初心者のためのシューゲイズ講座 【Ride 前編】

初心者のためのシューゲイズ講座 【Ride 前編】

こんにちは。三度の飯より靴を見る、おすしたべいこです。

シューゲイザーの魅力をお伝えする不定期連載、「初心者のためのシューゲイズ講座」でございます。

前回まで、2回に渡ってMy Bloody Valentineについて書き連ねてきました。
今回はRideの魅力に迫っていきます。再び前後編です。

※そろそろご存じの方はお気づきかと思われますが、この連載は所謂「シューゲイザー御三家」のバンドを軸に紹介するものとなっています。その御三家というのは、My Bloody Valentine、Ride、そしてSlowdiveを指します。後世に与えた影響力やサウンド、ポジションなどを考えると、この三バンドを大きな柱とすることがやはり重要かと思い、こうして筆をとっています。Slowdiveについては、また別の回で。

 

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どこまでも青く響き渡る『Nowhere』(1990)の美意識

『Nowhere』ジャケット

1988年、オックスフォード出身のマーク・ガードナー(Vo. G.)とアンディ・ベル(Vo. G.)が、アートスクール時代に出会ったローレンス・コルバート(Dr.)と、当時レコード店で働いていたスティーヴ・ケラルト(Dr.)と出会い結成されたRide。轟音ツイン・ギターと疾走感、そして美しいハーモニーを武器に登場した彼らは、その端正なルックスも相まって、デビュー当時から注目されました。そんな彼らが満を持してリリースしたのが、1stアルバムとなる『Nowhere』です。

この作品は、ジャケットの「青い海」が全てを物語っていると言ってもいいかもしれません。ノイジーなギターは波のように揺らめきながら、若さゆえの焦燥感や叙情性をどこまでも青く深く描き出し、時に強烈な轟音で爆発させます。アンディとマークのハーモニーにはさらに磨きがかかり、まるで海の上を吹いている潮風に乗ってこちらに届くかのよう。初期衝動に忠実でありながらも、作品全体の美しさは非凡なものであり、高い芸術性を誇るアルバムです。

胸が苦しくなるほど過度なメランコリーを誘う”Vapour Trail”。
アンビエントなMVの映像の切なさたるや。夢を見ているような錯覚に陥ります。

本アルバムの代表曲の一つ、”Dreams Burn Down”。
2015年のKEXPのライブ映像ですが、成熟した彼らの演奏を隅々まで楽しむことができます。マークのトレモロ・アーム奏法やローレンスの豪快なドラムは特に注目するべきポイントです。

 

普遍性と実験性を巧みに融合させた『Going Blank Again』(1992)

『Going Blank Again』ジャケット

2ndアルバムとなる本作では、早くもシューゲイザー的なサウンドは鳴りを潜め始めました。とは言え、全体的にポップでありながら力強く、これまでの彼らに比べてより普遍的ではっきりとした音像と、冒頭の印象的なシンセの音やストリングスの導入といった実験的な要素が、見事に結実しています。「きゅうりパック」のようなアートワークも絶妙な味を出しており、シューゲイザー・ファンのみならず、あらゆるロック・ファンに聴かれるべき作品ではないでしょうか。

シューゲイズを極めたアルバムが『Nowhere』だとしたら、『Going Blank Again』は彼らの創造性が存分に発揮された一枚だと言えるでしょう。

なお、この頃から音楽的価値観の違いから、アンディとマークの確執が表面化し始めます。

冒頭を飾る”Leave Them All Behind”。
この1992年のライブはその映像編集も手伝って、当時の熱気をよく伝える名演。プログレ的な曲展開もポイントですが、アウトロの強力なリズム隊とツイン・ギターが渾然一体となる様は圧巻です。

 

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さて、その後Rideは『Carnival Of Light』(1994) 『Tarantula』(1996)と二枚のアルバムをリリースしますが、両者ともにシューゲイザーの面影は皆無であり、当時隆盛を極めていたブリット・ポップに接近、初期のファンは離れていきました(とは言え、メロディの良さなど彼らの強みが受け継がれた良作なのですが)。バンド内の軋轢も生じ、特にアンディとマークの確執は修復不可能なものとなりました。こうして彼らは1996年に解散することとなったのです。

しかし…! 2014年に再結成のアナウンスがなされ、2017年に21年ぶりとなるアルバムをリリースし、完全復活を遂げました。次回の後編では、そんな再結成後の作品に迫っていきます。

おすしたべいこ