒とハードコア・パンクの異種タッグ戦的イベント『Positive Drinking Attitude』だ。

『Positive Drinking Attitude』については、愛知県常滑市の日本酒蔵「澤田酒造」を紹介したインタビューでも少し触れた。東京では約1年ぶり4回目となる今回は、“別誂”(べつあつらえ)と銘打って9月25日(日)に開催される。

今回はオーガナイザーのsin-sück氏に、唯一無二のイベント『Positive Drinking Attitude』を始めたきっかけや“別誂”での注目ポイントについてインタビューを敢行した。

インタビュー/文=仲川ドイツ
編集=對馬拓
写真=Tiger.Jet.m

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探しても見つからないものは型から造れば良い

DIGRAPHIA
(Positive Drinking Attitude Vol.2)

──『Positive Drinking Attitude』(以下、『P.D.A.』)はどのようなきっかけ、思いで始めたのでしょうか?

sin-sück:澤田酒造の澤田(英敏)さんと知り合い、仕事でもお付き合いしていく中で(※普段sin-sück氏は酒屋に勤務)、お互い同じような音楽が好きなことが分かりました。それで、音楽絡みで何か一緒にやってみたいってことで、『P.D.A.』の前身となるようなDJイベントをやりました。

──イベントが始動するきっかけ自体も澤田さんとの出会いだったんですね。sin-sückさん自身はバンド経験はな無かったんですよね?

sin-sück:そうです。なので主催者として企画してフライヤーを作ったり、告知したりしたのはそのイベントが最初でした。初めてのイベントとしてはまずまずの結果で終わったけど、その時は次回の具体的な構想とかは特になかったです。でも漠然と「いつかもっと楽しいこと事をしたいな……」とは考えていたと思います。

──そこからどのように『P.D.A.』始動に繋がったのでしょうか?

sin-sück:その後、地元(佐賀)の先輩のバンドのGIGをいつか東京で観たいと思っていて、でもその時はまさか自分が呼ぶなんて考えてもなくて「誰か呼んでくれないかな〜?」と思ってました。その頃に僕の大好きなTAKACHO LONDON氏(ex. S.D.S/ex. DELTA)が今やってるスーパークールなウェアブランド『1%13』のライナーノーツに書いてあった「探しても見つからない物はPUNKの原点であるDIY精神に立ち返り型から造って〜」という一文を読んで、いきなり「コレだ!」と思ってしまって。笑 後日、鶯谷で飲んだあとに酔った勢いで鶯谷what’s up(ライブハウス)に行って「あの〜、イベントやってみたいんですけど、相談に乗ってください……」って、そこから右も左も分からないまま『P.D.A.』が始動しました。

SAVAGES
(Positive Drinking Attitude Vol.1)

──実際にイベントを始めてみて大変だったこと、企画を続けていく中で始める前との心境の変化、気付きや発見があったら教えてください。

sin-sück:最初はブッキングから何から、全てが初めてのことだらけだったので右も左も分からないまま、周りからアドバイスをもらったりしながら何とかやり切った感じでした。だから不思議と大変だと思うことはなかったかな。資金面以外は。笑

──イベントを企画するとなると、動員とそれに伴う資金面はやっぱり不安ですよね。

sin-sück:心境の変化としては、最初は「自分の好きなものだけを詰め込んだオナニーみたいな企画で大丈夫だろうか?」と思うこともあったけど、今のところお客さんも演者も楽しんでもらえてるみたいなので、今は「自分の好きなもの=自分以外にも楽しんでもらえるもの」と素直に思えるようになりました。もちろん、大前提として僕の企画力の云々以前に、今まで出演してくれた全ての演者のお力があってのことですが。

日本酒ブースのお酒を手に持って「すげー良い匂いがする」って

BLACK AND WHITE
(Positive Drinking Attitude Vol.1)

──オーガナイザーとしては毎回思い出深いとは思いますが、これまでの『P.D.A.』で特に記憶に残っている体験、日本酒があるからこその瞬間の記憶があれば教えてください。

sin-sück:色々あるので日本酒(白老)絡みの話に限定すると、『P.D.A.』のVol.1でBLACK AND WHITEのヴォーカルのサトシックが「普段日本酒なんか全然飲まない」って言ってたんだけど、1曲目の歌に入る直前に日本酒ブースのお酒を手に持って「すげー良い匂いがする」って言って歌に入った瞬間、今でも鮮明に覚えてます。

──そのエピソード、めちゃくちゃ感動的ですね!!

sin-sück:Vol.2では、マンホールのヴォーカルの久家さんが「色々なバンドと対バンしてきたけど、日本酒と対バンしたのは初めてだよ」って言ってくれたことはすごく嬉しかったです。Vol.3では、勤務する店の通販で「白老 for survivor」を買っていただいたことのあるカリーナさんがヴォーカルを務めるananasに出演してもらって。これこそ酒縁が結んだブッキングだと思いました。同じくVol.3でサンチル(SUN CHILDREN SUN)のメンバーがサプライズでユニクロの白老Tシャツを着て登場してくれたり。

──その時は僕も会場にいましたよ。澤田さん、めちゃくちゃ嬉しそうでしたね!

sin-sück:あとは、企画に遊びに来てくれた演者やお客さんが後日僕の勤務先(酒屋)に「白老 for survivor」を買いに来てくれたり、サンチルのヴォーカルのタケくんが営む南インドカレーのお店「POSITIVE MASARA ATTITUDE」には白老が常備されてたりとか、色々あります。

一番の野望は継続すること

白老 for survivor

──9月25日に開催される『P.D.A.』の概要、注目ポイントを教えてください。

sin-sück:今回は急遽開催が決まったこともあり、DJオンリーでの開催です。企画名は日本酒でよく使われる語句を入れて『POSITIVE DRINKING ATTITUDE “別誂”』(※)にしてみました。それから今回は初めて日本酒で澤田さん(白老)だけじゃなくて、地獄杜氏こと盛川さん(田中酒造店/銘柄:シャムロック、クラッシュラベル、田林など)とダブルでやります。

※別誂(べつあつらえ):日本酒では、定番商品に対して製法や原料などを少し変えた商品(例えば酵母だけ変えたりなど)に使われる言葉。

──2人ともゴリゴリの音楽マニアですし、造るお酒のスタイルも「メシと相乗効果を生み出す旨い食中酒」という共通項はあるけれど、個性としては別物なのでとても楽しみですね! 最後にP.D.A.の今後の野望や展望を教えてください。

sin-sück:一番の野望は継続することです。今年は7月に僕の地元佐賀の仲間と共催で佐賀で開催しましたが、同じように他の地域でもやってみたいです。あと、あくまでも日本酒ブースは僕の企画とは切っても切れない白老を軸にしながら、今回のように同じ楽しみを持つ他の酒蔵さんとも一緒にやってみたいです。

KUOLEVA
(Positive Drinking Attitude Vol.1)

<L→R>澤田英敏氏、仲川ドイツ、sin-sück氏
(Positive Drinking Attitude Vol.1)
撮影=仲川

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POSITIVE DRINKING ATTITUDE ‘別誂’

日程:2022年9月25日(日)
時間:18:00〜23:00
チャージ:Adv ¥1,500/Door ¥2,000(with 1drink)
場所:Barfly’s Stomp
https://peraichi.com/landing_pages/view/barflysstomp/

※詳細はsin-sück氏のTwitterもご覧ください。
@suck_sin

仲川ドイツ