【紀行】編集部・對馬の北海道出張 part.1/札幌でRingo Deathstarrを観た!

【紀行】編集部・對馬の北海道出張 part.1/札幌でRingo Deathstarrを観た!

去る11月13日から14日にかけて、musit編集部の對馬が出張として地元の札幌へ行って参りました。というのも、詳しい経緯は省略しますが、Ringo Deathstarrが『Japan tour in North』と題して旭川(12日)と札幌(13日)を周っており、ライブを観るのはもちろん、その両日で共演するsi,ireneの木下さんとRingo Deathstarrのエリオットでフロントマンどうしの対談ができないだろうか、と考えてのことでした。

あいにく12日の旭川公演は予定があって観ることは叶いませんでしたが、13日の札幌では無事、開演前に対談を実施することができました。そして、14日は全く別の目的を果たすため、千歳の街に降り立つことになったのです。本稿では、そんな2日間の出来事を、紀行文のような形式で綴っていこうと思います。

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11月13日(日)

11月も半ば、東京にはまだ秋の残り香が漂っているが、札幌はとうに冬を迎える時期だ。天気予報を見ても1桁台の気温が並んでいる。実際、東京の朝も冷え込む季節になったので、モコモコのフリースを着て家を出たが、やはり駅に向かって歩いているうちに身体が火照ってくる。電車に乗り、なんともない素振りで車窓の外を眺めていたが、背中を流れる滝汗を感じまくっていた。

ジェットスター、空へ

空港までは『京成スカイライナー』に乗る。飛行機は乗り慣れたジェットスターにしたため、主要LCCが離着陸する成田空港まで行く必要があったからだ。いつもならスカイライナーの予約を怠ってしまうが、さすがに今回は学習して事前にネットで座席を確保した。しかも、荷物が多くなってもスマートに改札を通れるようにモバイルPASMOを登録、残高もスマホでチャージできるようにしたことで、全てがスムーズだった。しかし「将来的にはスマホを捨てて生活したい」という私の野望は、さらに遠のいてしまう結果となった。非常に悔やまれる。これもまた人生か。

会社の出張だから飛行機はLCCでなくても良かったかもしれないが、そこまでの贅沢をする気持ちにはならなかった。座席は多少の圧迫感こそあるが、やはり安さには代えられないし、ずっと使い続けてきたことで身体が順応している。予約したプランに含まれている機内食のベルギーワッフルとホットコーヒーがなかなか美味いので、それでもう満足である(逆に言えばそういうプランを選ばないと機内食は付いてこない)。しかし、その存在を忘れていたがために、搭乗前に朝食用のおにぎりを買ってしまい、食べるタイミングを失ってしまった。「彼」も哀しんでいると思う。

離陸前、仕事の関係で数ヶ月前に北海道に移り住んだ友人に「今日から札幌へ行く」という旨のLINEを入れた。もしかしたら会えるかな、と思ったが、彼はちょうど今日から1泊2日で大阪に行く(しかもSuiseiNoboAzのライブを観に行く)というのだ。完全な入れ違いで笑ってしまった。

飛行機は定刻よりも早く新千歳空港に到着した。が、着陸は最悪だった。この日の千歳の気候はやや荒れており、滑走路に近付くにつれて水滴が窓を打ち、機体は揺れに揺れた。だから本当はこんな鉄のカタマリを空に飛ばしちゃいけないんだよ、という気持ちにならなくもない。

空港に着いてすぐJRに飛び乗った。新千歳空港から札幌を経由し小樽まで繋ぐ『快速エアポート』である(札幌の実家から小樽の大学に4年間通っていた自分にとって、本当にお世話になった特急列車だ)。昨夜の『CRAFTROCK CIRCUIT ‘22』で観たtricotのライブを反芻するように『真っ黒』を聴きながら、目的地の札幌駅へ。

途中、北広島に差し掛かった頃、日本ハムファイターズの新しい本拠地となる予定の巨大な建築物『エスコンフィールド北海道』が目に飛び込んできた。ああ……と少し前に見かけたニュースを思い出す。というのも、建物自体はほぼ完成したのだが、公認野球規則の規定を満たしていない部分があることが発覚し問題となっているらしい。ここまで作ったのに、どうして今さらそんな話になるんすか、と純粋に疑問が湧く。

引くほど美味い寿司

30分ほどで札幌駅に到着した。やはり天気は雨。最終目的地までは、ここからさらに大通方面へ歩みを進めることになる。まずは腹ごしらえということで美味い飯を求めて、アーケードの商店街『狸小路』の近くに位置する『ノルベサ』に向かった。

屋上に観覧車がそびえ立つこの建物は、アミューズメントからファッション、飲食店まで様々な店舗が入った商業施設で、特に2階にある『まんだらけ』には大学時代、随分とお世話になった。フラッと立ち寄り、吾妻ひでおの欲しい漫画を何冊か見つけてしまったが、荷物になるのでグッと堪えた自分を褒めてほしい。

一瞬寄り道したが、ノルベサに来たのは他でもない、地下にどうやら寿司屋があるらしいのだ。店構えに多少たじろいだがスッと入る。「雨の中ご来店いただきありがとうございます」と女将の一言。心遣いからしてそこら辺の回転寿司との差は歴然だった。

メニューを見て案の定、値段は決して優しくはなかったが、まあせっかくの機会だし多少は奮発しても良いだろうと自分に言い聞かせる。1皿目は迷うことなくサーモンの握り。程良く脂の乗った身が口の中にスッ……と溶け入っていく。トロでなくともこの食感。えげつない。最近好きになった光り物も食べてみようと真アジも注文。引き締まった厚い身がなんとも美味である。何しろ1皿平均300〜500円。とはいえ、この値段でこれほどのレベルの寿司を食べられるのはさすが北海道クオリティ、とも感じた。だが、やはり高いので6皿に留めておいた(それでも計2,000円は超えてしまった)。

ちなみに、このお店には偶然Ringo Deathstarrとsi,irene一行も来店していたが、席が遠かったため声をかけられなかった。

古い記憶と非日常の現出

店を出て、先にホテルのチェックインを済ませた(本当は実家に帰って泊まりたかったが、1泊2日の弾丸出張なので寄っている時間もなく断念)。すぐにホテルの部屋を出て、最終目的地へ。おそらくここから数分で着くだろう、近くに宿が取れたのは大きい。雨の中、古い記憶を辿るように歩みを進める。『BESSIE HALL』という文字が見えてきた。

ベッシーホール。キャパシティはオールスタンディングで250人。80年代から存在するという、札幌の老舗ライブハウスだ。アイコンはなぜかマンボウで、ステージ後方、ちょうどドラムの後ろ側にもマンボウが鎮座している(なぜマンボウなのか、理由をご存じの方は情報提供をお願いします)。

超余談だが大学時代、私はこの場所でPOLYSICSのワンマンライブを観たことがある。確か『ACTION!!!』のレコ発だったはずなので2014年頃だろうか。『BESSIE HALL』の特徴として、フロアの下手側にステージへ続く導線が敷かれている。POLYSICSの時は終演後メンバーがそこを通ったので、ちょうど下手にいた私はメンバーとハイタッチしたのだった。

そんな思い出に浸るのも束の間、開場前のフロアまで降りて、お世話になっているレーベルの方々や、si,ireneの木下さんと挨拶を済ませる。程なくしてRingo Deathstarrのエリオットが登場、両者の対談がスタートした。やはり緊張こそしたが、木下さんのサポートもあって、約30分の対談は無事終了(その模様は、この日のライブの感想と共に後日公開予定)。

サポート・アクトも含めた全4組のライブは、あっという間に終わってしまった。馴染みのある地元で非日常を体験するのは、なんとも不思議な心地がした。外へ出ると雨はほとんど止んでいたが、冷たい11月の北風が頬と手の甲を突き刺す。さすがに寒いし、轟音にやられた耳がまだ遠い。暖を取るためにも、とりあえず狸小路の一角にあったラーメン屋にフラっと入り、塩ラーメンに舌鼓を打った。これも余談だが、私はラーメン屋では大体70%くらいの確率で塩ラーメンを注文する。

ホテルに戻り、対談の録音データをPCに取り込みながら少し作業をしていたが、『霊媒探偵・城塚翡翠』の最終回が始まった瞬間、全てを放棄した。その流れで『ガキ使』を観ながらヘラヘラ笑っていたが、日付が変わる頃にはウトウトし始め、いつの間にかそのまま眠ってしまった。

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對馬拓