私を構成する9枚【寄稿/ベイビー・ドンブラコ編】
#私を構成する9枚──その文言通り自身の音楽遍歴を語る上では決して切り離せない音楽作品を9枚選ぶハッシュタグ。musitでは書き手自身を掘り下げるべく個人の音楽的嗜好に迫る企画としてお送りしている。
アーティストからリスナーに音楽が手渡される。その過程で物語が生まれ、同じ作品でも受け手の数だけドラマがある。そういった「音楽は個人史である」という側面を、より読者の皆様に広く共有し楽しんでいただきたいという思いから、本企画の寄稿を募集。今回はその公募分から掲載する。選出した9枚の中から、特に思い入れの強い3枚について語っていただいた。
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・宇多田ヒカル『HEART STATION』(2008)
・andymori『ファンファーレと熱狂』(2010)
・相対性理論『ハイファイ新書』(2009)
・AC/DC『Highway to Hell』(1979)
・坂本慎太郎『幻とのつきあい方』(2011)
・Steel An’ Skin『Reggae Is Here Once Again』(2008)
・HINTO『NERVOUS PARTY』(2014)
・Arctic Monkeys『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006)
・The ピーズ『とどめをハデにくれ』(1993)
坂本慎太郎『幻とのつきあい方』(2011)

「愛想が良いわけじゃないのにポップ」。この一言に尽きる作品です。フリーザの最終形態のように無駄のない音がクセになります。洒落てるけど不気味さが拭えないところもまたかっこいい。ベイビー・ドンブラコでは、坂本といえば龍一ではなく慎太郎。この作品にぶっこまれ、「先生」と呼ばせていただいています。
(以下、メンバーそれぞれのコメント)
ソウルやAORのようだけど、そのどれとも違う新感覚の音楽。なお且つ聴きやすいのがすごいです。言葉遣いも単純なのにどこか謎めいていて好きです。(熊谷)
パーカッションやビブラフォンで隙間を埋めるアレンジに影響を受けました。コーラスやサックスの挟み方も絶妙です。(なかにし)
宇多田ヒカル『HEART STATION』(2008)

中学生の頃から大好きで、今でも大好きな存在。現在進行形で最高の作品を出し続けてくれるのが、すごく幸せです。アルバムも全部好きですが、特によく聴く5枚目。1曲目の「Fight The Blues」から、もうシンセの音が気持ち良くて、ずっと聴いていたいです。この時期の作品は音に浮遊感と切なさがあって、このアルバムではそれが極まっていると思います。気分が下がっている時でも、上がっている時でも、しっくりきます。不思議。作詞/作曲に加え、編曲までやっていて、誰も真似できない音楽になっています。ジャケットの表情も絶妙で、それ込みでお気に入りです。当時よりも好きになっているし、もっと好きになるんでしょうね。(熊谷)
AC/DC『Highway to Hell』(1979)

出会いは高校生の頃。教室の床に『Highway to Hell』の紙ジャケ再発のチラシが落ちていました。「なんてダサいチラシなんだ!」と思って持ち帰り、後日HMVでCDを購入しました。どんなもんか、と完全に舐め腐った態度でCDラジカセにぶち込んだ瞬間サンダーストラック! 当時好んで聴いていたツェッペリンやパープルとは一味違う無骨なリフ。爆発的なギター・サウンドと抜けの良いパワフルなドラム。グニャグニャしたおっさん臭全開のヴォーカル。自分の中にあるハードロックの概念が大きく広がったのを覚えています。ニューウェーブやDTMにのめり込む前の、純粋なロック小僧だった頃にいつでも連れて行ってくれる思い出の1枚です。(なかにし)
◯執筆=ベイビー・ドンブラコ
LINK
・ベイビー・ドンブラコ
Twitter:@babydonbraco
musit編集部




