私を構成する9枚【寄稿/湊川あい編】

私を構成する9枚【寄稿/湊川あい編】

#私を構成する9枚--その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。

アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。

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Coaltar of the Deepers『The Breastroke』(1998)

全ての原点。私の音楽的趣向はディーパーズに育てられました。どのアルバムも良いので苦心しましたが、選んだのは「これぞディーパーズ」と言える代表曲が封入されたベスト盤。ラストの「Sinking Slowly」は圧巻です。ノイズの海に沈みます。

ディーパーズのファンをやっていると「7年も新作が出ないのによく耐えられたね」と言われることも。その間はNARASAKIさんが影響を受けた海外のシューゲイザー、メタル、ニューウェーブや、NARASAKIさん個人のアイドル/アニメの仕事からディーパーズ成分をすすりながら生きていました。その結果、良い意味で節操のないオタクになったと思います。休止期間がリスナーを強くすることもある、という例ですね。

Hartfield『True Color, True Lie』(2003)

会社員を続けるかフリーランスとして生きるか悩んでいた頃、漫画の原稿を描きながらよく聴いていました。どこかで見たような懐かしい風景を彷彿とさせる楽曲たちに心臓がギュッとなり、特に「Strangers When We Meet」のギターリフは涙腺が熱くなります。短期間しか活動しなかった伝説のバンド。その事実がより一層、曲の儚さに拍車をかけています。わがままを言えば、年に1度しかライブをしなくても、新譜が7年に1回でも、活動していてほしかったです。

Hartfieldに目覚めてからは、PLASTIC GIRL IN CLOSET、死んだ僕の彼女、揺らぎ、plant cellと国産ドリームポップやシューゲイザーを順調に聴き進めていくことになります。

The Depreciation Guild『In Her Gentle Jaws』(2007)

ディーパーズのおかげで歪んでしまった私が、ひとクセふたクセあるシューゲイザーを探し回る日々を過ごす中で出会ったのが、シューゲイザーに「Nintendocore」というジャンルをミックスしたザ・デプレシエーション・ギルドです。レトロゲームみたいなピコピコ音とシューゲイザーが絶妙にマッチ。

このアルバムがロックなのは1曲目にエンディングみたいなインストをぶっこんでくるところで、質の良いRPGをトゥルーエンドしたあとの余韻そのもの。そして2曲目以降は後日談/ループ系な感じで聴けるというおいしいアルバムです。例に漏れず、既に音楽性の違いで解散済。「リアルタイムで活動してくれるバンドは大事にしよう」と心に強く誓うのでした。

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◯執筆=湊川あい
Twitter:@llminatoll(本アカウント)/@llminatoll_sub(サブアカウント)
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musit編集部