【インタビュー】MEW×SAEが振り返る、ミームトーキョーが歩む進化の過程
2021年にメジャーデビューを果たした6人組ユニット、ミームトーキョー。大成功を収めた東阪ツアー『MEMETIC DAYBREAK』に続き、結成3周年記念単独公演『三六東京』(読み:ミームトーキョー)の開催とその勢いは止まることを知らない。今回は、10月19日にドロップされる配信シングル「リバーズ・エンド」のリリースを記念して、ミームトーキョーからメンバーのMEWとSAEにインタビューを実施。東阪ワンマン以降のライブの振り返りや、直近の活動を通して感じる自身の成長について語ってもらった。

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取材/文=すなくじら
写真=二瓶彩
編集=星野
「私たち、ミームの中では歌チームなんです」
──お2人は東阪ワンマン以来の、約半年ぶりのインタビューですよね。今回初めてインタビューを読む読者の方に向けて、自己紹介と最近の休日の過ごし方を教えてください。
MEW:ミームトーキョー白色担当のMEWです。最近はお家でメロンソーダを作ってます。最初はたまたまその場にあったコーラとアイスで、何となく作ってみたのが始まりだったのですが…完全にハマりました。笑
SAE:ミームトーキョー赤色担当のSAEです。私はゲームが好きなので、もうすぐ発売する『スプラトゥーン3』のために前作の練習を重ねてます(※インタビューは『スプラトゥーン3』発売前の9月上旬に実施)。
──これはゲームのできる喫茶店イベントの開催に期待です。笑 今回はグループ全員ではなくお2人のみでの取材ですが、MEWさんとSAEさんの組み合わせでお仕事する機会って普段ありますか?
MEW:そう言われると、あんまりどのメンバーでも2人(で仕事をすること)はないかもしれない。
SAE:3人とかが多い気がする。笑 でも、過去に(MEWと)2人でライブに出たことはあるよね。私たち、ミームの中では歌チームなんです。ほかのメンバーは歌も上手だけど割とダンサー要素が強めで、多分それぞれ自覚もあると思います。

──確かに「ミームトーキョー=パワフルなダンスパフォーマンス」、というイメージがあります! お2人はダンスに対して得意、不得意で言うとどうでしょう?
MEW:正直最初は少し苦手意識がありました。グループに経験者が多いから(求められるダンスのレベルが高い)っていうのもあるとは思うんですけど、最初は「いや、この振り無理だよ〜!」って思うぐらいのダンスも多くて。でも皆嫌な顔しないで優しく教えてくれるから、ありがたかったんですよね。力強い人たちに囲まれて刺激を受けるうちに、ファンの人にも褒められるくらいには上達できたかなって思ってます。
SAE:私も小さい頃にバレエとかは習っていたんですけど、今のステージで踊るようなジャンルのダンスは未経験で。特に新体制になってダンスが得意な2人(MITSUKI・NENE)が加入してからは、正直踊ることに対して不安な気持ちも大きかったんです。私もMEWちゃんと同じようにメンバーに教わりながら苦手な部分を徐々に克服していってますね。

──ありがとうございます。ミームトーキョーのメンバーそれぞれの得意分野が光る良さは、お互いに舞台裏でも支え合っているからこそなんだなと思いました。そんなミームトーキョーに所属して、お2人が改めて良かったなと思うことを教えてください。
SAE:自分がかっこいいって思える衣装やダンスを、全てに自信を持って発信できること…かな。アイドルって良くも悪くもそれぞれのコンセプトに縛られてしまう部分があると思うんですけど、自分が心の底から信じているものをファンの方に届けられるのがミームらしさなんです。
MEW:それ分かる! 私、かなり髪色を頻繁に変えるんですけど「この色ダメ」って言われたことは一度もないですね。笑 「アイドルだから黒髪」とか「メンバーカラーに合わせてほしい」とか一切ない。だから相当自由に生きてると思います。笑
──なるほど。では、ミームトーキョーだからこそ持つ自由さは、どうやって生まれたんだと思いますか?
MEW:仲が良いから互いを認め合えるっていうのは前提として、相手に対するリスペクトをそれぞれがちゃんと持ってる所がベースにあるからこそ生まれた自由さかもしれないです。
SAE:タイプの違う子たちが6人も集まったら、普通に考えて色んなことがあるじゃないですか? でもミームは誰に対しても皆平等に優しいし、相手の立場になって話してくれるから居心地良いんですよね。
MEW:SAEちゃん、みつきち(MITSUKI)の持ち物に対して「それめっちゃ可愛いね!」とかよく褒めてるもんね。笑 全員がお互いを肯定する文化がグループの中にあるのは大きいと思います。

──今の話を聞いて、練習風景も温かい空気感なんだろうなとイメージが湧きました。SAEさん、MEWさんはお互いのどんな所をリスペクトしていますか?
SAE:…じゃあ、私から行きます! MEWちゃんは「なるべくしてなったアイドル」だなっていつも思ってて。まずシンプルに顔が可愛すぎるのに、自己プロデュース力もすば抜けて高い。それだけで十分リスペクトに値するんですけど、MEWちゃんって本当に裏表がないんですよ。人間誰しも少しはあるじゃないですか?笑 でもMEWちゃんはそれが本当になくて…感じさせてないんだとしてもすごいですよね。お母さんはMEWちゃんのことをどうやって育てたんだろう?って思います。笑
──聞いてみましょうか。笑 MEWさんのお母さんはどんな方なんですか?
MEW:うーん、とにかく遊び心たっぷりの人です。私のお部屋は2階にあるんですけど、朝階段を降りたら下でお母さんが待ってて「わっ!」って脅かしてくるんです。笑 でもいつものことなので、私はスルーしてて…。笑

──スルーはちょっと可哀想ですけど、明るいご家庭なんですね! ちなみにSAEさんのお母さんはどんな方ですか?
SAE:友達みたいな母です。一緒に買い物にも行くし、お仕事の話をしたりもするし。仲が良くてすごく距離が近いんです。
──SAEさんのお母さんも素敵な方ですね。少し話が逸れましたが、MEWさんはSAEさんのどんな所を尊敬していますか?
MEW:SAEちゃんは超がつく努力家です。私は頑張ったらその分褒められたいタイプだけど、SAEちゃんは努力を人に見せないよね。特に印象的だったのはお披露目ライブの準備期間の頃、1人で一生懸命自主練してたんですよ。でも、それをあえて人に言わない所がかっこいいなって…。
SAE:いやいや! 「自主練やったよ!」とは報告しないでしょ。笑
MEW:それもそっか。笑 だけどこんな感じで、努力家でもあるしポーカーフェイスな部分もあるからお披露目ライブも成功できて…。本当に魅力的な人だなって思いますね。

──SAEさんはアイドル活動と学業との両立も経験してますよね。
SAE:そうですね。卒業間際の時には公表しちゃってたんですけど、「努力している姿を見せないで結果を出すことがカッコいい」って思っている節はあるかもしれない、なんか男子中学生みたいですけど。笑
MEW:そんなことないよ。笑
──本当にそんなことないですよ! そのストイックさがSAEさんの「個人としての武器」に繋がっている気がします。
SAE:ありがとうございます! 確かに自己管理は結構得意な方なんです、私。ダイエットとか筋トレとか、自分の中に制限をかけたうえで結果がちゃんと目に見えるものに対して「楽しい」って思えるタイプの性格で。
MEW:すごいよね、本当に!
SAE:その点で言うとさ、「自分にしか出せない世界観」がMEWちゃんの武器じゃん。
MEW:自分ではあまり意識してないけど、0から1を作るのは割と好きかも。「世界観を作る」っていう意味ではミームの衣装を自分たちで選びに行った時も、自分ではただ楽しく選んでただけだったのにあとから褒めてもらえて嬉しかったな。ミームの衣装周りもいつかもっと携われるようになりたい…!
成長を実感できた結成3周年のライブ
──ここからは5月に開催された東阪ツアー『MEMETIC DAYBREAK』以降の活動についてのお話を伺いたいのですが、まずは結成3周年記念ライブ『三六東京』を終えた感想を聞かせてください。
SAE:その前の東阪ツアーのワンマンが9ヶ月前とかで、その時は「成長した姿を見せなきゃ」っていうプレッシャーが自分の中にあったんですけど、今回は考え方がかなり変わって「まずは自分が楽しんでいる所を見せないと、ファンの方にも伝わらない」って思うようになったんです。思考が切り替わったことでより自分も楽しむことができて、良いライブになったんじゃないかな。
──確かにSAEさんは前回のインタビューで東阪ツアーの自己評価を「(改善点があったから)全然100点ではなかった」とお話してましたよね。今回はそのリベンジは果たせましたか?
SAE:はい! ちゃんと後悔は晴らせました、100点です!
──MEWさんは確か「100点満点です!」と前回のインタビューで答えていただいた記憶がありますが。笑 今回はどうでしたか?
MEW:そうでしたね! 100点を超えて120点……いや、150点です。笑 2周年の時は「新メンバーの子たちと一緒にステージを成功させる」が1つの自分の中のテーマだったんです。でも今回の3周年は、始まる前にRITOさんに肩を叩かれて「ここまで来たね」って話をして…泣きそうになりました。
あとは見せ場の1つにSOLIちゃんの映像が流れるシーンがあって。でも本番になってそれが上手く流れない!っていうかなり大きめのハプニングがあったんですけど、みんなでMCで盛り上げたりしてなんとかなっちゃって。笑 そういう意味でも確実に皆で成長してきたことを実感できた良い機会でした。
──前回のインタビューからさらに成長した姿が窺える力強い回答、ありがとうございます! 数々のライブをこなしてきた中で、ファンの皆さんが気になる部分としては『プラズマでんぱフェス』で披露された他アーティストとのコラボレーションも挙げられると思うのですが、共演したほかのグループから受けた刺激はありましたか?
SAE:私はARCANAPROJECTさんの曲をカヴァーさせていただいたんですけど、当日コラボでご一緒させていただいた方々が大先輩の御三方(相沢梨紗・小鳩りあ・桜野羽咲)で……。しかもARCANAPROJECTさんの曲って完全な歌モノなので、歌唱力に関して刺激を受けた機会になりました。もちろん練習も沢山しましたし、表現を含めて技術的に学んだ部分も大きいのですが、それ以上に「歌の持つエネルギーで会場を楽しませる」ことを勉強させていただきました。
MEW:私はでんぱ組.incさんの曲を歌わせていただいたんですけど、実は私、中学生の頃から藤咲彩音さんの大ファンで。だから「刺激しかなかった」というのが正直な所です。あと折角なので、ここで言いたいことがあるんですけど…。

──なんでしょうか?
MEW:私、中学生の頃にピンキー(藤咲彩音)さんと一緒のステージで踊る夢を見たことがあるんです。その時の曲もしっかり覚えてて。でも実際に踊ったのはその時の曲じゃなかったんですけど。
SAE:じゃあ、正夢ってこと……!?
MEW:そうなの! 作り話じゃないですよ!笑
──それはすごく運命的なステージでしたね! お2人はそれぞれ個人でもご活躍の場が多かった半年間だったかなと思うのですが、少し前に遡るとMEWさんは生誕ライブもありましたよね。テーマの『微熱』はどのようにして決まったのですか?
MEW:生誕もあったなぁ。振り返ると怒涛ですね。笑 まず、今回は私の希望で「ナースっぽいイメージ」で決めていました。衣装も揃えて、撮影ではジャムパンを食べて血のイメージに繋げたりもして。実は準備の初期段階では『微熱』ではなくて、『救心』だったんです。でも、『救心』っていう薬が既に商標登録されてて、結局使えなくて…。
一同:爆笑
MEW:こういう予想外のこともあって笑、毎年のことながらバタバタした中での生誕ではあったんですけど、結果としてやって良かったなと思います。やっぱり、自分のファンの方との心の距離が一番近くなるイベントなので、生誕特有の楽しさはありますよね。

意外な自分の一面を知るきっかけとなった新曲「リバーズ・エンド」
──MEWさん、救心事件を乗り越えての生誕ライブお疲れ様でした…!笑 SAEさんはファッションブランドのモデルとしてもお仕事されていますよね。モデル活動の際に、大事にしている心構えはありますか?
SAE:まず、グループか1人かという所で結構意識は変わりますよね。あとは、アイドルは自分を商品として見てもらわないといけないけど、モデルは既に商品があって、商品のためにモデルがいる。だからこそ、撮影の表情や見せ方も自分じゃなくて「服がどう映るか」の視点で考えていました。
──モデルとして被写体になるにあたって、事前に勉強したことがあったら教えてください。
SAE:いつものミームの衣装のようなクールなスタイリングとは全く異なる服装だったので、ナチュラルな笑顔の練習はしました。笑 歯を見せて笑うパターンと、歯を見せないで笑うパターンと…って。
MEW:その場面、想像したら可愛い。笑
SAE:これは真面目に頑張ったんだよ!

──SAEさんの練習場面は気になる所です。笑 リリース面では新曲「リバーズ・エンド」が10月19日に配信開始となりますが、特にお2人が聴いてほしいポイントを教えてください!
MEW:最初聴いた時は、アニソンっぽさが全面に出ていて衝撃を受けました。今回歌詞の担当がmeme tokyo.の頃によくお世話になっていた海猫沢めろん先生なのですが、「めろん先生の紡ぐ歌詞の雰囲気ってミームにぴったりだな」と改めて感じました。めろん先生もご自身のTwitterで呟いているのですが、この曲はある事件を題材にしているとのことで。知った時に鳥肌が立ちました。
SAE:ファンの方に是非考察してほしいよね。あとは全編通してラップ調の曲で、全員にラップパートがあるのも見所です。
──SAEさんは、「リバーズ・エンド」のラップパートをやってみていかがでしたか?
SAE:繰り返しになっちゃうんですけど、私はやっぱり「歌いたい」意識が強くて。最初は苦手意識もあったので「得意なメンバーが歌えばいいんじゃないかな」って思ってた節もあったんですけど。笑 でも今回「リバーズ・エンド」を収録するにあたって振り切ってやってみたら、レコーディングの時に褒めてもらえて…意外な自分の一面を知りましたね。
──SAEさんのラップパートは必見ですね! MEWさんは特に聴いてほしいポイントはありますか?
MEW:ミーム全員でのユニゾンのパートは珍しいので、そこは是非聴いてほしいポイントですね! 皆の声が合わさった時の力強さは個人的に好きなポイントです。
──ありがとうございます! 最後に今後の目標をお聞きしたいのですが、前回のインタビューでグループでは「武道館でのライブ開催」を目標に掲げているとのことだったので、今回は個人の目標をお伺いしたいです。
SAE:もちろんベースはミームトーキョーで、という想いは変わらないのですが、個人の活動の幅をもっと増やしていきたいなとは思っています。この半年間で、モデルやお芝居など新しい活動の舞台を頂いたことが自分にとってかなりプラスに働いています。特にお芝居は1週間前くらいに急遽決まって…。とにかく時間がない中での準備だったんですけど、演出家の方に直接指導してもらうなど貴重な経験をすることが出来ました。
今まではアイドルとして結果を出すことだけに強い執着があったんですけど、個人の活動を通して視野も広がったし、結果としてミームに良いものを持ち帰ってこれたなとも思っています。
MEW:前回のグループインタビューと重なる部分になってしまうんですけど、私はやっぱりSOLIちゃんに会いに韓国へ行きたいです! 見通しが立たない所もあるかもしれないけど、やっぱり全員で1つのステージを作りたいって気持ちはずっとあって。それはSAEちゃんも一緒だよね。
SAE:うん、早く皆でライブしたい!

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実際に個別インタビューをしてみて、MEWとSAEはキャラクターは違えど互いがミームに属するものとして心に熱い信念を持っている点において、2人は良く似ている。その信念は、前回のグループインタビューの際にも各メンバーから感じられたものではあったが、過去の不安が自信へと昇華されたことで、アイドルとしてさらなる高みを目指す彼女たちの覚悟のようなものが感じられる場面が多々あった。
新曲「リバーズ・エンド」の見所がメンバー全員でのユニゾンだとMEWが答えたように、1人ひとりの違う音色が合わさることで、既にミームトーキョーは新しい化学反応を起こしている。そのきっかけは、各自の個人での活躍の舞台から得た気付きかもしれないし、1つ、また1つと苦境を乗り越えることで自然に身についたものなのかもしれない。
ミームトーキョーはこれからも我々の想像を超えたスピードで進化を遂げていくだろう。蛹と蝶で言うなれば、ミームトーキョーはすでに鮮やかな羽を持った蝶だ。そんな彼女たちが、この先どんな舞台に羽ばたいていくのか、楽しみで仕方ない。
※なお、現在musitでは今回登場したミームトーキョーのMEW・SAEほか、現行グループ4〜5組の撮り下ろし写真とインタビューの未公開部分を収録したオリジナルZINEを制作中。販売時期及び値段等、詳細はmusitのTwitterアカウント(@musit7)にて発表予定。ご期待ください。
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ミームトーキョー「リバーズ・エンド」

リリース:2022/10/19
レーベル:TOY’S FACTORY
トラックリスト:
01. リバーズ・エンド
すなくじら
