私を構成する9枚【寄稿/風間編】

私を構成する9枚【寄稿/風間編】

#私を構成する9枚--その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。

アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。

* * *

Hilcrhyme『MESSAGE』(2010)

俺の衣食住に音楽が仲間入りしたきっかけの1枚。出会いは偶然叔父からチケットをもらい、2011年に地元朱鷺メッセでライブを観たこと。この日を境に音楽を聴かない日は1日もなくなった。その始まりの時期に聴き狂った本作はタイトル通りあらゆるメッセージが詰め込まれ、ラップに乗ることでより心に響く。当時中学生の自分には刺さりまくった。

そしてあまり言及されていないけど彼らのトラックについて。当時トラックメイカーだったDJ KATSUは元々クラブDJで、ヒップホップやポップスは専門ではなかったため、独特で他で聴くことのない鳴り方をしている。音楽をたくさん聴くようになった今だからよりそう思う。特に「押韻見聞録」、未だにジャンルは分からないがはっきり絵は浮かぶ、そんな曲である。

Base Ball Bear『二十九歳』(2014)

高校に入ると、フェス文化の盛り上がりや周りの影響で自然とロック・バンドを聴くことが増えた。雛鳥が初めて見た動くものを親と思うように、それまで俺にとって音楽はヒップホップだったからロックは全てが新鮮だったし、まだこんなカッコいい音楽があったんだと思った。そんなロックへの道が拓けていた時にこのアルバムに出会った。ベボベの名前はコラボ経由で何となく認識していたが、ラジオでかかっていた数曲に直感的に惹かれアルバムを購入。そのラジオで「同じような曲は1曲もない」と言っていたが、大袈裟ではなく本当にロック・バンドの全てが詰まっていた。歌、ギター、ドラム、ベースの構成のみであらゆる世界を作り出し、爽やかにも激しくも切なくも優しくもなる、ロック・バンドには無限の可能性があることを感じた。

私立恵比寿中学『金八』(2015)

当時の自分にも抵抗があるジャンルがアイドルだったが、それを変えたのが本作。出会いはMステで「金八 DANCE MUSIC」を観た時。Mステで「Mステに出たい」曲を歌って、しかもキャッチーだし、なんだこれは…。気になって調べてアルバムの曲目を見ると、楽曲提供が好きな人たちばかり。ジュディマリのTAKUYA? レキシ? Jazzin’ Park? 尾崎世界観? どんな作品か想像できなかったが、最高のポップアルバムだった。そうか、アイドルはあらゆるジャンルを歌う最強の存在なのだと。そこからエビ中にどハマりし、大学受験期は特にお世話になった。2018年に初めてライブを観た時、涙が止まらなかった経験は一生忘れない。そこから色んなアイドルを聴くようになったが、全てはこのアルバムから始まった。

* * *

◯執筆=風間
Twitter:@D8mQQ@kzmsata3

musit編集部