【ライブレポ】Awesome &roid × Haiki 盟友2組のスプリットツアーファイナル

【ライブレポ】Awesome &roid × Haiki 盟友2組のスプリットツアーファイナル

去る2021年1月23日。新代田FEVERにて、Awesome &roid(オーサム・アンドロイド)とHaiki(ハイキ)によるスプリットツアーのファイナル公演が行われた。

両者は、1月8日にスプリットカセットをリリースし、千葉、京都、大阪、名古屋を回るツアーを敢行。その千秋楽となる東京公演は、時短営業や観客が半数に制限されるなど厳しい状況の中だったが、チケットはソールドアウト。ライブも無事に開催された。

本記事では、2組の臨場感あふれるライブ写真と共に、筆者が感じたものを嘘偽りなく記録しておきたい。

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足取りは重くなかった、と言えば嘘になる。

この日は、あいにくの雨。おまけに、行く手を阻むかのように吹き付ける強風。手袋を家に置いてきたことを後悔した。

2度目の緊急事態宣言。飲食店は時短営業を余儀なくされ、酒類を提供するライブハウスも例外ではない。しかし、このような状況でも、ライブハウスへ行く機会を約1年ぶりに得た。そんな日に東京を襲った大寒波は、未知なる感染症がもたらした音楽業界への逆風そのもののようにさえ思えた。何やら歓迎されていない、そんな予感を胸にしまい電車に乗り込んだ。

駅の改札を出ると、半地下になった新代田FEVERの入り口が見えた。懐かしい。消毒と検温を済ませ、フロアに足を踏み入れた。薄暗い空間の中で流れるグッド・ミュージックに包まれる。懐かしい。ステージに目をやると、マイク・スタンドやアンプ、ギターやベース、ドラムなどの機材が並んでいた。懐かしい!…

ふと視線を落とすと、等間隔に貼られた白いテープが目に入った。言うまでもなく、「三密」を避けるための措置である。感染対策という点においては、できる限りのことを尽くしている。当然のことだ。しかし、やはり制限された現状を感じない訳にはいかなかった。

そう思うと、前方に見えるステージは、どこかフィクションじみているような気さえした。そこに確かに存在するのに、ステージだけが、まるで現実から区切られたスクリーンのように感じられるのだ。どうして、どうしてこんな状況になってしまったのだろう? そんなことを頭の端で考えているうちに、音が止み、ライブはスタートした--。

終演後、僕はフロアに立ち尽くしていた。現実に圧倒されていた。

何の誇張もなく、素晴らしいライブだった。ステージに立つ誰もが笑顔だった。それはライブハウスで生きる人たちの、本来のあるべき姿だった。

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トリの前に登場したのは、US/UKのエモやマスロックの影響を受けたサウンドに日本語を乗せて歌うスリーピース・バンド、Haiki(ハイキ)。

Haiki

カトウミツキ(Vo. Gt.)のテクニカルなギタープレイは聴覚的にも視覚的にも心地良く、そこへイシマルコウ(Ba.)とゆーや(Dr.)の軽快なリズム・セクションが加わることでHaiki特有の風通しの良いアンサンブルが完成される。

ギター・リフが印象的な「横浜」は、テンポが上がる後半の展開と共に加速するエモーションの発露が爽快だ。サウンド面においても、出身地をタイトルに冠した点においても、彼らのアイデンティティを象徴している曲と言えるだろう。

カトウミツキ(Vo. Gt.) a.k.a クリスタル加藤
イシマルコウ(Ba.)
ゆーや(Dr.)

カトウはMCの中で、自らの音楽性を「ポテトロック」(※エモ=EMO、つまり芋。なんだこの説明?)と表現していたが、フロアの居心地の良さは、彼らの根幹にあるナード精神によるものが大きいということがよく分かった(なんと言っても「ナードマン」という曲が存在するくらいだ)。

カトウミツキ(Vo. Gt.) a.k.a クリスタル加藤

さらにこの日は、盟友Awesome &roidの代表曲「Michiko」を日本語でカバーするというサプライズも。本家よりも先に披露するというまさかの事態だったが、多幸感でフロアを包み込む名カバーだった。

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ラストを飾ったのは、千葉を拠点に活動するオルタナティブ・ロック・バンド、Awesome &roid(オーサム・アンドロイド)。90年代のエモやグランジ、Weezerなどに影響を受けたサウンドを鳴らす彼ら。「東東京 a.k.a 千葉からやってきましたAwesome &roidです!」というYuta Goseki(Ba. Cho.)の軽快な一言からスタートした「Sober」のイントロを聴いた瞬間、不覚にも目頭が熱くなるのを感じた。

Awesome &roid

Awesome &roidと言えば、普段はおっとりしているGosekiがステージ上で覚醒するのが持ち味の1つだが、この日もステップを踏んだりベースを持ち上げたり頭をぶん回したりなど、その場で瞬発的に見せるパフォーマンスが実に痛快だった。

Yuta Goseki(Ba. Cho.)
Yuta Goseki(Ba. Cho.)/Kou Nakagawa(Dr.)※Support

一方で、ドリーミーな音像の「Sponge B Rhapsody」ではダウナーな一面も見せるなど、その表現の振り幅も魅力だ。Tatsuru Horiuchi(Vo. Gt.)のヴォーカルも、「Minecraft」で聴かせるハードコア寄りのものから一転してシリアスに歌い上げる様が印象的だった。

Tatsuru Horiuchi(Vo. Gt.)
Awesome &roid
Yuta Goseki(Ba. Cho.)/Takahiro Sato(Gt.)※Support

MCでは、かつて新代田FEVERでYou Blew It!(アメリカのエモ・リバイバル・バンド)を観たのがバンド結成のきっかけだった、というエピソードも披露された。逆風の最中でも、この日彼らは自分たちが憧れた存在と同じステージに立てた、という揺るぎない事実。継続すること、そしてそのことが導くものは、確かに存在することを証明してみせたのだ。

Awesome &roid

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おそらく、僕は大切な何かを忘れかけていたのだと思う。

どんな状況でも音楽は鳴り続ける。ほとばしるほどの<現実>を見せつけられて、胸に宿った熱いものを大切にしなければならないと思った。やっぱりライブが好きだ。そして、皆が自由に楽しめる本来のライブハウスの姿を、僕らは取り戻さなければならない。ただの観客なのに、そんな決意に似たものが浮かび上がったりもした。

この日、新代田は間違いなくエモの爆心地だった。そして、彼らが発した熱量の余波は、今もジリジリと広がりつつある。

(写真提供:Yousuke Fujita)

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Haiki

カトウミツキ(Vo. Gt.)
ゆーや(Dr.)
イシマルコウ(Ba.)

Awesome &roid

Tatsuru Horiuchi(Vo. Gt.)
Yuta Goseki(Ba. Cho.)

MV

Haiki「横浜」

Awesome &roid(feat.Crystal Kato)「Minecraft」

Awesome &roid「Sponge B Rhapsody」

RELEASE

Awesome &roid × Haiki 『Split』

Release – 2021/01/08
Label- Fujiwara Forever Records

ジャケット写真

取り扱い店舗:

HOLIDAY! RECORDS:https://holiday2014.thebase.in
FLAKE RECORDS:http://www.flakerecords.com/index.php
stiff slack:http://www.stiffslack.com
LIKE A FOOL RECORDS:https://likeafoolrecords.ocnk.net
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對馬拓