飲むエフェクター!? Y.Market Brewingのエフェクターシリーズを飲んでみた
名古屋のクラフトビールブルワリー、Y.Market Brewingから「effector Series」の新作2種が発売されました。

- Over Drive Pale Ale
- Over Drive IPA
色々なクラフトビールのパッケージを見慣れた私ですが、これには思わず目を疑いました。
これ、まんまBOSSのコンパクトエフェクターじゃん。
Y.Market Brewingの「effector Series」とは?
ブルワリーサイトによる「effector Series」の説明はこのようになっています。
‘‘effector Series:エフェクターは、主にギターやベースの音に様々な効果を与える機器で、エフェクターシリーズは、そのエフェクト(効果)1つにフォーカスしてビールで表現するというテーマで醸造したもの。〈中略〉 本シリーズは、音楽のアプローチからもビールの楽しさをもっと伝えたいと思い、音楽やエフェクターにかかわりの深いビール飲み2名に協力してもらいスタートしたシリーズ。’’
--https://craftbeer.nagoya/our-beer/beer_red/tremolo-ipa/より抜粋
様々な品種のホップフレーバーやモルトの配合などによって、色々なエフェクターの効果をイメージしたテイストのビールを造る、といったコンセプトのようです。それにより、これまで「Tremolo IPA」「Deley IPA」「Distortion IPA(及びDouble Version)」などのビールが製造されてきました。
しかし今までのeffector Seriesは、ネーミングだけでパッケージデザインは特にエフェクターらしくなかったですが、この度発売された第5弾「Over Drive IPA」「Over Drive Pale Ale」からはパッケージビジュアルを一新。一気にエフェクター感が増しました。
バンドマンや音楽好きなら、俄然気になるところ。せっかくなので飲んでレビューしたいと思います。
IPAやペールエールなど、ビアスタイルや用語については以下の記事を参考にしてください。
音楽ファンのためのクラフトビール入門
https://musit.net/music/topics/4078/
Over Drive IPA

まず初めに、オーバードライブとはどんなエフェクター? という方へ説明をすると、
‘‘電子楽器から過大な出力電圧が加えられるかアンプ回路内部で過大増幅に陥った際に、回路性能の限界で飽和し出力音が歪んでしまう状態’’--Wikipediaより抜粋
ざっくり言うと、このエフェクターを使って音を歪ませることによって、荒々しさや力強さを演出できるのです。今回パッケージデザインのオマージュ元となったブランド・BOSSであれば、より荒々しいサウンドを出せるディストーションと並んで非常に人気の高い歪み系のエフェクターです。
それでは、以上のことを踏まえて飲んでみます。
- ややオレンジがかった濃いイエローカラー。
- 香りはトロピカルフルーツ主体にシトラスも混ざっている。
- ホップ由来の八朔のような柑橘を思わせるジューシーさに、若草のような青々しい苦み。
- まろやかなモルトの甘みとコク、中程度のボディ感。
- ビリビリとした苦みを残しつつ、すっきりとクリーンなアフターテイスト。
イントロからガツッと始まるロックンロールさながらに「まず1杯!」で飲みたい、パンチの効いたホップフレーバーが味わえるIPA。しかも重すぎず上品さもあるので、飲み疲れしない絶妙のバランス感に仕上げられてます。
先に発売された同じく歪み系の「Distortion IPA」は「あえて雑味を持たせた」とブルワリーサイトで説明されていますが、IPAらしいしっかりした苦みは出しながらも、クリーンな後味(透明感)がオーバードライブの解釈なんだと思います。
Over Drive Pale Ale

- 明るいイエローカラー。
- 柑橘系ポップ主体にトロピカルなアロマ。
- モルト感はクリスピーで軽め、優しい甘みあり。
- IPAと同様にアフターテイストは比較的スッキリ、ビリビリとした苦みが舌に残る。
エフェクターで例えるなら、カッティングで使うようなライトな歪みのセッティングやジャキジャキとしたサウンド。やはり後味の透明感とビリビリくる苦みが、Y.Marketの考えるオーバードライブ感ということなのでしょう。こちらは肉や揚げ物、塩気の強い料理を食べながら飲むのに最適な、バッキングギターのように料理を引き立てるビールに仕上がっています。
もし酒屋で見かけたなら、是非IPAとペールエールの両方を買って飲み比べをしてほしいところ。
ギタリスト/ベーシストの皆さんへ
これを読んだあなたが健全なバンドマンならば、ライブ中にお酒を飲みすぎてメンバーからステージ上での禁酒令を出されたことなんて1度や2度ではないはず。
飲みたい。でもメンバーの目が怖い。そんな時でもこのビールがあれば大丈夫!

試しにエフェクターボードに置いてみました。
あら不思議! 全く違和感なくステージドリンクとして持ち込めます。
もし見つかってバンド内の信頼関係がギクシャクしても、私は保証しませんけどね。
仲川ドイツ
