Bearwearが1stフルアルバム『The Incomplete Circle』をリリース 自由なアレンジと聴き手に寄り添う言葉たち

Bearwearが1stフルアルバム『The Incomplete Circle』をリリース 自由なアレンジと聴き手に寄り添う言葉たち

関東を拠点に活動する2人組のインディー/オルタナティヴ・ロック・バンド、Bearwearが1stフルアルバム『The Incomplete Circle』を12月15日にリリースした。2016年にKazma(Lyric / Vo.)、kou(Music / Arrange / Ba.)の2人を中心に結成されたBearwear。これまで2枚のミニアルバムを発表してきたが、今作は待望の1stフルアルバムとなる。

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1stミニアルバム『DREAMING IN.』をリリースして以降、国内外のネット上のインディー・ファンから注目を集め、ライブ活動も精力的に行ってきた彼ら。

2020年3月には2ndミニアルバム『:LIVING IN THE ECHO CHAMBER』をリリース。コロナ禍のためツアーは全箇所キャンセルとなってしまったものの、同年開催されたFUJI ROCK FESTIVALの新人枠「ROOKIE A GO-GO 2020」への出演で話題を呼んだ。さらにキャリア初のライブハウス自主企画「:CHAMBER FEST」を渋谷club Asiaで開催、メンバーによるZINE『CHMBR MAG』の創刊など、より活発に国内ロック・シーンやローカル・シーンを意識した動きを見せてきた。

そして、満を持してリリースされた1stフルアルバム『The Incomplete Circle』は、持ち味であるUSインディー・ロック由来の音楽性を引き継ぎつつも、サポートメンバーを迎えながら柔軟に活動するというスタイルが最大限に活かされ、バンド・サウンドに囚われない自由なアレンジを展開している。

まず、今作はゲスト・ミュージシャンとして、M-1「New Day」とM-4「The Extended Mind」に揺らぎのMiracoがコーラスとして参加。特にオープナー・トラックである「New Day」はMiracoの透き通ったヴォーカルと優しい音像が心地良いドリームポップ・ナンバーで、リスナーをじんわりとアルバムの世界に惹き込んでいく。

また、M-3「Glory」とM-14「A Star In Me」ではシンガポールのドリームポップ・バンド、SobsのメンバーであるCeline Autumnがゲスト・ヴォーカルを担当。「Glory」はアクセントとしてのヘヴィーなギターとCelineの爽やかなヴォーカルが見事にマッチ。海外のシーンとも呼応するBearwearならではのコラボレーションと言えるだろう。

そして、今作において特筆すべきは、やはりアコースティック・ギター、環境音、DAWでのポストプロダクション、そして日本語詞など、新しい手法や要素を積極的に取り入れている点だ。彼らの母語である日本語で綴られたナチュラルな言葉たちとシンプルなアコースティック・ギターが新鮮な空気を運ぶM-2「Circle」、マウスのクリック音が日常と音楽の境目をシームレスにしていく「The Extended Mind」、ビート・ミュージックやシンセポップの影響を感じられるM-13「Junk Sleeper」など、新境地と呼ぶに相応しいナンバーが揃っている。

Bearwearとしての根幹を成すであろうUSインディーの要素を含ませながら、そこに留まらないフレキシブルな姿勢で音を紡ぎ、メンバーが10代の多感な時期に聴いていた邦楽への愛をも表現してみせた『The Incomplete Circle』。「不完全な円」というタイトルから様々な意味を想像できるが、今のBearwearと彼らの周りを取り巻く環境をそれとなく言い表した、とてもポジティブなものとして捉えることもできるだろう。あるいは「不完全でも良い」──そう背中を押し、寄り添ってくれているのかもしれない。

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RELEASE

Bearwear『The Incomplete Circle』

Label – ZAYA RECORDS / ZAYA-0002
Release – 2021/12/15
¥2,700(+tax)

song list:
1. New Day
2. Circle
3. Glory (feat. Celine Autumn)
4. The Extended Mind
5. mainichi
6. lalala
7. Paper Trail
8. Carry On
9. umi
10. Bedside
11. madoromi
12. yonagi
13. Junk Sleeper
14. A Star In Me (feat. Celine Autumn)
15. Glory (Single ver)

Music Video

Junk Sleeper(Official Music Video)

Paper Trail(Official Music Video)

PROFILE

Bearwear(ベアウェア)

Kazma(Lyric / Vo.)、kou(Music / Arrange / Ba.)の2人を中心に結成された インディー・/オルタナティヴ・ロック・バンド。 様々なジャンルのバンドからサポートメンバーを迎えフレキシブルな体制で活動。2018年春にリリースしたシングル「e.g.」がネット上のインディー・ファンの間で注目を浴びると、 すぐにネット・レーベル《Ano(t)raks》のコンピレーションの1曲目に選曲されるなど話題を呼んでいる。 若手ディレクター、Pennackyが監督した「e.g.」のMVはアジカンのGotch氏も大推薦。 エモシーンのみならず、ハー ドコア、インディー・ロック、ポップス・シーンなどからも注目を集める。 2018年10月に初の流通作品『DREAMING IN.』をリリース。2020年3月には2ndミニアルバム『:LIVING IN THE ECHO CHAMBER』をリリース。 同年8月にはフジロックのオーディション・ステージ「ROOKIE A GO-GO 2020」に出場し、 11月には渋谷club asiaにて初の冠企画「:CHAMBER FEST」を開催。

L:kou(Music / Arrange / Ba.)
R:Kazma(Lyric / Vo.)

(編集/執筆=對馬拓)

musit編集部