【スクリーンで君が観たい Vol.10】さりげなくも痺れる魔法のようなスパイスの調合師!ジュード・ロウ

【スクリーンで君が観たい Vol.10】さりげなくも痺れる魔法のようなスパイスの調合師!ジュード・ロウ

今なお世界中で愛される名作『ファンタスティック・ビースト』シリーズが現在Netflixで配信中だ。安藤エヌの推しを語る本連載、記念すべき第10回目はそんな2作品でアルバス・ダンブルドアを務め、世の映画フリークを虜にしたジュード・ロウを紹介する。

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とかく映画ファンというのは独自のランキングを作りがちな気がするが、私調べの「曲がり角でぶつかった時に優しく手を差し伸べてくれそうな俳優1位」は、今回紹介するジュード・ロウである。

彼の最大の持ち味はとにかく物腰が柔らかいことだ。それに加え、若かりし頃に出演した『オスカー・ワイルド』(1997)の姿からも分かる、歳を重ねるごとに増していく高貴で美しい容姿だ。この2つが合わさったら、さながら人をだめにする毛布のごとく映画ファンを骨抜きしてしまうことが容易に想像できるであろう。

そんなジュードが直近に演じた役柄で刮目したのが、様々なメディアで筆者が生粋のファンと豪語している『ファンタスティック・ビースト』シリーズでのアルバス・ダンブルドアだ。

『ハリー・ポッター』シリーズでもおなじみアルバスの教師時代を演じたジュードだが、ハリーたち生徒にも見せたあの抜け目なさと飄々とした性格、そしてそこはかとなく漂う色気を兼ね備えた完璧な演技を見せてくれ、最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022)でそのポテンシャルは最大に引き出されていた。

これぞ当たり役であり適役だ……と思いながら、ジュードがアルバスを演じてくれたことに心底感謝したファンの1人として、映画館に何度も足を運びその姿を目に焼き付けたことも記憶に新しい。ジュードの観察眼は確かなもので、インタビューなどで語っているアルバスの人となりに深い考察が見えるのもまた彼の演技に磨きをかけているといってもいいだろう。 

ほかに最近観たジュードといえば、こちらのコラムでも紹介した巨匠ウォン・カーウァイの海外作品『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007)に登場するジェレミーというキャラクターだ。失恋した主人公の女性が通うカフェのマスターで、傷心した彼女の前に売れ残りのブルーベリー・パイを差し出す心根の優しい男性、という役柄だった。この役もまた、ジュードが元来持っている性格の良さを活かした適役だと思った。彼なら本当にそういうことをやりそうだな……というリアリティが、ジェレミーの人物像に深みを与え、旨味のある映画の重要なスパイスとして機能していた。そう、ジュードはさりげなく、けれどしっかりと映画に味付けを施せる、2枚目でありながら味がある俳優なのだ。

そういった俳優を名だたる監督が重宝し、信頼するのも頷ける。時に甘く、時に痺れるように辛くなれる魔法のスパイスのような俳優こそがジュードなのである。 

これまでに築いてきた輝かしいキャリアを彩る過去作を観れば、彼が長年人気俳優としての名を欲しいままにしている魅力にハマってしまうこと間違いなしだが、次回作も気になる所。なんと今度はディズニーの実写版『ピーターパン』のフック船長を演じるというではないか。これはまた、味付けの濃い役どころが来たものだ。ガイ・リッチー監督がメガホンを執った実写版『アラジン』(2019)のヴィラン・ジャファーにも監督の濃い味付けが見て取れたが、今回フック船長を演じるジュードはどんな風に「料理(映画)」に合った味に変化してくれるのだろうか。今からナプキンを首に挟み、喉を鳴らしながら新たなジュードを味わえることを楽しみに待ちたい。

安藤エヌ