【musitTV 出演アーティスト紹介】Vol.2:電影と少年CQ / ハイエナカー / si,irene

【musitTV 出演アーティスト紹介】Vol.2:電影と少年CQ / ハイエナカー / si,irene

各地のライブハウスを巡りながら、様々なアーティストによる演奏とミニトークをお届けする配信番組『musitTV』。ここでは事前に記入いただいた各出演者へのアンケートシートを元に、アーティストのルーツや音楽性に迫るほか、映像の見所を解説する。

電影と少年CQ

〈L→R〉
ルアン
ゆっきゅん

文=翳目

1組目は、「架空の映画サウンドトラック」を歌う電影と少年CQ。ミスiD2017のファイナリストであるゆっきゅんと、アイドル・グループ出身のルアンによる2人組ユニットとして、2016年11月より活動を開始した。

電影と少年CQの楽曲やステージでの演出には、そのコンセプト通りフィルム映画をディグしているようにシネマティックな世界観が特徴的だ。名作映画をモチーフにしながらテクノ・ポップやモダン歌謡と様々な要素を携え、時に情熱的に、時に可憐にその花を開かせる。

musitTVでは、ライブステージでも定番の楽曲「トランキライザーの恋人」に加え、映画『King Kong』をモチーフにした「King Kong Doing」を披露。ルアンの気品あるしなやかなダンスや透き通るようなウィスパー・ヴォイスと、2000年代の歌姫から多大な影響を受けているゆっきゅんのアーバンで華やかさ溢れるパフォーマンスのコントラストは必見。

【質問への回答】

A1.

・東京都(ルアン)

・岡山県岡山市(ゆっきゅん)

A2.

・以前活動していたアイドル・グループが解散したタイミングで、メンバーを募集していた電影と少年CQからスカウトしていただきました。当時はまだアイドルがやりたかったという意志もあり、「映画」というコンセプトが良かったのでメンバーになることに。その後ゆっきゅんが応募をしてきて決まり、しばらくメンバー募集をしていましたが2人の相性が良すぎて今に至ります。(ルアン)

・新しいユニットのメンバーを募集しているのを見て応募しました。(ゆっきゅん)

A3.

・非日常の中でしか感じられない美しさを意識しています。(ルアン)

・曲ごとに違う世界観や物語を歌とダンスと表情で歌えることを意識しています。毎回台本が違うので、その役柄を演じた上で、既存曲でも新しさを見せたいなと思って歌っています。(ゆっきゅん)

A4.

花代「まっ赤なしずく」(ルアン)
理由:写真家としても有名な花代さんの90年代にリリースされた楽曲。ちょっぴりコケティッシュで少女性があり、フレンチロリータな雰囲気漂う歌声が堪らなく素敵で影響を受けています。また、幅広く自由に活動されているため尊敬しています。

浜崎あゆみ「SURREAL」(ゆっきゅん)
理由:電少の活動にはそんなに影響が色濃くないと思いますが…一番好きなアーティストです。大規模で大袈裟な舞台の上でたった一人の孤独を歌っている姿に惹かれてしまうからです。浜崎あゆみを愛するように生まれてきたような気がします。あゆの歌を聴いて育ったので、歌詞というもの自体が孤独についての表現媒体だと思い込んでいました。

A5.

・電影と少年CQのお披露目初ライブです。今はなき神楽坂のライブハウスで初ライブをしました。私の語りで始まり、「Noman’s Planet」ではなぜか私が客席にモッシュしたのが強く記憶に残っています。笑 当時の衣装は白黒の水玉衣装で、ゆっきゅんがスカートだったのも懐かしいです。(ルアン)

・青山月見ル君想フでの生誕ライブ。去年のが配信のみになってしまって、ソロ初披露なのにマジでなんなんだよって感じだったんですが、客席にいた運営とルアンちゃんがマジで盛り上がっていたのが忘れられないです。ファンの人に会えなくて本当に残念だったけど、電少のステージもソロ・ステージもあの日はいつもより配信で見てくれてる人との距離がなぜか近い感じがして、不思議でした。(ゆっきゅん)

A6.

・タロットカードに興味があります。家に宇野亜喜良さんがイラストを手がけたタロットカードがあったのと、最近『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメを観ていた影響で興味を持ちました。練習でタロット占いをすることもありますが、占いをする前にカードのそれぞれ持つ意味を知ることが大事だなと思って勉強中です! それと、ギターを弾くことも最近楽しいです。森田童子さんやThe ピーズを練習しています。(ルアン)

・映画を見るのがずっと好きで、大学と大学院でも映画を研究していました。最近は疲れているので、誰も観ていないような商業邦画を夜な夜な観ています。『新しい靴を買わなくちゃ』(2012)、『1980』(2003)、『東京オアシス』(2011)とかです。どうしようもないです。(ゆっきゅん)

A7.

・電影と少年CQの3枚目となるアルバム『CQ』リリース。そして11月には電影と少年CQは6周年を迎えます。ゆっきゅんはソロ・アルバム『DIVA YOU』を3/30にリリースし、ルアンも近々ソロ・アルバムをリリース予定です。電影と少年CQ&ソロ活動ともに見逃せない年になると思います。(ルアン)

・ルアンちゃんが「あとは見つかるだけ」と言っていたので、その精神で高らかにやっていきたいと思います…。電影と少年CQ、ソロ活動共に見逃せない年になると思います。(ゆっきゅん)

ハイエナカー

文=對馬拓

2組目は、村瀬みなとによるソロ・プロジェクト、ハイエナカー。2009年にヘンリーヘンリーズのギター/ヴォーカルとして活動を開始し、高校生でCDデビュー、3枚のアルバムをリリースした。2017年の解散後は、ハイエナカーとしてバンド形態/ソロ形態で活動を展開している。

彼の持ち味は、芯のある歌声と90年代への憧憬、そして日本語ロックを歌うことへのこだわりだろう。エレファントカシマシやフラワーカンパニーズといった、日本語ロックを鳴らしてきた先人たちへのリスペクトを感じさせながら、村瀬みなと自身の人間味が溢れる詩情とメロディ、そして熱のこもった青い歌が心を打つ。

musitTVでは、アルバム『まだ僕じゃないぼくの為の青』から、「Mirror」と「ゼロ」を弾き語りで披露。アルバムではバンド・アレンジで収録されている2曲だが、ステージでただ一人、腰を据えアコースティック・ギターを抱え歌い上げる様を観ていると、かつて「自分は神なんじゃないかと思った」と語る経験も決して大袈裟ではないのだろう。しかしそれ以上に、衒いもなく紡がれる言葉とメロディは、きっと聴く者に優しく寄り添ってくれるはずだ。

【質問への回答】

A1.

TOKYO

A2.

中学生の時、部活動で音楽開始

A3.

言葉を伝えたいと思う相手、ターゲットを絞ること

A4.

スピッツ「僕の天使マリ」
理由:部活を始めた時に最初にコピーしたのがスピッツでそれからずっと好きで、特に好きなのは「僕の天使マリ」という曲です。

A5.

新宿紅布でからくりごっこというバンドの企画に出演したときは震えました。自分は神なんじゃないかと思いました。

A6.

料理です。

A7.

記憶にずっと残ってもらえるようにもがき苦しむ日々です。

A8.

最終兵器です。そろそろ使って!

si,irene

〈L→R〉
中澤星児(Gt.)
今井貴雅(Dr.)
木下瑛博(Vo. Gt.)
木内正輝(Ba.)

文=對馬拓

Vol.2のトリを飾るのは4人組ロック・バンド、si,irene(シーアイリーン)。ノイズ・ロック・バンド、死んだ僕の彼女のギタリストとしても活動する木下瑛博(Vo. Gt.)が中心となり、2015年に海外でのライブを視野に始動した。

ギター・ロック・マナーに沿った強靭なアンサンブルを鳴らす彼らだが、木下以外のメンバーもそれぞれ他のバンドに所属しており、リード・ギターの中澤星児はフリサトのメンバー、ドラムの今井貴雅はsjueやcruyff in the bedroom(サポート)そしてベースの木内正輝はHour Musikと、まさに経験とキャリアに裏打ちされた精鋭の集団なのだ。

musitTVでは、未音源化の2曲「100027」と「f/c」を披露。全編ラジオ・ヴォイスで歌う木下のクールなヴォーカルと、海外のインディー・ロックと呼応し、時にパンク・スピリッツをも感じさせるパフォーマンスを目の当たりにすれば、台湾、マレーシア、イギリスと世界各地で公演を行った実績にも納得するはずだ。彼らの貴重なライブを迫力の映像と共に体感していただきたい。

【質問への回答】

A1.

・神奈川県(木下)

・大阪府(中澤、今井)

・東京都(木内)

A2.

・小学校で仲良しだった同級生がギターを始めるとのことで一緒に自分も始めることにした。バンドが好きになったキッカケは、多分『バンドやろうぜ』という雑誌。だらだらと音楽聴いてギター弾いたりバンドやったりしつつ、音楽活動と呼べるような形になったのは、大学を卒業する頃、石川君が立ち上げた死んだ僕の彼女に混ぜてもらったこと。(木下)

・大学の軽音楽部1回生の夏合宿で、先輩が決めたバンドのメンバーと3日でオリジナル曲を作って発表するという企画があって、曲作るのも初めてだし、「絶対無理!」とか言いながらリハに入ってたら、奇跡的に名曲ができた。で、発表会で全バンドスベる中、僕たちのバンドだけ見てた同回生が拳突き上げるくらい盛り上がった。それでオリジナル曲を作るのが楽しくなった。(中澤)

・家に母のアコースティックギターがあったのでそれを弾いてた。(今井)

・バイト先の人に誘われて。(木内)

A3.

まだ分からないし、もしかしたら永遠に分からないのかも。ゆえに、バンドは、続けられる限り続けたいと思っているような気はしています。(木下)

A4.

Wire「The 15th」(木下)
理由:自分にとって完璧で完成系。si,ireneというバンド名は、14という数字に由来がある名前だけど、たまたま曲のタイトルがその1つ大きい数というのが勝手に感慨深い。Wireからは、自分が理想としているような気がする「自由」を感じられる気がしている。

窪田晴男(中澤)
理由:以前ローディーをやってて、初めてプロのレコーディングの現場を見たギタリストだから。好きな曲はElohim「撮って撮って撮りまくれ」だけど、いくらなんでもアングラすぎるので、パール兄弟「君に崩えホえ」で。

Red Hot Chili Peppersのチャド・スミス(今井)
理由:ドラムを始めた頃こんなに楽しそうに演奏する人みたいになりたいと。

My Bloody Valentine(木内)
理由:たくさんありすぎて難しいけど、やはりMy Bloody Valentine。サイケの狂気とポップさが同居する世界観と、曲のコード展開や計算し尽くされたドラム・パターンの作り込みが凄まじい。曲は「You Made Me Realise」と「Soon」。

A5.

si,ireneは、海外でライブやってみたい(活動したい、ではない)と思って始めた活動でもあるので、海外でできたライブはどれも思い出深い。台北(台湾)のAPA mini、Revolver、Continue Music Studio。マレーシアのThe Bee、Live Fact。イギリス・ブライトンのConcorde 2、ロンドンのThe Waiting Room。一つ選ぶとしたら、ブライトンかなぁ。(木下)

・2019年8月13日ロンドン、The Waiting Room。2019年にブライトンで開催されたフェスに出演。ライブが終わった直後、歓声が巻き起こって、バンド人生で1番と言えるくらい最高のライブだった。あまりに上手くいきすぎて、「マンガだったらこの後のライブこけるパターンだよねw」とか言ってたら、数日後のロンドン公演がマジでヤバイことに。箱鳴りのクワンクワンした音で何も聞こえない。客がどんどん帰っていく。そのステージでの僕をマンガにしたら目はぐるぐるの渦巻になるに違いない。完全にロンドンにぶっ叩かれた。結果として、バンド・アンサンブルを考えるキッカケにもなり、ブライトンとは別の意味で忘れられないライブとなった。(中澤)

・サポートでドラムをやってる時、曲中ベースの音小さくなってくと思ってベースの方見てたらなんかトラブってるみたいで、完全にベースの音が消えてしまうも曲を続けてたらベースアンプから煙出てきて燃えた。ライブはやりきって、メンバーとスタッフはヒヤヒヤしただろうけど観てる人は大盛り上がりしてました。(今井)

・オリジナルじゃないので反則だけど、The Stone Rosesのコピーバンドでそれ系のイベントで演奏した際、お客さんは全員The Stone Rosesが大好きという約束された状況で、全曲お客さんも大合唱という凄まじい一体感のライブを体験したこと。(木内)

A6.

・予定は組まず、空いた時間にふらっと行く映画館もしくは美術館。あと音楽だけど、カセットテープ。これはちょっと語りたい。(木下)

・サウナ。週一でスーパー銭湯に行って1日過ごすのが癒し。(中澤)

・一人飲み(今井)

・聖地巡礼ツーリング(木内)

A7.

当初設定していた、海外でライブをやる、という目標は達成したけど、メンバーが続けたいと思ってくれる限りライブやったりレコーディングしたり、続けたいと思う。si,ireneの音楽が好き、聴きたい、と思ってくれる人を増やす活動は、どこまでそれを自分たちがやりたいか、やるべきか、は、ずっと確信がないけど、色んなことに真摯に、適当(ちょうど良い、という、本来の意味)に、向き合っていきたいと思っています。(木下)

A8.

自分含め、メンバー全員、si,irene以外の活動をしているので、どちらかというとそっちを知っていてsi,ireneを知らない、という人の方が多いかもとは思っているのですが、せっかくなので(自分が好きなバンドに対してそうしているように)si,ireneやメンバーがやっている別の活動を掘り下げてチェックしてもらえたら嬉しいなと思っています。現在進行形のものも、そうでないものも。

木下:死んだ僕の彼女、ブログ & Spotifyプレイリスト
中澤:ソレカラ、フリサト
今井:sjue、NEIGHBOURHOOD、cruyff in the bedroo、フリサト
木内:Hour Musik

あと、シーンと呼べるほどの規模じゃないけど、僕らにとって身近なところにも本当に格好良いバンドがいます。そういう人たちの存在も、発散力はゼロに等しいけど、是非伝えていけたらいいなと思っています。(木下)

musitTV Vol.2

musit編集部