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【演者の皆さんはご注意!】2022年、深刻なワイヤレス問題に翻弄される

ByOt3

最近はマイク/ギター/ベース/ショルダー・キーボードなどに使えるワイヤレス機器が安価で販売されるようになり、演者の皆さんにとってはかなり手を伸ばしやすくなったのではないでしょうか? 一昔前だと、安い物でも10万円くらいしましたからね…。

ネットで中古のワイヤレス機器を購入する際、技適マーク(総務省が定める、技術基準適合証明と技術基準適合認定のどちらか、あるいは両方の認証がなされている機器に付けられるマーク)がないのはもちろん論外。

技適マーク

総務省が定める技適マーク

しかし、そのほかに気を付けていただきたいのが「2022年のワイヤレス問題」です。

2005年、電波法関連法令の無線設備規制において、無線設備のスプリアス発射(必要周波数帯以外に発射される不要な電波)強度の許容値が改正されました。

不必要な電波(不要電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るため、WRC(世界無線通信会議)において、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則(RR)の改正が行われました。

国内においては、無線通信規則(RR)の改正を踏まえ、情報通信審議会における技術的条件の審議及び電波監理審議会における関係省令の改正案の審議を経て、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準等の関係省令及び関係告示が改正され、平成17年12月1日から新たな許容値が適用されています。(経過措置として、平成34年11月30日まで旧許容値の適用が可能となっています。)

これらの背景により、旧スプリアス規格(不明なものも含みます。以下同じ。)の無線設備については、その使用期限が平成34年11月30日までとなっています。

(総務省HPより引用:https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/spurious/kaisei/)

ものすごく簡単に言うと「旧規格帯のワイヤレス機器が平成34年=2022年12月1日から使えなくなる」ということです。

主に楽器などで使用されているワイヤレス機器の帯域について大雑把に説明すると、次の通りです。

①A型帯

唯一免許が必要な帯域なので、混信トラブルが許されない。大規模ライブやコンサート、テレビ局などの業務用に使われていましたが、2019年に4月1日に終了しました。
一時携帯キャリアが宣伝していた、いわゆる繋がりやすいプラチナバンドというやつですね。

②B型帯域

ワイヤレス業界で最もスタンダードな帯域。
通信距離も長く、免許も不要なので昔からよく使われていました。音質は太く、温かい印象です。

しかし、2022年以降は

  • (806~810MHz)←旧帯域?
  • (470-714MHz、1.2GHz帯)←新帯域??

となる可能性が高いため、前者の帯域を使用している場合は各メーカーHPで確認しましょう。
後者の帯域の場合は、新しい周波帯域でも使用可能のようです。

(執筆にあたり様々な文献を参考にしましたが、ハッキリしない部分が多いため、不安な方は何にせよ各メーカーにお問い合わせすることをおすすめします。)

③2.4GHz

比較的最近耳にするようになった周波数帯。
免許がいらず、B型帯の音がこもるなどの弱点を解消した帯域。メリットとしては、同じ仕様の製品の生産が世界中で可能なため、コストパフォーマンスが良く、海外でも使える点です。

反対にデメリットとしては、WiFiやBluetooth、PCなどと同じ周波数帯のため、干渉が起きる可能性が高い点、電波の回折性が低く、障害物があった場合は回り込みにくいため、音切れがしやすい点の2つ。

しかし各社の努力の甲斐あってなのか、筆者が「BOSS WL-50」を使用していて特に気になる問題が起こったことは今の所ありません。

③旧B型帯

現在は猶予期間中のため、2022年11月30日まで使用可能。
しかしそれ以降に使用すると電波法違反となり、罰則や罰金(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になります。※猶予期限を過ぎた場合、所持しているだけで電波法違反となる場合があるのでご注意ください。

電波を容易に出せない状態にするか、破棄することをおすすめします。

まとめ

「BOSS LINE6」などの2.4Ghz帯のものであれば、基本的には問題ありません。ですが、中古などで購入したB型帯のものには注意が必要です(A帯域は元々免許が必要なので、一般的にあまり流通してないので気にしなくても大丈夫です)。

2022年のワイヤレス問題、なかなか面倒なことになりそうですね。

それでは皆さま、良い音楽ライフを〜。

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Ot3

音楽とカメラが趣味の楽器業界の中の人。Steve VaiとPaul Gilbertに憧れてギターを始める。ギター、エフェクター、録音機材などの造詣が深い。機材系のレビューや紹介記事が多め。

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musit = The MUSIC you want is IT. 音楽にまつわる様々なコンテンツを通して、あなたに「新しい発見」を届けるWebマガジン。お問い合わせはDM or コンタクトページまで。

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