うららかウォーキングに行かないかい
四月も半ばに差し掛かり、夏を感じさせるほど暖かくなったかと思えば急に寒くなり、雨がさらさらばしゃばしゃ降って生命がぐんぐん育っている。春である。完全に春なのである。春のど真ん中なのである!
ということで今回は、すっかり春にあてられてしまった私が、うららかな日の散歩にぴったりな音楽を紹介していこうと思う。
うららかウォーキング用ミュージック
曲名・歌詞・声・リズム・メロディー・サウンド、それらからとにかく春を感じる曲を集めてみた。そしたら、色々な春が揃った。新しい世界に向かう春、風が吹き荒れる春、君と出会った春、あなたを思う春、あの子と別れた春。
ゆったりした曲から疾走感のある曲まで、あらゆる表情を見せる・日によって印象が違う、そんな情緒不安定な春を表した選曲になった。その中でも今回は、特に春の印象が強い楽曲をピックアップ。
Chara『ラブラドール』
先日散歩をしていて、シャッフル再生でこの曲が流れてきた。明確に春だと歌っている箇所はないのに、なぜか春を感じた。
何に春を感じたのか。歩きながら考えて、声かな、と思った。Charaの歌声は妖精のようだと思う。それも花や草、虫などといった類を感じさせる妖精。生命がざわめく春のような声。
そんなことを考えながら『‘‘愛してしまえばいいいよと笑いながら’’歩くChara』を思い浮かべて見えた風景は、やはり暖かな春の日だった。
石野真子『春ラ!ラ!ラ!』
この曲を初めて聴いたとき、軽やかで明るいサウンドに乗っかっているとんでもない歌詞に驚いたものだった。元恋人と今の恋人と私で、三人揃って遊んでみたいわ、とか言うんだから。本当になんて歌なんだろうか。
‘‘あなたが好きになる前にちょっと愛した彼かしら’’。こんなことを恋人に言われたら、私だったら卒倒する。自分のことは「好き」で、そいつのことは「愛した」の!?とか言い出しちゃうと思う。本当になんて歌なんだろうか。
ちなみに、こんなふざけた歌詞でどうするんだ、とレコード会社で会議になったらしい。
とはいえ、にこにこと屈託なく歌う石野真子は本当に可愛い。春は人を狂わせるのかな。
(引用:YouTube)
RCサクセション『春うらら』
‘‘エイプリルフールな君とぼく’’、どんな君とぼく?
‘‘エイプリルフールなこの世界’’、どんな世界?
それってなんだか「嘘ばかりの世界ってこと?」などと厭世しかける。が、エイプリルフールというのはあくまでも「罪のない嘘をついて楽しむ日」であって、そこに悲しい意味は含まれていない。
だからきっと、‘‘エイプリルフールなこの世界’’は、悲しい出来事も楽しい嘘に変換できるような、そんな優しい世界なんじゃないか、と思う。
捉え所がなくてふわふわした、だけどしっかりと裸足で地面を踏んでいるような気もする、不思議な歌。
Base Ball Bear『抱きしめたい』
こんなにストレート直球ど真ん中なラブソングはそうそうないんじゃないだろうか。
‘‘いやらしめな意味でも綺麗な意味でも突然でも構わないかい?抱きしめたい’’
なんというか、あまりにもありのまますぎる言葉でむず痒いような気持ちになる。そして、どんな言葉でもうまく表現できない、ただ触れたい、ただ抱きしめたいと思う、そういう恋をしたときの感情を思い出せてくれる。
一生に一度は‘‘春風の中、君は花のようだ’’なんてことを言われてみたい。
(引用:Base Ball Bear Official YouTube Channel)
YUKI『暴れたがっている』
春は、あらゆる生物が暴れたがる季節だと思う。冬に蓄えていたパワーが、暖かくなって身体の中を巡って、動き回りたくなるような。そして花が咲いて若葉が芽吹き変質者が増える。暴れたがっている。
この歌は、新社会人だった頃、己を鼓舞するためによく聴いていた。‘‘只 一心不乱に長い台詞を覚えた解答者 負けてたまるか’’に自分を重ねて、‘‘何度でも何度でも飛び込め’’、と自分に言い聞かせて出社したものだ。
新社会人として頑張っている人に、新しい環境へと移った人に、新たに何かを始めようとしている人にぜひこの歌を聴いてもらいたい。きっと、パワーをもらえると思うから。
贅沢春てんこ盛り散歩に行かない?
あなたの春にぴったりな曲は見つかっただろうか。
季節はみんなに平等に訪れるけど、訪れた先にはひとつとして同じものはないから、『春』をテーマに曲を集めても、これだけ違う曲が揃う。他人の感性に触れられるのは、音楽のいいところだと思う。だから音楽が好きだ。
これらの曲を聴きながら歩けば、春を身体で感じながらあらゆる春に思いを馳せることができる。贅沢春てんこ盛りである。季節を目一杯楽しむことは幸せで楽しいことだと、私は思う。
前回も書いた通り、今の気候は本当に散歩におあつらえ向き。春に浮かれた女が作ったプレイリストを連れて、共に春にざぶざぶ溺れてみませんか。あ、南南西から、風が、ほら。
‘‘南南西から鳴く風
なぜか流れた涙
なんてったって春だ’’(サカナクション『なんてったって春』)
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