【金曜日の編集部】2022年7月15日/いつか終わりを迎えるその日まで

【金曜日の編集部】2022年7月15日/いつか終わりを迎えるその日まで

musit編集部による1週間の振り返りと、所属ライターが週代わりでお送りするウィークリー・コラム。

編集部・翳目より

先週末、とある現場でフジロックのYouTubeラウンジに作品を展示した経歴を持つ「平尾盆栽」こと平尾成志氏に遭遇しました。いや、最初は彼が何者であるのかなんて気にも留めずただ流暢な関西弁で話す気前の良いおっちゃん…程度にしか思っていなかったのですが(超失礼)、「仕事何しとん?」「音楽メディアで編集を…」と話が進み、季節柄国内フェスの話になり彼の正体が発覚。「『若手 盆栽アート』で検索したら出てくるで」って言ってたけど「フジロック 盆栽アート」で検索した方が全然早かったし、若手……………?と思いつつも意外な出会いに驚きました。Corneliusは正面で観るよりも左右どちらかに寄った方が聴こえ方が変わりおすすめだそうです。

フジロック、私は2日目のみの参加ですが、musitとして何かしらのコンテンツを発信できる予定です。ご期待ください…!

WEEKLY COLUMN

いつか終わりを迎えるその日まで

◯文=安藤エヌ

今週の「金曜日の編集部」コラムを担当する安藤エヌです。

最近、『Bis Gleich(邦題:またね)』というドイツの短編映画を観ました。アパートの向かいに住む老婦人と老父が織り成す心温まるストーリーなのですが、どこかサイレント映画のような口数少なさも心地良く、街の日常を切り取ることによって流動していく世代の様相を表現している秀逸な作品で、詳細は忘れてしまったのですがSNSでその存在を知り、鑑賞するに至った次第です。

とにかく、私は老人の登場する映画に弱いです。年老いた人、というのはそれだけで何かを帯びているような気がします。人生の深み、死との近しさ、永く生きているからこそ表れてくる「きれいごとだけじゃない」事柄たちを抱えて生きる様は、いつも心に訴えかけてくるものがあるな、と感じています。

特に私は樹木希林さんの演技が大好きで、彼女の内側から流水のように流れ出てくるたおやかさと慎ましやかさ、それに反した逞しさにスクリーンを見つめながら圧倒されることがしばしばありました。私もいつか年老いたらこんな風に生きたい、と思わせてくれた、往年の大女優でした。

今頃空の上で茶柱の立ったお茶を啜りながら、「なんとまあ、世間はしんどそうだ」と心配しているかもしれない、と思うと、少しでもこの世の中を良い方へと向かわせるために、自分ができることを探さないといけないなと身を引き締める思いになります。

いつか終わりを迎えるその日までにできることは何だろう、遺せるものは何だろう、と日々考えながら、緑が生き生きと息吹を抱き、茂る季節を見つめているこの頃です。

musit編集部