初心者のためのシューゲイズ講座 【Ride 後編】

初心者のためのシューゲイズ講座 【Ride 後編】

こんにちは。三度の飯より靴を見る、おすしたべいこです。

少し間が空きましたが、今回はRideの後編をお届けします。

前回の記事の最後でも触れましたが、Rideは音楽的価値観の相違やバンド内の軋轢などにより1996年に解散。その後は、メンバーそれぞれバンドを結成したりソロ活動を行うなどしていました(アンディ・ベルのOasis加入やBeady Eye結成などはご存じの方も多いのでは)。そうした中で、長い年月をかけて徐々に再結成への機運が高まっていきました。

そして、2014年。ついに再結成のアナウンスがなされ、2017年に待望の新作を発表することになりました。

 

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完全復活を遂げた『Weather Diaries』(2017)

『Weather Diaries』ジャケット

再結成後初のアルバムとなった本作。全編に渡ってRideの代名詞でもあるアンディとマークのハーモニーが耳に流れ込んで来て思わず目頭が熱くなります。

『Going Blank Again』期の延長線上にあるようなポップなサウンドがまず耳に残りますが、まるで大気中を風に乗って漂うかのようなシューゲイズ・サウンドが印象的な”Weather Diaries”や、静と動のコントラストが印象的な”Rocket Silver Symphony”など、特に中盤の展開は圧巻の一言です。終盤の内省的な空気感から醸し出される美意識も、長いキャリアに裏打ちされたものでしょう。

バンドとしてのブランクを全く感じさせないどころか、むしろそのスケール感はキャリア随一と言っても過言ではありません。こうしてRideは文字通り「完全復活」を遂げたのです。

実に20年ぶりの新曲として、アルバムに先駆けて公開された”Charm Assault”。
MVは政治色が強いですが、サウンド自体は往年の「Rideらしさ」が感じられます。”Vapour Trail”のMVを彷彿とさせる映像エフェクトも憎い。

アルバムの中でもポップなシューゲイズ・サウンドを聴かせる”Cali”。
タイトルはCaliforniaの略で、MVの通りサーフィン・ソングとなっています。ちなみにこちらも「Vapour Trail エフェクト」がかけられていますね。原点忘れるべからず、か。

 

バンドとしての充実感が溢れる『This Is Not A Safe Place』(2019)

『This Is Not A Safe Place』ジャケット

2019年にリリースされた本作は、まず冒頭からセルフ・タイトルとも言える”R.I.D.E.”で幕を開けますが、これがインスト曲というところに彼らの新たな気概が感じられます。全体的にも、基本は前作のスタイルを踏襲しつつ、そのサウンドはさらに磨きがかかった印象です。

そして特筆すべきは、やはりジャケットでしょうか。これを見て、1stアルバム『Nowhere』を思い出さずにはいられません。海へ手を伸ばす様子と、『This Is Not A Safe Place』という意味深なタイトル…。これが示すところは、かつての自分たちがいた場所に決して安住することなく、この先もバンドとして旅を続けていく「宣言」のようなものなのだろうと、個人的には受け取っています。

何より、再結成後もコンスタントに新作を聴けるということ自体、まず嬉しい限りです。それに加え、こうして彼らのクリエイティビティが再び爆発している事実も称賛するべきです。現在のRideがバンドとして充実していることがうかがえます。

グッド・メロディが印象的な”Future Love”。
このほとばしる切なさこそがRideだ!と声を大にして言いたい。

ニューウェイヴ・テクノとシューゲイザーが融合したかのような新機軸の”Repetition”。
壊れる洗濯機がフィーチャーされたサイケデリックな映像が鮮烈です。

 

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Rideは90年代のシューゲイザー・シーンを代表する存在ですが、再結成後の2作によって、見事に現行バンドとしてシーンに舞い戻りました。それと同時に、彼らは成熟してもなお変わらず「青い」ままだということも示しました。キャリアを重ねてもそのエヴァーグリーンなサウンドと空気感が色あせないのは、日本で言うところのスピッツと重なる部分があるかもしれません。何はともあれ、今後も楽しみで仕方がありません。

さて、今回でRide編は終わりです。次回からはSlowdive編をお届けします。それではまた!

おすしたべいこ