Pablo Haikuが1stシングル「park」をリリース メロディのリフレインとUKガラージ由来のビートが心地良いナンバー
現役大学生によるバンド、Pablo Haikuが2021年6月16日に1stシングル「park」をデジタル・リリースした。本作はHIP LAND MUSICによるデジタル・ディストリビューション&プロモーション・サービス《FRIENDSHIP.》がリリースをサポート。彼らにとって初のリリースとなる今作は、美しいメロディーラインを携えたバンド・サウンドを軸に、UKガラージのビートを取り入れた意欲的な1曲となっている。
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Pablo Haikuは、同じ大学に通う森飛友(もりひゆう)、永田風薫(ながたふうか)、足立新(あだちあらた)によって2020年に結成された3人組。音源やライヴ活動だけでなく、アートワークやミックスなども自身で手がけるなど、DIY精神溢れるバンドだ。
まず気になるのは「Pablo Haiku」という不思議なバンド名だが、彼らが90年代のUK/USシーンに影響を受けており、ブリットポップなどもリファレンスに挙げていることから、おそらくレディオヘッドの1stアルバム『Pablo Honey』をもじったものだろう。絶妙な言葉遊びに早くも心をくすぐられてしまう。
そんなPablo Haikuは、今年4月に行われた《FRIENDSHIP.》内の楽曲試聴会で、キュレーターによって最終的に選出された2組のうちの1組。そうして見事にリリース権を勝ち取り、今回の「park」が世に送り出されることとなった。
「park」を聴いて想起するのは、ゼロ年代以降のエレクトロ・シューゲイザーの中でもパーカッシヴな要素が見られる作品群だ。どこまで意識的かはさておき、本作の美しいメロディラインやバンドサウンドと打ち込みの融合、醸し出される寂寥感などは、ザ・レディオ・デプトの『Pet Grief』や、レッティング・アップ・ディスパイト・グレイト・フォールツのセルフ・タイトル作『Letting Up Despite Great Faults』とも呼応すると言って差し支えないだろう。
あるいは、本作のビートはUKガラージを意識しているというが、そういったハウスの文脈を踏まえるとザ・ビリンダ・ブッチャーズの2020年最新アルバム『Night and Blur』のテイストに近いかもしれない。ただ、オートチューンのかかったヴォーカルに関してはこれらの潮流にはないものであり、Pablo Haikuのオリジナリティとして花開いている。
※ちなみに、SoundCloudにアップされているデモ音源も同じくエレクトロ・シューゲイザー経由のサウンドと言えそうだが、こちらはむしろ『HIGHVISION』期のスーパーカーを彷彿とさせる音像だ。
また、先の試聴会でゲスト・キュレーターとして参加していたmabanuaは、彼らのサウンドについてこう語っている。
Pablo Haikuはメロディの作り方が好みだったんですよ。(中略)彼らの場合はメロディが反復している状態で展開や表情を付けていて。それがすごく気持ちよかったし、洋楽的なアプローチも僕の好みでした。
--FRIENDSHIP.特集第2弾|ゲストにmabanua迎えて楽曲試聴会実施、キュレーターたちが選出したアーティスト2組決定
その言葉通り、『park』は印象的な
“What should I’ve said to her?”
“When I’m here, I wonder.”
というフレーズのリフレインを軸にしながら、ドリーミーなシンセ・サウンドや鍵盤の暖かい音像、パーカッシヴなビート、ベースの重低音などが絡み合って展開されていく様が、実に心地良い。
しかし、その感覚は決して単に享楽的なものではない。「過去に対する後悔にどう向き合っていくか」というテーマで制作された背景を考えれば、それは心の奥底にこびりついたやるせなさや悲しみを、そっと洗い流してくれるような感覚に似ていることに気づく。
小気味良いギターを背に独白する曲後半のポエトリーリーディングは、次なるステップへの希求を示唆している。そして、その祈りはバンドにおける推進力にも繋がっていくのではないだろうか。つまり、今後彼らが更なるオリジナリティを獲得しながら躍進していくことは、既に約束されているようなものなのだ。
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RELEASE

Pablo Haiku「park」
Label – FRIENDSHIP.
Release – 2021/06/16
※Digital Only
※サブスクリプション他、各種リンクはこちら
https://friendship.lnk.to/park
LIVE

2021/06/29
[email protected]下北沢THREE
Open 18:30 / Start 19:00
ticket ¥2,000(D込) ※高校生以下無料
PROFILE
Pablo Haiku
2020年、東京で結成。森飛友、永田風薫、足立新からなる3人組バンド。音源制作やライヴ活動に加え、アートワークやミックスといった作業も一貫してメンバー自身で行う。1990年代のUK/US文化に大きな影響を受け、ブリットポップやシューゲイザーといったバンド・サウンドにエレクトロを融合させた音楽性を持つ。様々なジャンルの音楽に対するリスペクトを持ち続け、今後も活動を行っていく。

L→R
永田風薫
森飛友
足立新
(執筆:對馬拓)
musit編集部




