【金曜日の編集部】2021年12月3日

【金曜日の編集部】2021年12月3日

musit編集部による今週の振り返り。フライデー・ナイトに繰り広げる内省以上/酔いどれ未満。

PLAYBACK

編集部・星野より

今週木曜はmusitTVのリハーサルへ。ふつかよいのタカハッピー(高橋まりな)さんと初めてお会いしたんですが、想像通りの非常にチャーミングで気さくな方でした…! それにしても番組を作るって大変。専門用語も飛び交う中で何とか成功できるように頑張ります。

Spotifyの年間トップアーティストを見て1年を振り返る時期になりました。皆さんは今年どんな音楽と過ごしていましたか? musitでも年間ベスト記事を公開予定。どうぞお楽しみに。

WEEKLY COLUMN

Fのコードに憂う

◯文=みくりや佐代子

今週の「金曜日の編集部」、コラムはmusitライターのみくりや佐代子が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。

普段、音楽はもっぱら聴く専門な私ですが、実は鍵盤とギターを少々弾いていたことがありました。鍵盤は幼少から10年教室に通ったとは思えないほど低レベル、ギターに至っては単純なコードが弾ける程度です。
そのためプロフィールの「趣味・特技」欄に記載したこともありませんし、今後もないと言い切れます。

そのギター、なぜ弾くようになったかというと、ありがちですが昔の恋人(ザ・クロマニヨンズやイエモンのファン)が「こうやって弾くんだよ」と教えてくれたんですね。そしてこれもありがちですがFのコードでつまづき、その少しのハードルによってレッスンはより熱が入っていったのを覚えています。

そうしてコードを一通り弾けるようになった頃、恋も順当に終わりを迎えました。別れ際、その人は「お前のせいでイエモンが聴けなくなった。お前のせいでギターが弾けなくなった」と恨み節を口にしました。あの時私は彼になんと声をかければよかったのか。沈黙の中、正解を探すように宙を眺めていたのを思い出します……が、今なら分かります。

「知らんやん」と。「それはそれやん」と、そう言えばよかったのです。
「エモい」と評される音楽がありますが、現実は決してエモくはないのです。「現実は気まずいもの」が私の持論です。だからいつの時代も、「エモい音楽」がもてはやされる傍らでエモくも何ともない音楽を支持する人が一定数いるのです。

メッセージの込められていない音楽を耳にするとホッとします。薄情な自分が肯定されているような気がします。でもそれもきっと思い違いで、実際は薄情な私のことなんて知る由もないでしょうが……。
今も、部屋の片隅にあるミニギターでFのコードを鳴らす時、感傷に浸ることも感謝に震えることもなく、むしろ軽く憂います。あの日の「知らんやん」は言葉になるタイミングを失くして未だ彷徨っているのかもしれません。

音楽を愛するならば、音楽を信じ切るのをやめましょう。自分の代弁者などそう簡単には見つかりません。きっとmusit読者の皆さんも、さまざまなアーティストと出会っては救われたり救われなかったりするはずです。私もそうやって生きていきたいですし、たぶんもうすぐミニギターもメルカリで売ります。

musit編集部