私を構成する9枚【寄稿/Jimmy編】

私を構成する9枚【寄稿/Jimmy編】

#私を構成する9枚--その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。

アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。

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Green Day『American Idiot』(2004)

どうやって巡りついたかは思い出せないけど、中1の時「American Idiot」のPVで緑の液体に塗れるビリー・ジョーを観て人生が変わったことは覚えている。何と言っているか知りたくて英語を勉強しまくって、(大学生の時に留学してギルマン・ストリートにも行った)しばらく黒い服ばかり着るようになって、もちろんギターも買って練習した。郊外の青年が家出し、もう1人の自分を見つけ、恋愛して振られ、元の場所に帰ってくる。アルバムのストーリーはベタだけど、裏を返せば誰でもどこかに共感できる普遍性がある。あれから種々の音楽を聴くようになったが、正直この作品以上のものに出会える気はしない。僕の心はジャケットに描かれた手榴弾のように、13歳のあの日から今も掴まれたままだ。

Mr.Children『Q』(2000)

母がカーステで延々と流し続けるので正直ミスチルは嫌いだった。だが高3で行ったサマソニで、目当てだったミューズの前に出てきた彼らのライブを観て心を入れ替えた。良いものは良い、ただそれだけのことにようやく気付けた。彼らの音楽はクセがないと思われているかもしれないがそれは違う。今作に満ちた遊び心は「ミスチルなんて」と思っている人にこそ聴いてほしい。前衛性と普遍性が奇跡的なレベルで共存している名作だ。しかしこのアルバムは母のフェイバリットではないらしく、いつだったか「よく分かんない曲多いじゃん」と言っていた。いずれ母を旅行にでも連れて行く時には、カーステでこのアルバムを流してその魅力を伝えてあげよう。これもきっと、親孝行の1つのような気がするから。

The White Stripes『Elephant』(2003)

25年ほど生きてきて、「捻くれてるね」と言われることが多い。自分はそう思わないが、もしかするとジャック・ホワイトが大好きなことと関係があるのだろうか。たった2人かつドラマーは元妻で音楽的には素人という歪な編成、セットリストを決めずサポートも入れないライブ、長くても2週間程度と定めたアルバムのレコーディング、赤白黒という徹底したイメージカラー。さらに今作は1963年以降の機材使用を禁じ、製作過程にコンピューターは不使用との但し書きまである。自らを縛ることで生まれる閃きに全てを賭けた傑作は、ジャック・ホワイトが捻くれていなければあり得なかったに違いない。彼の音楽に出会ってから、「捻くれてる」という形容詞は僕にとって勲章のようなものに変わった。

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◯執筆=Jimmy

musit編集部