【フィジカル放浪記 Vol.5】BIG ROMANTIC RECORDS/大浪漫商店──再開発の下北沢、その一角で味わう小旅行気分

【フィジカル放浪記 Vol.5】BIG ROMANTIC RECORDS/大浪漫商店──再開発の下北沢、その一角で味わう小旅行気分

3月某日、とある用事のため下北沢の街へと舞い降りたmusit編集部一行。よっしゃ、平日の昼間から「合法的」に下北沢をほっつき歩けるじゃないか…と息巻いたは良いものの、いざ駅を出ると平日の昼間から下北沢をほっつき歩いている大勢の人々が目に飛び込んできた。そうか、そんなにスペシャルなことでもないのか…と誠に勝手ながら少し出鼻を挫かれたような心地である(時期的に、春休みの学生の方々が多いのかもしれない)。

ともあれ、せっかく下北沢に来たのだから仕事にかこつけて色々と足を伸ばしたい!という我儘ぶりを発揮して、筆者は限られた時間の中「BIG ROMANTIC STORE」へと歩みを進めた。

再開発が進む下北沢、線路跡の一角に

下北沢駅と世田谷代田駅のちょうど中間地点に位置する商店街「BONUS TRACK(ボーナストラック)」。かつて地上を走っていた小田急線が地下に潜り、その線路跡の空間を整備する一連の再開発の中で、2020年4月にオープンしたのがこの施設だ。

現在は計14ものテナントが軒を連ねている。

「BONUS TRACK」というネーミングはいかにも音楽の街・下北沢らしいのだが、その一角にひっそりと店を構えるのが「BIG ROMANTIC STORE(大浪漫商店)」だ。レーベルであるBIG ROMANTIC RECORDS(大浪漫唱片)が運営するショップで、レコード/カセット/CDなどのフィジカル・メディア(レーベルからリリースされた国内盤も多数)やオリジナルのグッズを販売するほか、台湾のソウルフードである魯肉飯(ルーローハン)の専門スタンドも併設している。

公式HPによれば、BIG ROMANTIC RECORDSは東京と台北(台湾)を拠点としてアジアの音楽を紹介するブッキングエージェンシー「浪漫的工作室」が立ち上げたレーベル。現在は下北沢と台北にそれぞれ1店舗ずつある「大浪漫商店」のほか、shop in shop形態の「大浪漫商店express」も各地に展開している(4月1日からは渋谷と新宿のHMV record shopにも出店)。

大規模な再開発が進み、駅を降りる度に「また新しくなってる!?」と新鮮な感動を覚える下北沢において、BIG ROMANTIC RECORDSは近年特に盛り上がりを見せるアジアン・インディーの「今」を発信する、要注目のレーベル/レコード・ショップなのだ。

アジアン・インディーを取り巻く小旅行へ

下北沢駅の南西口を出て、小田急線線路跡に沿うように世田谷代田駅方面へ進んでいくと、トレードマークの達磨と「BONUS TRACK」のロゴが掲げられた建物が見えてくる。「BIG ROMANTIC STORE(大浪漫商店)」は、その敷地内の少し奥まった所に建っている。

下北沢駅南西口を少し進んだ先の階段からの景色。前方遠くに「BONUS TRACK」が見える。

絶妙にどんよりとした空である。

実は、筆者がこの場所を訪れるのは2回目なのだが、初めて足を運んだ際は建物の入口がどこなのかすぐには判別できなかった。店内も決して広くはなく、5〜6人も入れば身動きが厳しくなるのだが、あまり目立たない立地も含め、どこか「隠れ家」的な雰囲気に思わず惹かれてしまう。

入店してまず目に飛び込んでくるのは、「魯肉飯」の看板と賑やかなカウンターだ。店内には小さめのテーブルとイスが2組置かれており、ここで食事をすることもできる。

店舗の外にも「BONUS TRACK」内の飲食店で共有しているテラス席がいくつも用意されており、自由に利用することも可能だ(筆者はこの日フードを注文する時間がなかったため、日を改めて食したいところ)。

そして、カウンターに向けた視線を後ろに移すと……壁一面にレコード、カセットがずらっと並ぶ。これだよこれ!

面出しされている商品については全てにポップが付けられており、大変助かる。事前に目当てのものを定めておくのも良いが、筆者のように近くで用事があったからふらっと立ち寄ってみた、なんてのもオツである。店内には備え付けのプレーヤーがあり、試聴することも可能だ。どれにしようか、とりあえず試聴してみようか、ジャケットが素敵だからあれを買ってみようか……などと吟味しているうちに、気が付けば時間が経ってしまう。

BIG ROMANTIC RECORDSは先述の通りアジアン・インディーを専門に扱うレーベルで、例を少し挙げるなら、落日飛車 Sunset Rollercoaster、雀斑 freckles、DSPSといった台湾のインディー・ロック・バンドをはじめ、林以樂(リン・イーラー:雀斑のヴォーカルやソロ・プロジェクト、SKIP SKIP BEN BENとして知られる)、Death of Heather(タイ/バンコクのシューゲイザー・バンド)、Manic Sheep(台湾のシューゲイザー・バンド)、法茲 FAZI(中国のインディー・ロック・バンド)など、多数の優れたアーティストを擁す。

また、日本盤のフィジカルもリリースしており、日本語対訳の歌詞カードが付属するものも多い。特にレコードの場合は日本語の帯が付いており、デザインとしても非常に魅力的である。

入口付近にはオリジナルグッズも展開されている。思わず集めたくなってしまう、なんとも抗い難いかわいさだ。

筆者が以前プライベートで立ち寄った際に購入した林以樂「VACATION」のレコード。菅原慎一(ex. シャムキャッツ)が参加。

レコードを購入するとステッカーがもらえる。

耳で味わい、舌で嗜み、そして視覚的にも美味しい。ひとたび足を踏み入れれば途端に異国情緒に触れられ、小旅行のような気分さえ味わえる「BIG ROMANTIC STORE」に、今こそ訪れてみてほしい。

* * *

BIG ROMANTIC STORE(大浪漫商店)

所在地:〒155-0033 東京都世田谷区代田2丁目36番14号 BONUS TRACK soho5
営業時間:定休日なし/11:00〜23:00

・Twitter:@bigroman_store
・Instagram:bigromanticstore

BIG ROMANTIC RECORDS(大浪漫唱片)

・HP:https://www.bigromanticrecords.com/
・Instagram:@bigromanticrecords

BONUS TRACK

HP:https://bonus-track.net/

對馬拓