【金曜日の編集部】2022年7月1日/守られ続けるためには
musit編集部による1週間の振り返りと、所属ライターが週代わりでお送りするウィークリー・コラム。
・痛みがいつか癒やされる日を夢見て──Foals『Life Is Yours』
・【エッセイ】「曖昧に生きる」を許されたい──TOMOVSKY「明日、君に会うのか」
編集部・翳目より
暑い!!!!!!!!!!
大量虐殺かと見紛うほどの苦しい暑さが続いていますね。二言目どころか一言目にすら喉を突いて文句垂れるのが悔しい。私は屋内と屋外の寒暖差で既に胃をやられています。日光アレルギーも相俟って、毎年夏は試練の季節…。
昨日はmusitの運営母体であるラスファクトリーがプロデュースを行っているアイドルグループ、ロング・グッドバイのワンマン撮影のため、スタッフ陣と共に月見ル君想フへ。生まれて初めてのPASSにちょっと感動しました。内部の人間っぽい…(!?)
フジロックも今日ついにタイムテーブルが発表され、期待に胸が膨らむばかりです。ここまで来たらもう振り切って夏を受け入れるしかない!
WEEKLY COLUMN
守られ続けるためには
◯文=みくりや佐代子
「まことに勝手ながら本日付けで退職いたします」
私の職場では部署ごとに共通のメールアカウントがあり、メールの内容は全てチームメンバーに共有されています。だから私が見つけたそのメッセージは、送信済みボックスにありながら過去に私が打ったものではなく、しかも署名欄にある名前も見覚えのないものでした。
「まことに勝手ながら」と唇だけ動かしてみます。全く馴染みがありません。こんなこと、言ったこともなければ思ったこともないよなあ。自分の傲慢さに軽く引きました。それほど私にとって「勝手であること」はデフォルトでした。
まことに勝手ながら退職したその人は今どうしているのだろう?
ぼんやりと考えながら最下部に置かれた名前を見つめました。
守られて生きるためには、負け続けなければいけないのだと思います。
勝てば勝つほど人は守られません。「あいつ、あんなに偉そうに生きてるよ。とんでもない神経してるな」なんて冷めた目にさらされながら、無防備なまま放たれていくのです。
ところがどうでしょう。私はあなたに負けています、私はしょうもない人間です、そしてその自らのしょうもなさを理解しています、というスタンスでいれば、人は必ず守られます。そんなこと言わないで。あなたは悪くない。そう言ってもらえます。
守られるために負け続けること。謙虚でも奥ゆかしさでもなく生きる術なのだと思います。この他者評価にまみれた乱暴な世界で生きるための。
私はそのことが非常に悔しく、やるせなくて、たまらない気持ちでした。
だから古いそのメールに返信をつける形で立ち上げ、「まことに勝手ながら」とその先を消して「やめるね!今日までありがとう!」と書き換えました。試しに「やめるね!」だけ小声で読んでみると、隣のデスクの人が一瞬こちらに目をやりました。ちょっと面白くなったので続きも読むと、イヤホンを取って「ん?」と聴くので、「すみません、うるさくしちゃいました?」ととびきりの負け顔で手のひらを合わせました。
musit編集部




