4月9日、ユレルランドスケープの現体制1周年記念ワンマンライブ『MASTER PLAN』が開催された。本公演のタイトルは今なお世界中で愛されるUKロック・バンド、oasisの裏ベスト・アルバム『The Masterplan』をなぞらえているという。以前<a href="https://musit.net/interview/22799" target="_blank" rel="noopener">インタビュー</a>で「ここから色々なものを覆していく革命宣言のようなライブにしたい」と語っていたユレルラだが、実際に公演が終わった今改めて振り返ってみて、その伏線を一挙に回収するライブになったと思う。
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2023.4.9
ユレルランドスケープ現体制1周年記念ONEMANLIVE 「MASTER PLAN」 
ご来場ありがとうございました！<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%A6%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ユレルランドスケープ</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%A6%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%A9?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ユレルラ</a> <a href="https://t.co/vG8En6xR3E">pic.twitter.com/vG8En6xR3E</a>
— ユレルランドスケープ (@yurerula) <a href="https://twitter.com/yurerula/status/1645053532981301256?ref_src=twsrc%5Etfw">April 9, 2023</a></blockquote>
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会場はユレルラのメンバーにとって、前体制の活動を終了した思い出の地である代官山UNIT。一般的に、アーティストの1周年ワンマンといえばこれまでの成果の集大成とファンへの感謝が込められたプログラムになることは想像に難くない。しかし、今回のユレルラの1周年記念ワンマンライブはあくまで「現体制」のものであり、だからこそメンバーが背負ってきたプレッシャーや乗り越えたい壁、そしてこの公演に馳せる想いの大きさも並ではないことが伝わってきた。培ってきたものをただ見せるのではなく、「証明したい」。そんな強い想いが、4人のステージをさらに高みへと導いたのだと感じた。 
 
春の日差しに誘われて、当日は心地良いライブ日和に。本公演は3部構成となっていて、ワンマンライブ当日に2枚同時リリースされたCD『PLAN-A』『PLAN-B』、そして本公演のタイトル『MASTER PLAN』に即して三つのステージが展開された。
観客がスタンディングで開演を待ち詫びる中、壮大なインストゥルメンタルのSEと共に小野町子、空蝉さな、雅春奈、麦ゆきが順番にステージへ。1曲目「日常茶飯事」の冒頭、「現体制1周年記念ワンマンライブ、最高の思い出を作っていきましょう！」と意気込みを露わにした雅の一言が会場の熱を一気に高める。続いて4人は「トワイライト」「mellow」「上海ガールズ」を次々に熱唱し、ライブ序盤から会場のボルテージは最高潮に。原点回帰とも言える人気ナンバーを情緒豊かに歌い上げ、ユレルラの世界観を象るメランコリックな空気が場内に漂う。第1部の後半に差し掛かると、ギター・サウンドを主体に構築された長尺のイントロが夏を思わせる「201」、メロウかつ上品ながらも、思わず頭や体を揺らしたくなるノリの良さが特徴的な「憂鬱な街の奇跡」、センチメンタルな夜への祈りを歌った「ミッドナイトシティ」と楽曲に込められたそれぞれの「エモーショナル」を豊かな表現力で魅せていった。
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4人はその勢いを緩めることなく、「鳴らしてシンパシー」を皮切りにオーディエンスを『PLAN-B』の世界へと誘う。続く「the Blues」では小野の「ユレルラの歴史の中で一番大きいクラップを聞かせてください」という言葉でフロアが一つに。その後もユレルラの代名詞とも言える楽曲「リーガルハイ」、力強いダンス・パフォーマンスとヴォーカルから確かな実力が垣間見える「センセーショナルNo.」など、鮮やかなステージングでオーディエンスを魅了する。後半はそれまでの興奮を優しくクールダウンさせるようなナンバーに移りながらも、終始一瞬の隙も見せない熱気が会場を包む。また、今回のワンマンでは、1年という長い時間をかけて積み重ねてきたユレルラの表現の振り幅を感じさせられるシーンも。翳りを帯びたスローチューン「Second me」をメロディアスに歌唱したかと思えば、「Still Alone」の芯のある歌声で会場全体に感情の波をうねらせる。インタビューの中で、「人間らしさを体現したライブができるところがユレルラの強み」と空蝉が語っていたが、まさにその言葉をなぞらえるかのような圧巻のパフォーマンス。そのまま「つがい」「センチメント」を経て第3部への確かな道を作り、ダンスフロアに華やかな余韻を残した。
「The regoto」のイントロに重ね、小野が「『PLAN-A』『PLAN-B』ありがとうございました。『MASTER PLAN』始めます」と声を上げ、第3部に雪崩れこむ。大勢の観客たちと揺れる心と身体で、互いの想いを重ね合わせるメンバーたち。麦の力強いラップ・パートと美しいコーラスワークのコントラストが印象的な「深海のパレード」、伸びやかな歌声が響き渡る「さよなら、春」など、テクニカルなステージングを展開した。
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淡いライトを背景に「追いかけては遠ざかっていく、振り向いてくれることもなく、それでも走り続けた先に、見える景色があると思います。今日この時間のことを忘れないでください」と力強いメッセージを強調した空蝉。苦渋の決断で活動休止を選んだ空蝉・小野、そして「新体制」として立ちはだかる壁に悩んできた麦・雅にとって、この日の代官山UNITの景色が果てしなく大きな意味合いを持つことは言うまでもない。
終盤では「夏を探して」「生きている」といったドラマチックな魅力溢れる楽曲を情緒たっぷりに披露。暖かな拍手に包まれた会場のスクリーンには夕暮れを背に浮かび上がるメンバーのシルエットが映し出され、映画のエンドロールが流れる如く、会場の空気もフィナーレへ。
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最後に4人は「2022年4月9日。この4人が集まって、またユレルランドスケープを続けることができました。2022年12月18日。もがき続けた日々を超えて、ようやく本当のスタートを切れたワンマンライブでした。しかし、そう簡単にはうまくいかず、私たちに残された時間は刻一刻と迫ってきて、憔悴する日々もありました。2023年4月9日。それでも光の中にいたくて、私たちは走り続けます」と楽曲「光の中」へと重ねてこれまでの活動への思いを力強く語った。ファンへからの愛に渾身の歌声で答えた「現体制ユレルランドスケープ」は、約2時間の長尺のステージをこなした直後であることを感じさせない丁寧な佇まいでファンに感謝を述べ、1周年記念ワンマンライブに幕を下ろした。　
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2023.4.9
「MASTER PLAN」thanks<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%A6%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ユレルランドスケープ</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%A6%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%A9?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ユレルラ</a> <a href="https://t.co/RCEFeRGUxd">pic.twitter.com/RCEFeRGUxd</a>
— ユレルランドスケープ (@yurerula) <a href="https://twitter.com/yurerula/status/1646177229674795008?ref_src=twsrc%5Etfw">April 12, 2023</a></blockquote>
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＊　＊　＊
どんなアーティストにも「伝説」や「転換期」と呼ばれるようなライブがある。アーティストのキャリアを一つの作品として見た時に、「神回」と呼ばれるようなライブだ。
現体制のユレルランドスケープが思い出の地である代官山UNITで見せてくれたステージは、彼女たちのこれまでの歴史に爪痕を残す熱く激しい景色だった。さらに今回の公演は、苦しみ、悲しみ、嫉妬……様々な人間らしさの中でもネガティヴな感情を大切にしてきたユレルラだからこそ成し遂げたリベンジを見届けた時間でもあった。苦難にぶつかった時、「失敗したから」「うまくいかなかったから」と言ってやめてしまうことは簡単かもしれない。それでも、進む道が正しさを帯びるまでがむしゃらに前に進む強さをユレルランドスケープは教えてくれた。同じ4月9日に、同じ舞台で彼女たちがが手にした挫折と成功。その二つが背中合わせになって生み出されたあのステージこそが、現体制のユレルランドスケープが本当の意味で完成するために必要な最後の1ピースだったように思う。『MASTER PLAN』という港から旅立った、現体制ユレルランドスケープの新しい門出を心から祝福したい。
 
・写真提供＝最南端トラックス

ポストパンクを主に聴いています。毎年苗場で音楽と共に焼死。クラフトビール好きが興じてブルワリー取材を行うこともしばしば。なんでもご用命ください。

星野

ユレルランドスケープが体現した「進み続ける」ことの意味──現体制1周年記念ワンマンライブ『MASTER PLAN』

ライブアイドルを観て聴いて推す。余暇はもっぱら映画鑑賞。文章を書いたり編集をしたりしながら、今日も推しアイドルのことを考えています。

すなくじら

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ユレルランドスケープが体現した「進み続ける」ことの意味──現体制1周年記念ワンマンライブ『MASTER PLAN』

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