突然ですが、皆さんは今音楽シーンの最先端を行くバンド・King Gnuについてどこまで知っていますか?
King Gnuは、2019年の紅白歌合戦で披露された楽曲「白日」で話題となりました。テレビやラジオ等でも頻繁に流れていたため、名前だけは聞いたことがある人も多いはずです。
しかし「白日」は、彼らの魅力のほんの一部分に過ぎません。
是非「白日」以外の楽曲を知ってほしいと共に、彼らの魅力を細部まで感じるため、できるだけ良い音楽環境で聴いていただくことを強くおすすめします。
なぜならKing Gnuのサウンドが、圧倒的な音楽センスによってこだわり抜かれた唯一無二のものだからです。
今回は、常に新しい音を生み出し進化を遂げるバンド・King Gnuについて語っていきたいと思います。
INDEX
King Gnuは、以下の4人によるミクスチャー・バンド。
元々はSrv.Vinci(サーヴァ・ヴィンチ)という名前で活動していましたが、2017年にグループ名をKing Gnuに変更。そして2019年1月にシングル「白日」でメジャーデビューしました。
メンバーはクラシック、ジャズ、ヒップホップ、ロック、R&Bなど、様々な音楽の影響を受けています。
そのため、メンバーそれぞれの知見を元に作られた全く新しいサウンドを「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と称し、唯一無二の音楽的感性で独自の音楽を常に生み出しながら、現在も精力的に活動を続けています。
しかし、King Gnuが持つ「唯一無二の魅力」とは、一体何を意味しているのでしょうか? 1つずつ解説していきます。
King Gnu最大の魅力は、豊富な知識によって計算され尽くした重厚なサウンドです。
どこかダークでありながらもキャッチーで、どうしても明暗がはっきりしがちなJ-POPの中でも特異な存在であるといえます。
決して特殊な楽器が使われている訳ではありません。
しかし、幼少期から楽器に触れ、楽器一つひとつの特性を熟知した常田によって制作されたトラックは、ほかのどのアーティストにも再現できないものに仕上がっています。
意図的に加工されたヴォーカル。完璧なタイミングで使用されるディストーション。低域を強調し、人の心の底から揺さぶるベースとドラム。dim(ディミニッシュ)を多用する奇抜なコード進行。
King Gnuの楽曲を初めて聴いた時、「どの音も聴き逃したくない!」と思った僕はAir Podsを外し、奥底にしまっていた高級ヘッドフォンとポータブルアンプを引っ張り出しました。良い音楽環境でKing Gnuの楽曲を聴くと、一音一音こだわりを持って制作されていることがよく分かります。
King Gnuの楽曲を聴くと、まるで異世界に迷い込んだかのように感じられます。しかし、歌詞は驚くほど生々しく、リアリティを帯びており、楽曲と歌詞は対照的なものとなっているのです。
‘‘散らかった部屋に押し潰されそうだ 人はいつだって臆病な生き物でしょう’’
「今日だけは現実を忘れたい」--あなたがそう思って聴いている楽曲は、心当たりのある日常生活の一部を歌っていたりしませんか?
何もかも忘れたい。そんな日には、King Gnuの楽曲を聴くと心の靄が晴れるかもしれません。
また、King Gnuの楽曲は転調が頻繁に行われるだけでなく、コード進行も変則的。
聴き手の「次はこう来るだろうな」という予想を反し、「そう来たか!」と頷かせる心地良い裏切りが特徴です。
例えば、配信限定の2ndシングル「白日」では、楽曲の大半を男性がファルセットで歌うだけでなく、サビの最後では女性でも高いキーとなります。
また、配信限定の4thシングル「傘」のサビも、聴き慣れたコード進行で始まったかと思えば、途中で聴いたことのない予想外のコードに移行します。
このように、リスナーを良い意味で裏切って楽しませてくれる点もKing Gnuの魅力です。
井口理は、東京藝術大学の声楽家出身。その経歴も頷けるような繊細で美しい歌声が特徴的ですが、楽曲によっては吠えるように歌うことも。
一方で常田大希の歌声は、スモーキーで男臭く、その渋いハスキーボイスを活かすためにしばしば拡声器を使用することもあります。この2人の個性が混ざり合うオクターブユニゾンが、King Gnuの歌の特徴です。
また、楽曲によっては重厚なコーラスを駆使することもあります。
例えば、1stフルアルバムのタイトルにもなっている楽曲「Tokyo Rendez-Vous」では、常田が気持ちの赴くままに歌ったかと思いきや、井口は美しく伸びやかな歌声で丁寧に歌い上げます。その後、サビでは2人の歌声が重なり、楽曲全体を通してどこか幻想的な雰囲気を漂わせます。
さらに、デビューシングル「Prayer X」では、怪しめのストリングスアレンジで始まり、厚みのあるコーラスで最初のサビは締め括られます。その後も、まるで心の中にある様々な面を持った自分を表しているような独特のコーラスが続き、聴く人を最後まで飽きさせません。
King Gnuは、メンバーの1人1人が確かな演奏技術を持っています。
昨今のJ-POPは、パソコンによる打ち込みが主体の楽曲が多く溢れています。しかし、King Gnuの楽曲は打ち込みを利用しつつも、その高い演奏技術を活かしたものがほとんど。特に、カラオケ音源が利用されることの多い紅白歌合戦に出場した時も、King Gnuは「白日」を生演奏で披露しました。
一流の音楽アーティストでも緊張するような舞台で、臆せずパフォーマンスできるのは、それだけ自分たちの演奏技術に自信があるからなのでしょう。
また、King Gnuが音楽番組やライブで楽曲を披露する時は、音源のままではなくオリジナルアレンジを加えて披露します。
例えば3rdアルバム『CEREMONY』収録の「Teenager Forever」は、音源ではアコースティック・ギターが使用されていますが、音楽番組で披露する時はエレキギターに変わります。
そのため同じ曲でも全く違う印象を与えられる、という計算し尽くされたアレンジも、King Gnuならではの発想ではないでしょうか。
僕自身、この記事を書くにあたりKing Gnuの楽曲を改めて一通り聴いてみましが、独自の世界観にどっぷりハマッてしまいました…。
国内外問わず高く評価される彼らですが、その奥底には複雑な音楽技術が絡んでいるのです。
食わず嫌いしてしまい、まだちゃんと聴いたことがない…という方は、是非この機会にKing Gnuの楽曲に触れてみることを強くおすすめします。