【金曜日の編集部】2022年1月28日/その音楽を耳にする最後の日
musit編集部による今週の振り返り。フライデー・ナイトに繰り広げる内省以上/酔いどれ未満。
PLAYBACK
編集部・對馬より
近頃、電車内のトラブルとか立てこもりとか、やたら多くないですか? 決して穏やかではない事件が後を絶たず、ニュースを見ているとヒジョーに暗澹たる気持ちになります。もう安全な場所なんてこの世のどこにもねえ、地下に核シェルターでも掘ってポテチ頬張りながらネトフリ観てようぜ、などと終わった思考も芽生えます、が、そんな時は自分の中に棲むイマジナリー・フレンズを、こう……呼び出すんですよ。「起きて苛立ちだらけの夢から覚めよう」──そうか、これは悪い夢か何かで自分はうなされているだけなんだ、それじゃあ、シダの葉と木漏れ日の道を汗をかいて息を切らし走ってどこかへ行こうぜ、となる訳です。
今週は1月25日でGalileo Galileiの『PORTAL』がリリース10周年を迎えた、ということで、当日にレビューを公開しました。筆の向くまま、気持ちの赴くまま書き進めたので若干乱文気味というか、おそらくもっと時間をかければ内容的に洗練されたものにできたと思うのですが、ちょうどリリース日を迎えたタイミングで、その時に考えていたことを率直に綴ったこと自体に意義がある、と自分に言い聞かせています。
ただ、お前がそれを言うのかよって感じですが、僕らはちょっと「周年」に縛られすぎている気もしませんか? 10年とか、20年とか、あるいは15年とか、区切りの良い年に記念したくなる気持ちは当然あるんですけど、12周年だって、28周年だって良くて、それで何かが変わるわけでもないだろう、とも思うんですよね。名盤はいつだって名盤だし、どんなタイミングで祝っても良いはずで──いや、さすがに多重人格を疑うレベルの自己矛盾が発生しているので黙ります。
WEEKLY COLUMN
その音楽を耳にする最後の日
◯文=すなくじら
こんにちは! ライターのすなくじらです。
クリスマス、お正月と2021年を駆け抜けたと思ったら、もう2022年も1ヶ月が過ぎていて時の流れの速さに恐れ慄いています。「1月は行く」「2月は逃げる」「3月は去る」、納得ですね……。
私のここ1ヶ月はというと、個人的な事情ではありますが大好きなアイドルグループの解散が決まり、なんとなく鬱々とした日々を過ごしていました。推しの詳細はmusitで年末に出したZINE『(W)AVE』のコラムで……!笑 とまあ、個人的なマイナス感情は置いておいて、全ての音楽に通じるものとして推しアイドルがいなくなるという現実を目の当たりにして感じたことがあります。
それは「大好きなアーティストの生の声を聞く最後の日までのカウントダウンは既に始まっている」ということです。少し考えれば当たり前の話ではありますが、どんなに好きなバンドでもソロ・アーティストでも、いつか必ずさよならをする時が来ます。もちろん、CDやサブスクの中で生き続けるという意味では永久に私たちの心の中に存在するとも考えられますが、ライブの、その時一瞬に刻まれる魂の震えには特別なものがあると私は思っています。
このご時世で、まだ以前のような熱気あるライブ空間を完全に取り戻すことは難しいですし、なかなか大声で「ライブハウスに足を運ぶ」とも言いづらい世の中ではありますが、やはりお別れがある以上、目に焼き付けられるタイミングで好きなものとはきちんと対峙しておくことが大事なのだと改めて思いました。もう推せなくなってしまうアイドルを胸に生きるこれからを思うと悲しい気持ちもありますが、音楽とは本来ナマモノであり、アーティストとの出会いと別れも含めてそれが本来の形なんだと思います。悲しいことがあった時、嬉しいことがあった時に自分の心に響く曲が違うように、アーティストとの出会いと別れの形も人それぞれです。ただ別れに関して言えば、一度自分の人生に深く携わった以上「好きな音楽やアーティストとの向き合い方には後悔がないように」という気持ちだけでも持ち続けることこそが、わたしの今のご時世へのささやかな抵抗です。
とはいえ卒業ライブまで、現役ヲタクとして全力で楽しんでいくつもりです! 今年はmusitでさらに積極的にアイドル記事の発信ができればと思っています。バンドやシンガーソングライター、ボカロP……今やアイドルだけでなくさまざまな形の音楽が世に溢れていますが、自分を本当の意味で救ってくれた特別な存在との向き合い方を、是非一度見つめ直す機会があっても良いのかもしれません。
musit編集部




